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カスゲーのやめ方

ゲームをやめることにした。ヘッダ画像をお借りしています。

やめるとは別に、寝る時間が来てゲームパッドを置くようにやめるというのではなく、『もうそのゲームに関わらん』という意味でやめる。やめたい。やめたいと思っていた。

だが、やめたいやめたいと思っていても実際にやめる気持ちに心をコントロールできなく、いつまでもやめずにいた。

この前少し、完全にそのゲームから離れたことにより、ぼくの生活の一部にもはやそのゲームが介在する余地がなくなった、とおそらくぼく自身が総体として判断し、そのような空気を自分の中に勝手に造ってくれた。もうゲームごときが介在する余地なんてないよ、と。

初めて自分のプロフィールに言及するが、ゲームと向き合う側の考え方としてゲームについて書いてたのに、ゲームと呼べるゲームはもはやぼくの手元から消え失せた。これからは実況だけ見てる生命体の立場から、かつてゲームにいた生命体の立場からゲームについて書いています、と名乗ればいいのだろうか。でもローゼンメイデンの真紅も言ってたけど、生きるってゲームしてることですよね。


ゲームがクソだった理由

買い切り型ではない

ゲームは買い切り型の据え置きゲームではなく、課金で少しずつしかしながら確実にユーザの財布から金を引きずり出す性質を持っていた。

この課金システムはユーザに対してゲームの体験を延ばす一方、資金を持続的に確保することを目指している。

サンクコスト効果

課金が積み重なるとサンクコスト効果によって、ユーザはゲームから離れられなくなる。

サンクコスト効果とは、既に費やした時間やお金を無駄にしたくない一心で、その行動を続けてしまう心理的な現象だ。

時間もサンクコストの一部であり、課金がなければゲームが成立しないはずなのにゲームは最初は甘い設定でユーザを惹きつけ、その後で多くの時間を奪う設計がされている。

時間の奪取

自分がかけた時間を全部人質にされ、いつまで経ってもやめられない。

だから見切りを付ける方法が必要だった。その方法を編み出した。期間限定のイベントや難易度設定は、時間を奪う最たるものだ。

難易度が高すぎることで、ユーザは最上位のアイテムを得るために永遠に時間を奪われ続ける。ゲーム内の時間の奪取は、ユーザに後悔の念を抱かせ、その時間を取り戻すためにゲームを続けさせる仕掛けが施されている。

ゲーム内物資の使い切り

見切りをつける方法として、「完全に離れる」だけでなく、ゲーム内の物資を全て使い切ることも効果的だった。

ゲーム内での物資は、戦争中に武器を増設するようなものであり、期間限定のイベントで自己を有利に進めるために使われる。とはいえその物資は単なるプログラムデータに過ぎず、ゲーム会社が所有するサーバ内にあるだけで、ユーザの手元には永久に届かない。

ゲーム運営の策略

ユーザの時間を奪うための仕掛けが極めて巧妙であり、運営はその方法だけを考えているように感じる。

時間を奪われたユーザをずっと手放さず、LTV(顧客生涯価値)を最大化するために、真綿で首を絞めるように搾り取る方法を採用しているだけだった。

敵との戦闘

ゲーム内で敵と戦う際、ボスにたどり着くためには途中の敵が理不尽すぎて追い返されることが多い。

課金やサンクコストで手に入れたゲーム内資産を使って50%ほどの確率で回避する技を獲得するか、恐ろしい時間をかけてその状態を手に入れる。

だが手に入れたところでボスを殺すためには発動するかどうかわからない必殺技を全員で当てる必要があり、必殺技が出せるターンまでさんざん待たされた挙げ句、それまでにキャラクタが瀕死になるとその殺しに行く舞台にすら進めなくなることが多い。

