Takamura

タカムラです。小山田圭吾さんのいじめバッシング問題について考えています。

Takamura

タカムラです。小山田圭吾さんのいじめバッシング問題について考えています。

記事一覧

小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 17 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」といわゆる「キャンセル・カ…

ここまで、私が小山田さんの問題について考え、判断する際に従っている原則について説明し、その正当化を試みてきました。それは小山田さんのインタビューやHPに発表した文…

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2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 16 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則②について:小山田さ…

これまでは、日常的的な倫理観、道徳観、宗教や倫理学の考え方、現代社会のルールに訴えて原則②を正当化しましたが、それとは別に、小山田さんのケースとより密接にかかわ…

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2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 15 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則②について:善きこと…

なぜこの原則に従うべきなのか、疑問に思う方も多いでしょう。小山田さんの口から否定される前は、じっさいにそうしたいじめがあったとする根拠もないわけではなかった。た…

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2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 14 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則②「批判対象とする他…

ここまで、「他者の書いたものを読み、解釈する」ときに従うべき原則について説明してきました。しかしこの原則だけでは、どのように他者を批判するべきかを決めるのに十分…

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2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 13 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則①について:なぜこの…

私が①の原則に基づく以上の手順を身につけたのは、現代の英語圏の哲学、特に言語哲学や心の哲学を研究する人たちの間でのやり取りを通じてのことです。これらの分野につい…

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2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 12 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則①について:意味のず…

①批判の対象とする他者は、解釈者である自分と同じ意味で言葉を使っており、合理的な人であり(つまりあからさまに矛盾したことを信じたりしていない)、その人の主張して…

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2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 11 2.ROJとQJの両方を読んでいるが、それらの読み方が私とは異なる人について

週刊文春のインタビュー記事や謝罪文を読んでも、それらに納得しないという人の中には、もちろん『ロッキング・オン・ジャパン』(以下ROJと略)や『クイック・ジャパン』…

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2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 10. ROJやQJの記事を読んでおらず、新聞やテレビ、ネットニュースなどでのみこの話題に触…

1. ROJやQJの記事を読んでおらず、新聞やテレビ、ネットニュースなどでのみこの話題に触れた方が、小山田さんのインタビューや謝罪文を読んでも、それらの内容に説得力を感…

Takamura
2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 9. 『週刊文春』インタビューと謝罪文に納得できない人はどのような人だろうか?

しかし、謝罪文を読んで、それに対して私と異なる感想を持っている人も多いと思います。『週刊文春』のインタビューや9月17日の謝罪文を読んで、それらの内容を信用できな…

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2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 8. 『週刊文春』インタビューと謝罪文を踏まえて

このnoteでは、『ロッキング・オン・ジャパン 1994年1月号』(以下、「ROJ」と略)と『クイック・ジャパン Vol.3』(以下、「QJ」)に掲載された二つの記事を読み込んで、…

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2年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 7. このnoteで何をやろうとしているのか、そして「擁護」の意味について

ここで、一度二つの記事を読むことから離れて、このnoteの一連の投稿が目指していることや、考察の方針について少し書いておこうと思います。  ここまでの考察を読まれて…

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3年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 番外 こべにさんの注目すべき文章

ずいぶん投稿が滞ってしまいました。下書きはたまる一方なのですが、アップする前にきちんと推敲しなければ、と思っているうちに8月が終わってしまいました。  私がぼや…

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3年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 6. どのように解釈するべきか?

二つの記事の食い違いを解消してつじつまを合わせるには、いろいろなやり方が可能です。 ①性的ないじめに関してはQJの発言が正確だった。小山田さんは、ROJでは自分が積…

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3年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 5. 性的ないじめの実行者はだれか

小山田さんはROJで「だってもうほんとに全裸にしてグルグルに紐を巻いてオナニーさしてさ。ウンコを喰わしたりさ。ウンコ喰わした上にバックドロップしたりさ」と語ってい…

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3年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 4. 「ウンコ喰わした」はQJに登場しない

では、ROJとQJ、二つの記事の関係に関する話に戻ります。両者の内容には、うまく噛み合わないように思える点が二つあります。小山田さんを軽率に非難するのではなく、真っ…

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3年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 3. ROJとQJの記述の噛み合わなさ

QJの記事は、いじめそのものをテーマとしているだけあって、小山田さんがやったとされるいじめや当時の状況について詳細に伝えています。いじめられていたとされるのは、沢…

