歩き遍路とセルフコーチング
めおとへんろのすすめ ~夫(わたし)のへんろエッセイ~
同行二人とは
歩き遍路において「同行二人」は重要な概念です。この概念は、巡礼者の精神的な支えとなるとともに、歩き遍路がただの旅行ではなく、自己探求と精神的な成長の旅であることを表しています。
セルフコーチングとは
そして、セルフコーチングも、自己探求と精神的な成長を促すという意味では、同行二人をベースとする歩き遍路と、似た特性があります。
共通点
いずれも、自己の内面と向き合い、気づきを得て、自分の目標や目的や使命などに向けて、困難を乗り越えながら、進んで行く、という体験であるという点では共通するものがあります。
違い
①コーチの存在
セルフコーチングは、自分が自身のコーチとなる必要があるのに対して、同行二人の歩き遍路は、日本のコーチングの始祖のようなお大師さまが、あらかじめ付いていて下さるという点が異なります。
②リソースの使い方
セルフコーチングは、日常的に、細切れに、手軽に実践可能な行為です。が、それがゆえに、習慣づけることが難しい面があります。いつでもできると思ってしまうと、かえって実行できなかったりするものです。
一方、歩き遍路は、ある程度まとまった時間を確保し、一旦始めてしまえば、集中的に行うことが可能です。逆に言えば、まとまった時間とそれなりの原資を要する、ということでもあります。そして、その「まとまった時間とそれなりの原資をつくる」という準備段階から、セルフコーチングは始まっています。なぜ自分はそれをやりたいのか、どのようにしてその時間と原資を確保するのか、どこのルートを歩くのか、いつ実行するのか、乗り越える課題は何なのか…。
③自他の認識
セルフコーチングは、「私、セルフコーチング中です」という札を掲げて行うものではありませんが、歩き遍路は、その装束や持ち物などで「この人はお遍路さん」と、周囲から認知されます。自他の認識の一致により、自分の意思表明と覚悟、他者からの承認・認知がセットになり、実践環境を整えます。また「自分は遍路である」という自覚により「十善戒」などの戒律を自らに課し、自我をセルフコントロールすることにもつながります。
④励み
セルフコーチングは、自分の中の世界を一人で歩く体験ですが、同行二人の歩き遍路は、実際の世界を歩く体験です。その過程で、八十八ヶ所の札所を一つ一つ巡っていく達成感や自己効力感、巡礼仲間(≒ある意味セルフコーチング仲間)との交流、地域の方からのおもてなしやお接待、自然の景色や地域の風物を生で体験し、励みにできる、という利点があります。
⑤思考の活性化
歩くことは、思考を活性化します。この点も、歩き遍路の利点の一つと言えるでしょう。
歩き遍路は、セルフコーチングを強化する、たいへん機能的に優れた仕組みを備えている、と言えると思います。
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