#152_教科教育の質と集団の質を相関的に観る

久しぶりに赤坂先生のオンラインセミナーに参加させていただいた。
相変わらず圧巻の理論と説得力だったが、今回は新たに発見したことは、恐ろしいほどのチャネリング力の高さだった。

今まで何度か赤坂先生のご講演をきかせていただいたが、今回は「教科教育から派生した個別最適な学び」の在り方を学ぶ場という意識がものすごく高いスライド構成となっていた。
教科教育で求められている、主体的・対話的で深い学びの捉えからスタートし、そのような学びを促進させる土台としての集団の在り方、学級経営の型、そして授業を通した集団づくりの具体的方策。

主催者である加固先生の会の趣旨を見事に捉えた内容に、心が震えた。

そのあとの2人の対談も、めちゃめちゃ面白かった。
子どもの習い事の都合で、途切れ途切れだったのが本当にもったいなかった。

①秩序とは何か?
ずばり相手意識。「どうするか」ではなく「何のためにするか」の部分を育てることが大切で、それを実現する手段の一つがクラス会議。
そして、その相手意識の中には「わたし」も含まれている。
傷つけない→承認する→主体性

わたしにとっての「傷つけない」文化の一つは言葉の使い方だと思った。
一つ一つの言葉に敏感になってほしい。
どのような言葉を使って自らを表現しているのかを、まずは意識してほしい。
わたしの今年度の学級づくりはそこからだった。
それ即ち、相手意識だと思う。

②脳は同質を求めたがる
「脳は省エネ。」「”みんなちがってみんないい”、言うのは簡単だがものすごく膨大なエネルギーが必要。」
中野信子さんの言だそうだ。
特別支援教育にも脳科学にも通じる内容で、刺さった言葉の一つ。
面白い子どもが認められるようになると学級が落ち着いてくる、とは加固先生の感覚。

③自律は自分を支えられる場所を増やすこと
算数科における「自力解決」。必ず1人で解決しなければいけないのか?
赤坂先生いわく、これはSociety3.0型の自律。Society5.0型の自律は、周りの人たちの力も借りて問題解決を促すことであるとのこと。
こういう言葉がポンポン出てくるのも、赤坂先生の頭の回転のよさが見える。瞬時に出てくる一つ一つの言葉が精選されていて、キレキレ。

④うなずきは相手の資質もモチベーションも上げる
いかに相手から力を「引き出せる」か。
これが令和型の人との関わりスキルの一つだと思う。
承認は、一番簡単な相手のモチベーションを上げる対応の一つ。
定着させたい習慣の一つだ。

⑤低・中学年の関わりスキル
メタ認知がまだ育っていない子どもたち。
単純でわかりやすいルールが有効。
「困ったら”助けて”と呼ぶ。」「困っている人がいたら助ける。」
この二つ。

この話を聞いて考えてしまったのが、コロナ禍の影響だ。
アドラー心理学によると、共同体感覚を身につけられるのは10歳くらいから。
人の痛みや悲しみに共感できるのもそのくらいからだと言われているそうだ。

今の中1は、ちょうど共同体感覚を身につけられる時期に「人と離れなさい」「くっついてはいけない」と言われ続けてきた子たち。
今の子どもたちの傾向として、男子は互いにくっついて身体性を求め、女子は人とある程度の距離を置きたがる。
そして、異様に人の目を気にする。

適切な行為でものすごく褒める。
不適切な行動は制する。
叱る3倍は褒めることを前提に接する。
名前を呼び、具体的に。
いかに個を見る眼を養うかが鍵だ。

⑤正義対正義問題
正義とは、赤坂先生いわく「共通点」。
人を裁くものではない。
互いの幸せを守るための共通事項。
多数決や声の大きい人の意見がまかり通る社会の縮図が、そのまま学校に持ち越されていては、社会は現状維持どころか、後退していく。

人が確実に、加速度的に少なくなっている日本。
資源や食料の多くを、輸入に頼る日本。
わたしたちが生き残るためには、共に生きる人を豊かに、人との繋がりをつくれる人を育てるしかない。

みんなで幸せになれる社会を創りたい。
わたしが道徳科を学び続ける意味も、そこにあるんだ。
体調急降下も含めて、落ち込んでいたわたしの心を爽やかに満たしてくれる、佳き時間だった。深謝。

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