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3年前
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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 17 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」といわゆる「キャンセル・カルチャー」「ハッシュタグ・アクティビズム」について

ここまで、私が小山田さんの問題について考え、判断する際に従っている原則について説明し、その正当化を試みてきました。それは小山田さんのインタビューやHPに発表した文章を読んで、私と異なる見解を持つ人に、自分の読み、解釈を納得していただくためでした。しかし書き進めているうちに、これまで論じてきたことは、それとは別の問題との関連でも意義があるのではないかと思うようになりました。それは、いわゆる「キャンセ

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 16 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則②について:小山田さんのケースでの正当化

これまでは、日常的的な倫理観、道徳観、宗教や倫理学の考え方、現代社会のルールに訴えて原則②を正当化しましたが、それとは別に、小山田さんのケースとより密接にかかわるある重大な理由を用いて正当化することもできます。その理由とは、強い力、権力を行使する主体は、その力の強さを自覚的に制約し、制限する必要がある、ということです。

ツイッターのようなSNSで誰かが批判されるときには、多対一の関係になり、批判

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 15 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則②について:善きことをすることよりも、悪しき行いを避けることを優先すべき

なぜこの原則に従うべきなのか、疑問に思う方も多いでしょう。小山田さんの口から否定される前は、じっさいにそうしたいじめがあったとする根拠もないわけではなかった。ただ確定的ではない、怪しい、ということだったのです。ですから、本当はあったのかもしれなかった。排泄物を食べさせるといういじめが本当はあったとき、それを批判の根拠から外すことは、大きな悪を見逃すことになるでしょう。これを批判の根拠の一つに含める

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 14 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則②「批判対象とする他者について推測するときは、複数の可能性の中から、その他者にとってもっとも都合の良い可能性を選択せよ」

ここまで、「他者の書いたものを読み、解釈する」ときに従うべき原則について説明してきました。しかしこの原則だけでは、どのように他者を批判するべきかを決めるのに十分ではありません。なぜなら、以上の解釈の原則に従って読んでいったとしても確定しがたい点が残ることがありうるからです。

たとえば小山田さん自身が説明する以前には、排泄物を食べさせるといういじめが本当にあったのか、そして小山田さんがそれに積極的

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 13 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則①について:なぜこのような手順で解釈するべきなのか

私が①の原則に基づく以上の手順を身につけたのは、現代の英語圏の哲学、特に言語哲学や心の哲学を研究する人たちの間でのやり取りを通じてのことです。これらの分野についてご存知の方は、「意味の全体論」や「命題態度についての解釈主義」といった話題と、以上の手順の共通性に気づかれるのではないでしょうか。「寛容(チャリティ)の原則」を連想されるかもしれません。研究会などで、他人の議論にたいしてまずい批判をする人

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 12 「他人の書いたものを読み、解釈し、批判するときの作法」、原則①について:意味のずれの問題

①批判の対象とする他者は、解釈者である自分と同じ意味で言葉を使っており、合理的な人であり(つまりあからさまに矛盾したことを信じたりしていない)、その人の主張していること・信じていることのできるだけ多くが真であると仮定して解釈せよ。



 自分以外の誰かが書いた文章を根拠として、文章そのものやその著者を批判する時には、その文章を正しく理解することが前提となります。その文章で書かれている言葉の意味

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 11 2.ROJとQJの両方を読んでいるが、それらの読み方が私とは異なる人について

週刊文春のインタビュー記事や謝罪文を読んでも、それらに納得しないという人の中には、もちろん『ロッキング・オン・ジャパン』(以下ROJと略)や『クイック・ジャパン』(以下QJと略)を読んでいる人もいるでしょう。そうした人と私との違いは、二つの雑誌記事における発言や文春のインタビュー、謝罪文を読むときの読み方が私と異なり、それらから過去のいじめに関して、私が受け取ったのとは異なる状況を思い描いているこ

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 10. ROJやQJの記事を読んでおらず、新聞やテレビ、ネットニュースなどでのみこの話題に触れている人、そしてメディアの責任について

1. ROJやQJの記事を読んでおらず、新聞やテレビ、ネットニュースなどでのみこの話題に触れた方が、小山田さんのインタビューや謝罪文を読んでも、それらの内容に説得力を感じない可能性があります。
 今年の7月に、テレビのワイドショーでどのように報じられていたかは今から確認できないのですが、少なくともネット上で流布していた言説、そして毎日新聞や日刊スポーツ、モーリー・ロバートソンさんによる英語ツイート

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 9. 『週刊文春』インタビューと謝罪文に納得できない人はどのような人だろうか?

