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歩き遍路とセルフコーチング

めおとへんろのすすめ ~夫(わたし)のへんろエッセイ~


同行二人とは

 歩き遍路において「同行二人」は重要な概念です。この概念は、巡礼者の精神的な支えとなるとともに、歩き遍路がただの旅行ではなく、自己探求と精神的な成長の旅であることを表しています。

遍路修行をしているとき、常にお大師さま(弘法大師)と共にいるということです。四国遍路の場合は、その象徴として、金剛杖がお大師さまそのものとされています。遍路修行者は複数人であっても、個人とお大師さまの同行二人であります。

四国八十八ヶ所霊場会HPより

遍路のそばにはいつもお大師さまが一緒にいて守ってくれているという意味。ひとりで歩く遍路の心を前に押し出してくれる言葉だ。

枻出版社 歩くお遍路BOOKより

セルフコーチングとは

 そして、セルフコーチングも、自己探求と精神的な成長を促すという意味では、同行二人をベースとする歩き遍路と、似た特性があります。

セルフコーチングでは、自分というクライアントの中にコーチとしての自分も内包します。自分の中に存在しているコーチが自分に質問するという自問自答のスタイルを通して、目標の実現に近づきます。

セルフコーチングとは?コーチングとの違い&目標達成する方法 - 公式|7つの習慣セルフコーチング総合サイト (7h-selfcoaching.jp)

セルフコーチングとは、自分で自分をコーチングすることを意味します。
本来指導者が行うべきコーチングを、自分自身で行うことです。 セルフコーチングでは自分の内面と向き合い、自分のやりたいことや考え方、根底にある問題に自ら気付き、改善策を打ち出すことを大切にします。

セルフコーチングとは?意味やコーチングとの違い、効果、方法などを徹底解説|企業向け人材育成・社員研修サービスのユーキャン (u-can.co.jp)

共通点

 いずれも、自己の内面と向き合い、気づきを得て、自分の目標や目的や使命などに向けて、困難を乗り越えながら、進んで行く、という体験であるという点では共通するものがあります。

違い


①コーチの存在
 セルフコーチングは、自分が自身のコーチとなる必要があるのに対して、同行二人の歩き遍路は、日本のコーチングの始祖のようなお大師さまが、あらかじめ付いていて下さるという点が異なります。

②リソースの使い方
 セルフコーチングは、日常的に、細切れに、手軽に実践可能な行為です。が、それがゆえに、習慣づけることが難しい面があります。いつでもできると思ってしまうと、かえって実行できなかったりするものです。
 一方、歩き遍路は、ある程度まとまった時間を確保し、一旦始めてしまえば、集中的に行うことが可能です。逆に言えば、まとまった時間とそれなりの原資を要する、ということでもあります。そして、その「まとまった時間とそれなりの原資をつくる」という準備段階から、セルフコーチングは始まっています。なぜ自分はそれをやりたいのか、どのようにしてその時間と原資を確保するのか、どこのルートを歩くのか、いつ実行するのか、乗り越える課題は何なのか…。

③自他の認識
 セルフコーチングは、「私、セルフコーチング中です」という札を掲げて行うものではありませんが、歩き遍路は、その装束や持ち物などで「この人はお遍路さん」と、周囲から認知されます。自他の認識の一致により、自分の意思表明と覚悟、他者からの承認・認知がセットになり、実践環境を整えます。また「自分は遍路である」という自覚により「十善戒」などの戒律を自らに課し、自我をセルフコントロールすることにもつながります。

④励み
 セルフコーチングは、自分の中の世界を一人で歩く体験ですが、同行二人の歩き遍路は、実際の世界を歩く体験です。その過程で、八十八ヶ所の札所を一つ一つ巡っていく達成感や自己効力感、巡礼仲間(≒ある意味セルフコーチング仲間)との交流、地域の方からのおもてなしやお接待、自然の景色や地域の風物を生で体験し、励みにできる、という利点があります。

⑤思考の活性化
歩くことは、思考を活性化します。この点も、歩き遍路の利点の一つと言えるでしょう。

 歩き遍路は、セルフコーチングを強化する、たいへん機能的に優れた仕組みを備えている、と言えると思います。

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