せっちー

小学校教諭を経て、現在中学校教諭。教育と道徳についての研究をしています。教育のこと、道…

せっちー

小学校教諭を経て、現在中学校教諭。教育と道徳についての研究をしています。教育のこと、道徳のこと、哲学のこと、日常で感じたことを綴ります。始めたばかりですが、少しでもお役に立てる記事を書けるようがんばります。

記事一覧

#159_贈与と言語ゲームがつくり出す人間関係を探る

「人は簡単には理解し合うことはできない。」 これは、国語科の有名教材「ごんぎつね」を貫くテーマである。 なぜ人は、簡単には理解し合うことができないのだろうか。 今…

せっちー
13時間前

#158_贈与と親子関係を分析する

今読んでいるのは「世界は贈与でできている」(近内悠太・2020) 資本主義の「すきま」を埋める倫理学 ここで興味深い、贈与と交換の法則、呪い、そして相手との関係性について…

せっちー
15時間前
1

#157_対面セミナーやります

29日に、関西学院初等部の宗實直樹先生、群馬県の瀬戸山、千葉大附属小の中谷佳子先生と、セミナーを実施いたします。 6月29日(土)13:30~16:50 前橋市東…

せっちー
2日前
1

#156_道徳科の問い・社会科の問い

最近、ご縁があって社会科について深く学び機会が多い。 今まで発問は道徳科を中心に考えていたが、教科教育での発問と比較するとまた、学びが多く興味深い。 特に感じて…

せっちー
3日前
1

#155_道徳通信のねらい

勤務校では研修主任と道徳主任を兼任していて、今年度の研修は道徳。 こんなにやりやすい年はないので、今年度は研修通信と称して、道徳通信を発行することにした。 第一…

せっちー
4日前
1

#154_道徳科を学ぶきっかけエピソード

「道徳科の授業っておもんないよなー。」これはわたしが小学校の頃から教師3年目くらいまでもっていた道徳授業観です。 教科教育は学習内容がはっきりしているけれど、道徳…

せっちー
5日前
1

#153_道徳科における生活と価値の往還とは何か

教科教育と同様、道徳教育でも、生活と価値(学習内容)の往還により、思考が深まる。 これは具体と抽象の往還であると言い換えてもよい。 ここで述べる「価値」とは、誰…

せっちー
6日前
1

#152_教科教育の質と集団の質を相関的に観る

久しぶりに赤坂先生のオンラインセミナーに参加させていただいた。 相変わらず圧巻の理論と説得力だったが、今回は新たに発見したことは、恐ろしいほどのチャネリング力の…

せっちー
7日前
2

#151_子どもの学びを支える教師の指導力

子どもは自ら学ぶ存在だ。 昔から、よくそのように言われる。 一方で「這いまわる経験主義」と揶揄されるように、子どもに任せっぱなしでは質の高い学びが保証されるとは言…

せっちー
8日前
1

#150_「Why?」型発問の変化球②

前回に引き続き、具体的場面で「Why?」型発問の変化球について考えてみる。 (1)「When?」も考えやすい 「いつ?」と時を問う発問も比較的答えやすい発問だ。 道徳科…

せっちー
10日前
2

#149_「Why?」型発問の変化球①

考えやすい問い方変換についての投稿がちょっとだけバズった。 具体的場面で「Why?」型発問の変化球について考えてみたい。 「Why?」以外の「4W」「1H」で問う (1…

せっちー
12日前

#148_低学年の道徳授業を考える

6年振りに、筑波大附属小の公開研に参加させていただいた。 加藤先生の授業を参観し、自分が今まで学んできたことも踏まえて気づいたことをいくつか羅列する。 (1)選…

せっちー
13日前
6

#147_獣性と人間性

人はもともと獣性(獣の心)があります。 笑顔の起源は、一説によると動物の「威嚇」だそうです。 つまり人は「相手より自分が強い」と見せかけるとき、また「相手よりも…

せっちー
2週間前
1

#147_言葉を編む

日常で使う言葉こそ 細やかに心を配りたい 思いが言葉をつくる 言葉が行動をつくる 行動が生活をつくる 生活が人格をつくる 言葉選びは生き方選び 言葉が人をつくり 言葉…

せっちー
2週間前
1

#146_保護者対応の勘所⑤~相手の子への批判をどうかわす?~

お読みくださり、ありがとうございます。 #142_保護者対応の勘所 ①~保護者は子どもを育てる同志である~|せっちー (note.com)からの連続シリーズ第三弾。 前回に引き続き…