しかし、謝罪文を読んで、それに対して私と異なる感想を持っている人も多いと思います。『週刊文春』のインタビューや9月17日の謝罪文を読んで、それらの内容を信用できないとか、言い訳に過ぎない、許せないといった思いを表明する人をかなり見かけます。そこでしばらく、小山田さんの説明に納得した私と、納得しない人との間にどのような違いがあるのかを考えてみたいと思います。そして私がどのようなやり方でROJやQJの

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 8. 『週刊文春』インタビューと謝罪文を踏まえて

このnoteでは、『ロッキング・オン・ジャパン 1994年1月号』(以下、「ROJ」と略)と『クイック・ジャパン Vol.3』(以下、「QJ」)に掲載された二つの記事を読み込んで、それらから小山田さんがどのようないじめをしたと考えられるか、どの点で批判されるべきかを考える予定でした。しかし、下書きはしているものの、仕事に追われ更新が滞っているうちに、『週刊文春』9月23日号のインタビューと9月17

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 7. このnoteで何をやろうとしているのか、そして「擁護」の意味について

ここで、一度二つの記事を読むことから離れて、このnoteの一連の投稿が目指していることや、考察の方針について少し書いておこうと思います。

 ここまでの考察を読まれて、「タカムラは小山田圭吾を擁護しようとしている」と思われたかもしれません。この受け取り方は、ある意味では正しいのですが、別の意味では正しくありません。正しくない意味で受け取らないようお願いします。

 小山田さんが過去にいじめをしたこ

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 番外 こべにさんの注目すべき文章

ずいぶん投稿が滞ってしまいました。下書きはたまる一方なのですが、アップする前にきちんと推敲しなければ、と思っているうちに8月が終わってしまいました。

 私がぼやぼやしているうちに、ブロガーのこべにさんが、小山田さんの問題について注目すべき文章を発表されました。今回はこの文章について、読んだ感想を書いておきたいと思います。

 こべにさんの文章:「kobeniの日記 小山田圭吾氏いじめ記事に関する

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 6. どのように解釈するべきか?

二つの記事の食い違いを解消してつじつまを合わせるには、いろいろなやり方が可能です。

①性的ないじめに関してはQJの発言が正確だった。小山田さんは、ROJでは自分が積極的に関わったいじめと、そうではなく傍観者的立場にあった、あるいは「引いて」いたいじめを区別せず語ってしまっていたのであり、QJでの発言を手がかりにして、ROJの発言は割り引いて解釈すべきである。
②性的ないじめに関して、QJの発言は

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 5. 性的ないじめの実行者はだれか

小山田さんはROJで「だってもうほんとに全裸にしてグルグルに紐を巻いてオナニーさしてさ。ウンコを喰わしたりさ。ウンコ喰わした上にバックドロップしたりさ」と語っていました。このいじめは、村田さんに対するものとしてQJで詳しく説明されています。その記述を見てみましょう。

「ウチの班(引用者註:修学旅行の班)布団バ〜ッとひいちゃったりするじゃない。するとさ、プロレス技やったりするじゃないですか。例えば

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 4. 「ウンコ喰わした」はQJに登場しない

では、ROJとQJ、二つの記事の関係に関する話に戻ります。両者の内容には、うまく噛み合わないように思える点が二つあります。小山田さんを軽率に非難するのではなく、真っ当な批判をするには、その内容をうまく噛み合わせる必要があります。

まずは一点め、ROJでは「ウンコ喰わしたり」とされていました。そしてそれが「バックドロップ」と一連の流れの中にあるかのように語られていました。しかしこの件はQJの記事に

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小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 3. ROJとQJの記述の噛み合わなさ

QJの記事は、いじめそのものをテーマとしているだけあって、小山田さんがやったとされるいじめや当時の状況について詳細に伝えています。いじめられていたとされるのは、沢田さん(仮名)と村田さん(仮名)で、沢田さんは障害者であり、村田さんも、すごく分かりにくいとはされながら、なんらかの困難を抱えた方のように見えます。

そしてこのお二人のうち、村田さんに対するいじめとして、「バックドロップ」や「ブレンバス

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