小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 3. ROJとQJの記述の噛み合わなさ

QJの記事は、いじめそのものをテーマとしているだけあって、小山田さんがやったとされるいじめや当時の状況について詳細に伝えています。いじめられていたとされるのは、沢田さん(仮名)と村田さん(仮名)で、沢田さんは障害者であり、村田さんも、すごく分かりにくいとはされながら、なんらかの困難を抱えた方のように見えます。

そしてこのお二人のうち、村田さんに対するいじめとして、「バックドロップ」や「ブレンバスター」、「洗濯紐でグルグル縛り」、「『オナニーしろ』とか言っちゃって」(以上、すべてQJ、63ページ)などが語られています。

村田さんを障害者と見なすならば、ROJで大雑把にしか語られていなかった細部が詰められるとともに、いじめの被害者が障害者であったこともそこに付加され、「小山田圭吾は障害者に大便を食べさせたり、バックドロップをしたり、自慰をさせるいじめをしていた」と主張できそうに見えます。

ROJでの発言と、いま紹介したQJの発言を単純に並べれば、ほとんどの人が自然に、小山田さんがそのようないじめをしていたという印象を持つでしょう。そしてごく自然に、激しい怒りと軽蔑の気持ちを抱くのではないでしょうか。

この自然さは、noteの1回目の記事で書いた、「わたしのパートナー」と「わたしの愛する人」を同一人物とみなすことと、まったく同様に自然なことです。そしてそれらを同一人物とすることが自然なことだとはいえ、ちゃんとした理由がないものであったのとまったく同様に、ROJの発言と今紹介したQJの発言から「小山田圭吾は障害者に大便を食べさせたり、バックドロップをしたり、自慰をさせるいじめをしていた」と結論することには、ちゃんとした根拠がないのです。

ROJとQJの関係が、単に「大雑把」と「詳細」の関係で、うまく噛み合うのなら、そのように結論してもよいかもしれません。しかしこの二つの記事を並べてみると誰にでもわかるように、それらはそう簡単に噛み合うあうわけではありません。

みなさんは今、小山田さんが「障害者に大便を食べさせるいじめをした」と思っているでしょうか。もしそう思っているのであれば、その理由は何でしょうか。ご自身でROJとQJの二つの記事をお読みになり、そう思われたのでしょうか。そうでなるのなら、ぜひこれ以降のnoteを読んで、そう思うことにどの程度しっかりした根拠があるのか、考えてみていただきたいと思います。

もしご自身で二つの記事を読んだのではなく、報道やブログ、Twitterや掲示板で受け取った情報が理由でそう信じておられるのなら、その情報提供者は、ちゃんとした根拠がないまま「小山田は障害者に大便を食べさせるいじめをした」と考える軽率な人間かもしれない、あるいはそのような印象を読み手に抱かせようと意図的にそのようなまとめ方をしているのかもしれないと、考えてみていただきたいと思います。

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