せっちー
2週間前
3

#145_保護者対応の勘所④~ケース別保護者対応②~

お読みくださり、ありがとうございます。 #142_保護者対応の勘所 ①~保護者は子どもを育てる同志である~|せっちー (note.com)からの連続シリーズ第三弾。 前回に引き続き…

せっちー
3週間前
1

#159_贈与と言語ゲームがつくり出す人間関係を探る

「人は簡単には理解し合うことはできない。」
これは、国語科の有名教材「ごんぎつね」を貫くテーマである。
なぜ人は、簡単には理解し合うことができないのだろうか。

今回も引き続き、「世界は贈与でできている」(近内悠太・著)の主張をもとに論じてみたいと思う。

筆者はこのように主張している。

他者が使っている言葉の意味と、自分が使っている言葉の意味に齟齬がある。
これは自明の理であるはずなのに、多く

もっとみる

#158_贈与と親子関係を分析する

今読んでいるのは「世界は贈与でできている」(近内悠太・2020)
資本主義の「すきま」を埋める倫理学
ここで興味深い、贈与と交換の法則、呪い、そして相手との関係性について、自分の人間関係をもとに分析してみたい。

筆者は
「わたしたちは、他者から贈与されることでしか、本当に大切なものを手にすることはできない」(p.22)と述べる。

他者からのプレゼントがその価値以上の力を発揮するのは、自分に対す

もっとみる
#157_対面セミナーやります

#157_対面セミナーやります

29日に、関西学院初等部の宗實直樹先生、群馬県の瀬戸山、千葉大附属小の中谷佳子先生と、セミナーを実施いたします。

6月29日(土)13:30~16:50
前橋市東公民館 第一会議室
参加費2500円(講師の交通費に充てさせていただきます。)

13:30~13:40 開会・オープニングセッション
13:40~14:10 瀬戸山先生講座
14:10~15:10 宗實先生講座
15:10~15:20

もっとみる

#156_道徳科の問い・社会科の問い

最近、ご縁があって社会科について深く学び機会が多い。
今まで発問は道徳科を中心に考えていたが、教科教育での発問と比較するとまた、学びが多く興味深い。

特に感じているのは、問いの種類だ。

何度も出しているこのイラストの例を挙げても、違いが浮き彫りになる。

社会科の発問における「4W」「1H」は「目に見えるもの」を答える問いである。
「誰が生産しているのかな。」「いつ変わったのかな。」
など、考

もっとみる

#155_道徳通信のねらい

勤務校では研修主任と道徳主任を兼任していて、今年度の研修は道徳。
こんなにやりやすい年はないので、今年度は研修通信と称して、道徳通信を発行することにした。

第一号にはこのようなことを書いた。

まだジョブの段階なので、自己開示をしつつ、あまり突出したことは書かないように配慮した。
(やんわりと、小中学校当時の先生方の授業を批判しているのはちょっと失敗したかもしれない、、、。)

続きます。

もっとみる

#154_道徳科を学ぶきっかけエピソード

「道徳科の授業っておもんないよなー。」これはわたしが小学校の頃から教師3年目くらいまでもっていた道徳授業観です。
教科教育は学習内容がはっきりしているけれど、道徳科は学習内容が難しくて曖昧。当たり前のこと教えてどうするの?なんて思っていました。

初任の頃(小学校)は「思いやりの授業」と称して、当時流行っていたプロジェクトアドベンチャーのアクティビティやエンカウンターばかりやり、それが管理職にばれ

もっとみる

#153_道徳科における生活と価値の往還とは何か

教科教育と同様、道徳教育でも、生活と価値(学習内容)の往還により、思考が深まる。
これは具体と抽象の往還であると言い換えてもよい。

ここで述べる「価値」とは、誰もが納得する、確かにこれは普遍的原理であるという、人間として生きる上で、また人と共に生活を営む上で欠かせないものである。

一方で、「生活」はわたしたちの日常である。
そしてその生活の中ではよく、価値と価値がぶつかる場面に遭遇する。

もっとみる

#152_教科教育の質と集団の質を相関的に観る

久しぶりに赤坂先生のオンラインセミナーに参加させていただいた。
相変わらず圧巻の理論と説得力だったが、今回は新たに発見したことは、恐ろしいほどのチャネリング力の高さだった。

