小山田圭吾「いじめ」バッシング問題 10. ROJやQJの記事を読んでおらず、新聞やテレビ、ネットニュースなどでのみこの話題に触れている人、そしてメディアの責任について

1. ROJやQJの記事を読んでおらず、新聞やテレビ、ネットニュースなどでのみこの話題に触れた方が、小山田さんのインタビューや謝罪文を読んでも、それらの内容に説得力を感じない可能性があります。
 今年の7月に、テレビのワイドショーでどのように報じられていたかは今から確認できないのですが、少なくともネット上で流布していた言説、そして毎日新聞や日刊スポーツ、モーリー・ロバートソンさんによる英語ツイートなどには問題がありました。ネット上では、ROJとQJの記述を無批判に並列し、それらを混ぜ合わせたいじめを小山田さんがしたという言説が広く流通していました。新聞などの報道機関は、このnoteですでに取り上げたROJとQJの間の食い違いに注意を払うことなく、炎上しているという状況を報じました。そこには、あるブログを通じて誤ったイメージを得た読み手が、二つの記事の内容を混ぜ合わせて受け取ることを防ごうという意識は、まったく見られませんでした。それどころか、小学校から高校に及ぶ長期にわたるいじめがあったとしたり、QJで小山田さん自身が関わりを否定しているものを小山田さんに帰したり、人種差別的ないじめがあったとしたり、など、雑誌記事を元にすれば誤りとしか言えない内容を含んでいました。


これらのメディア上の情報のみで小山田さんのいじめに関する情報を得ていた人は、障害者に大便を食べさせたり自慰行為をさせたりなどのいじめをしたと、小山田さんが自ら語ったと信じている可能性があります。そう信じている人が、それを否定するインタビューや謝罪文を読んでも、ただ単に小山田さんが自分の語ったことを否定したようにしか見えなくても、無理はないのかもしれません。

しかし、実際には、小山田さんはそんな風には語っていませんでした。一方のROJには障害者についての発言はなく、他方QJには大便を食べさせることについての発言はなく、さらに両者の間で自慰行為に関する発言も食い違っていました。まともにものを考える人なら、これら二つを単純に並べ、混ぜ合わせてできたイメージに基づいて批判し非難することなどできないと思うはずです。話がうまく噛み合っていないので、過去にどのようないじめがあったのかをうまく思い描けないからです。そして責任をもって情報を伝えようと心がける報道関係者なら、しっかりした事実確認の必要性を感じるはずです。しかし二つの記事の間の食い違いはなぜか無視され、本来なら混ぜ合わされないはずのものが混ぜ合わされてできたイメージが流通し、それに基づいて激しいバッシングが行われたのでした。

小山田さんがインタビューと謝罪文で認めた事実は、ROJとQJの記述を合理的に読んで推察できることと、ほぼ一致します。ROJの発言からは大きく外れているのは確かですが、しかしこの二つの雑誌を合わせて根拠とするときに合理的に推察できることを、小山田さんは自身で認めているのです。自分で盛んに吹聴していたことをインタビューと謝罪文で取り消した、というわけではありません。言い訳をしているのでもありません。むしろ、二つの雑誌記事を整合的に読んだ結果からみて説明は一貫しており、そして自身で一貫して認めているいじめの事実(および、二つの雑誌記事における語り)について謝罪しているのです。小山田さんが否定しているのは、混ぜ合わせることで出来上がった、そもそもまともな根拠がなかったイメージの部分です。


私が小山田さんのインタビューや謝罪文を信頼するのは、もちろん彼のファンであることが作用してもいるのでしょうが、けっしてそれだけではなく、語っていることの一貫性という根拠があるからだ、ということを理解していただきたいと思います。

インタビューや謝罪文だけを読んでいても、そしてそれについての報道や意見を読んでも、このようなことは分かりません。ただ単に、小山田さんが過去に自分の語ったことの一部を否定し謝罪したようにしか見えない。信用するに値しない、と思うのも当然かもしれません。
インタビューや謝罪文に対して正当な理解を広げるには、「報道の際に参照した小山田さんのいじめに関する情報に問題があったのではないか」、「一部のメディアの報道内容はROJとQJの内容の批判的検討を怠っていたのではないか」、「その結果小山田さんに不当に厳しい非難を浴びせてしまったのではないか」と、メディア自身が振り返り、批判的に検証することが絶対に必要です。
まともな根拠がないまま、メディアを通じて不当なイメージが流布され、なされるべき批判や非難をはるかに超えるバッシングが行われて名誉と社会的信用が強く傷つけられてしまったのですから、これに加担したメディアには、報道内容を検証し、報道された内容に不当な部分があったと広く伝えなければなりません。そうする責任を、たとえば毎日新聞や日刊スポーツは負っているはずだと思います。


ですが、残念ながら今のところそのような検証がなされる様子はありません。私はワイドショーなるものをまったく見ないのですが、「バイキング」という番組が小山田さんのインタビューを取り上げると聞き、見てみました。番組では芸能人の方々が、小山田さんの反省と謝罪を受け止め、好意的に見ようとする姿勢がうかがえました。それはよかったのですが、今年の7月に各種メディアが小山田さんについて報道していたことが果たして正当であったのかどうかは、まったく検討されていませんでした。小山田さんが発言したことの一部を否定しつつ、自らの非を認めて反省を示したことは語られても、バッシングが不当だったのではないかという問いは、誰からも出されませんでした。出されるべきであったのに。


たとえば、この番組に出演されていた田村淳さんは、ご自身のYouTubeチャンネルで以下のように取り上げていました。

https://www.youtube.com/watch?v=iPQ1gFDJ210&t=9s

小山田さんがしたとされる行為について、田村さんは具体的には語っていません。しかし私は、ROJとQJを整合的に読むことから合理的に推測される行為は、いじめではなく犯罪だと呼ぶべきものかどうか、疑問に思います。この点について、せめて一言ぐらい釈明があってもよかったのではないでしょうか。

田村さんにかぎらず、小山田さんに関する報道に関わった方々には、いつか・どこかで必ず報道内容の正当性について、検証していただきたいです。

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