やり直しの無駄

ボス戦で失敗した場合、上記すべての努力が無駄になりすべてやり直しとなる。このようなゲームは知的生命体がするべきではない。

ゲーム設計と経済的戦略

ゲーム設計は経済的戦略と深く結びついており、特にフリーミアムモデルやサブスクリプション型のゲームが顕著だ。

フリーミアムモデルでは、基本プレイが無料で提供され、ユーザに対してゲーム内アイテムや特典を有料で提供する。

ユーザの関心を引き続け、課金を促す仕組みが作られている。

例えば、「Candy Crush Saga」のようなゲームでは、ユーザがレベルクリアのために「ライフ」を購入することができ、進行がスムーズに進む。

2019年には、このような課金モデルがゲーム産業全体の収益の約80%を占めると報告された。

ゲーム内課金は、ユーザの心理に巧妙に働きかける。

例えば、「Fortnite」では、シーズンごとに新しいスキンやエモートが販売される。ユーザは友人や他のユーザと差をつけるために課金をする傾向が強まる。

心理学的にこれは「社会的証明」や「承認欲求」を利用した戦略であり、2000年代初頭のアメリカでの研究によれば社会的証明は消費者行動に大きな影響を与えることが示されている。

歴史的に見ても、ゲームの経済的戦略は常に進化してきた。

1970年代のアーケードゲーム「スペースインベーダー」は、ユーザが繰り返しプレイすることで収益を上げる仕組みを持っていた。

その後の1980年代には、家庭用ゲーム機が普及し「スーパーマリオブラザーズ」のようなゲームが成功を収めた。

この時期のゲームは、基本的に一度購入すれば追加の支出は不要だったが、現在では課金モデルが主流となり、ユーザの心理をより細かく分析し、収益を最大化するための設計が行われている。

サンクコスト効果と心理的影響

サンクコスト効果(埋没費用効果)は、既に投資したコストが無駄にしたくないという心理から、さらに投資を続けてしまう現象だ。

この効果はゲームデザインにも応用されており、特に課金システムにおいて顕著に見られる。

例えば、「グランブルーファンタジー」では、ガチャを引くことで得られるアイテムがランダムであるため、一度大きな額を課金したユーザは、さらに追加で課金する傾向が強い。

この仕組みは1980年代のカジノ業界での研究と類似しており、カジノではすでに失った金額を回収しようとする心理が強く働くことが知られている。

また、サンクコスト効果はゲーム内の時間の投資にも関連している。

たとえば、あるゲームに多くの時間を費やしたユーザは、そのゲームを続けることで得られる達成感や報酬を期待するため、さらに多くの時間を費やしてしまう。

この現象は、1970年代の研究でカジノのスロットマシンにおけるユーザの行動からも確認されている。スロットマシンでは、投入した金額が多いほど、さらにプレイし続ける傾向が強いことが示された。

現代のゲームデザインでは、サンクコスト効果を利用して、ユーザがゲームに長期間関わり続けるように設計されている。

例えば「FIFA」シリーズでは毎年新しいシーズンが始まり、前年度の進行状況やアイテムが引き継がれることが多い。

この設計によりユーザは新しいシーズンのためにさらに多くの時間やお金を投じることになる。研究によると、ユーザが既に多くのリソースを投入したゲームに対してはさらに多くのリソースを投入する傾向が強い。

時間のサンクコストと歴史的背景

ゲームにおける時間のサンクコストは、ユーザがゲームを続ける動機を生み出す重要な要素だ。

ゲーム内での進行度やキャラクターの成長がユーザに達成感をもたらし、そのためにさらなる時間を投じる傾向がある。

この現象はゲームの歴史の中で進化してきた。例えば、1980年代の「パックマン」はスコアを競う要素が強調され、ユーザが繰り返しプレイすることで高スコアを目指す設計がなされていた。

現代のゲームデザインでは期間限定のイベントやシーズン制が導入され、ユーザがゲームに長期間関わり続けるように設計されている。

「ポケモンGO」では、特定のイベント期間中にしか手に入らないポケモンやアイテムが提供され、ユーザはイベントの期間中にログインし続けることを促される。

このような設計は、ユーザが時間を投資した分だけ価値があると感じさせ、プレイを継続させる仕組みだ。

また、1980年代の「スペースインベーダー」や1990年代の「マリオカート」などではゲーム内での進行度やスコアがユーザの満足感を高め、長時間プレイを促進する要素が組み込まれていた。