今まで何度か赤坂先生のご講演をきかせていただいたが、今回は「教科教育から派生した個別最適な学び」の在り方を学ぶ場という意識がものすごく高いスライド構成となっていた。
教科教育で求められている、主体的・対話的で深い学びの捉えか

もっとみる

#151_子どもの学びを支える教師の指導力

子どもは自ら学ぶ存在だ。
昔から、よくそのように言われる。
一方で「這いまわる経験主義」と揶揄されるように、子どもに任せっぱなしでは質の高い学びが保証されるとは言い難い。

そこで大切になってくるのが、子どもの学びを支える教師の指導性である。

新宮弘識氏の論考をもとに考えてみる。

1.授業の実際(1)導入での問い返し

「内村選手はなぜ、世界一美しい体操ができるようになったと思うか。」という問

もっとみる

#150_「Why?」型発問の変化球②

前回に引き続き、具体的場面で「Why?」型発問の変化球について考えてみる。

(1)「When?」も考えやすい

「いつ?」と時を問う発問も比較的答えやすい発問だ。
道徳科で扱う教材のほとんどは、時系列で書かれたもの。
どんなお話だった?と問うよりも、主人公はいつ〇〇したの?等と問う方が、話の内容を追いやすくなる。

一方で、こちらの意図が明確で、やや誘導的になってしまうことは否めない。
子ども自

もっとみる

#149_「Why?」型発問の変化球①

考えやすい問い方変換についての投稿がちょっとだけバズった。
具体的場面で「Why?」型発問の変化球について考えてみたい。

「Why?」以外の「4W」「1H」で問う

(1)一番考えやすいのは「Which?」型

幼い子どもに尋ねるとき、一番答えやすいのは「どっち?」である。
〇✕クイズが盛り上がるのは、どちらか一方を選べばよいという手軽さと、どちらかが必ず正解であるという答えを導き出す敷居の低さ

もっとみる

#148_低学年の道徳授業を考える

6年振りに、筑波大附属小の公開研に参加させていただいた。
加藤先生の授業を参観し、自分が今まで学んできたことも踏まえて気づいたことをいくつか羅列する。

(1)選択肢を示す

低学年はまだメタ認知が低く、主観的・感覚的に現象を捉える時期だと言われている。
だからこそ、「どんな気持ち?」と相手の気持ちを問う発問が多くなる・・・のが一般的な道徳授業だった。
しかし、加藤先生は授業で「どんな気持ち?」と

もっとみる

#147_獣性と人間性

人はもともと獣性(獣の心)があります。

笑顔の起源は、一説によると動物の「威嚇」だそうです。
つまり人は「相手より自分が強い」と見せかけるとき、また「相手よりも自分の方が優位だ」と感じるときにも笑顔が出ることになります。

例えば人をいじめて嬉しくなる気持ちは、獣性なのです。
動物の世界は弱肉強食、いかに自分が強い個体かをアピールすることが、生き抜く知恵でもあります。
またこれは、自分の弱さを隠

もっとみる

#147_言葉を編む

日常で使う言葉こそ
細やかに心を配りたい

思いが言葉をつくる
言葉が行動をつくる
行動が生活をつくる
生活が人格をつくる

言葉選びは生き方選び
言葉が人をつくり
言葉が人を成長させる

よき人生を歩むために
よき選択を
心がけたい

#146_保護者対応の勘所⑤~相手の子への批判をどうかわす?~

お読みくださり、ありがとうございます。 #142_保護者対応の勘所 ①~保護者は子どもを育てる同志である~|せっちー (note.com)からの連続シリーズ第三弾。
前回に引き続き、ケース別対応について実体験をもとに書いていきます。
今回はケース3、「うちの子じゃなくて相手の子に非があるのでは?」です。

ケース3「相手の子に非があるのではないですか?」過去に同じメンバーでトラブルがあったケースです

もっとみる

#145_保護者対応の勘所④~ケース別保護者対応②~

お読みくださり、ありがとうございます。 #142_保護者対応の勘所 ①~保護者は子どもを育てる同志である~|せっちー (note.com)からの連続シリーズ第三弾。
前回に引き続き、ケース別対応について実体験をもとに書いていきます。
今回はケース2、「うちの子は違うこと言ってます」です。

ケース2 「先生、うちの子は違うこと言ってます」と自分の子どもの話だけを鵜呑みにするこれもよくあるケースです。

もっとみる