これらの設計は時間のサンクコストを利用し、ユーザに対してゲームに対する投資感を持たせることで、ゲームのプレイ時間を延ばすことに成功していた。

期間限定イベントとゲームデザイン

期間限定イベントやチャレンジは、ゲームのデザインにおいて重要(もちろん皮肉だ)な要素だ。これらのイベントはユーザの興味を引き続けるために使われる。

歴史的には、1980年代のアーケードゲームや家庭用ゲーム機での「スーパーマリオブラザーズ」などが、期間限定の特別なスコアやアイテムを提供し、ユーザの関心を引きつけていた。

現代のゲームデザインでは期間限定イベントはさらに進化している。

例えば「フォートナイト」では、シーズンごとに異なるテーマや特典が用意され、ユーザはシーズンの終わりまでに特定の目標を達成するためにプレイを続けることを促される。

また、「ApexLegends」では、シーズンごとに異なる報酬やチャレンジが提供され、ユーザのモチベーションを維持するために工夫されている。

このような期間限定イベントの導入は、1990年代の「ディアブロ」などに起源を持つ。

この時期のゲームでは特定の期間にのみ手に入るアイテムや報酬が用意され、ユーザはこれらを獲得するために積極的にプレイするように設計されていた。

この手法は、ゲームに対するユーザの関心を高め継続させるために有効である。

ゲーム内の物資と戦争のメタファー

ゲーム内での物資の管理は戦略的な要素を含んでおり、現実の戦争に似たメタファーを用いている。

例えば、リアルタイムストラテジーゲーム「スタークラフト」では、限られたリソースを効率的に管理し敵に対して優位に立つことが求められる。

この設計は、第二次世界大戦中のその場しのぎの武器改修のような戦略に似た要素を持ち、兵力や資源の管理が重要な役割を果たす。

また2000年代の「エイジ・オブ・エンパイア」シリーズは古代文明の発展や戦争をテーマにし、物資の管理や戦略的な資源の利用がゲームプレイの核心となっている。

歴史的な戦争や資源管理の戦略を反映しており、ゲーム内での物資の管理はユーザに戦略的な思考を促す。

さらに近年の「シヴィライゼーション」シリーズでは、文明の発展や外交、戦争などをシミュレートし、ゲーム内での物資の管理がゲームの進行に大きな影響を与える。

この設計は歴史的な戦争や外交の戦略を模倣し、ユーザにリアルな戦略体験を提供している。ユーザは実際の歴史的な戦略や戦争の要素をゲーム内で体験する。

ゲームの倫理的問題と社会的影響

ゲームの倫理的問題や社会的影響は、近年のゲーム業界で大きな議論を呼んでいる。

特に暴力的なコンテンツや過度な課金誘導が問題視されている。

例えば、オンラインゲームでの暴力的な行為が現実世界での行動に影響を与える可能性があるとの研究があり、ゲームデザインにおける倫理的な配慮が重要視されている。

2000年代には、アメリカでの研究で、暴力的なゲームが子供の行動に悪影響を及ぼす可能性があると報告され、ゲーム業界はこれに対応するためのガイドラインを策定する動きがあった。

いや、暴力はぼくはそこまで思わない。

ゲーム内での課金システムにおける透明性の欠如や、ユーザが依存症になるリスクは問題視されている。

たとえば2018年には「スターウォーズ バトルフロントII」での課金システムが批判され、ゲーム業界全体に影響を与えた。

この問題を受けて多くの国でゲーム内課金に関する規制が強化され、より透明性のある課金システムの導入が求められるようになった。

社会的な影響については、ゲームが教育や心理的な療法に利用される一方で過剰な暴力描写や過度な競争が問題視されている。

例えばゲームを教育的に利用するケースとしては、認知症の予防やリハビリテーションに役立つという研究もある。しかし、暴力的なコンテンツが社会に及ぼす影響については、さらに研究が進められる必要がある。

結論

ゲーム設計と経済的戦略、サンクコスト効果と心理的影響、時間のサンクコストと歴史的背景、期間限定イベントとゲームデザイン、ゲーム内の物資と戦争のメタファー、ゲームの倫理的問題と社会的影響について考えた。

これらの要素がゲームデザインにどのように影響を与え、ユーザのプレイ体験を形成しているかについて詳しく考察した。

ゲーム業界は、技術的な進化とともに、ユーザの心理や社会的な影響を深く理解し、より良いゲーム体験を提供することが求められている。一部がカスなだけだと思うんですけど。

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