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エッセイ

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#創作

わたし心と秋の空

夏、あんなに手の届きそうだった雲

秋になって、気づけば空高く、遠くに浮かんでいる。

穏やかで柔らかなひかりが降り注ぐ空には手を伸ばしても何も掴めない。

新しい季節の始まりに、手を伸ばす。

何にも届かない。

近くて遠くてそれでいて覆われている。

何も考えたくない、感じたくない私の横をいてつく秋風がかっさらっていく。

わたしは夏より弱くなった。

弱くなった訳じゃなくて、元のちからに戻っ

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カクテルの空がいく

ちょっとだけかっこいい服を着てバイクに乗っていた、原付だけど、白黒の線を渡る小学生は私を見ていた。

かっこ悪いわたしでも、大人のお姉さんに見えたのかな。

そんな子供の瞳が私は昔怖かった。なんでも見透かすような瞳が怖かった。

でも、今は素敵な水色のランドセルもお揃いの黄色い帽子も全てが宝物のように見えます。

あなた達がいて、信号があって、満タンの原付があってわたしは満足なんですよ。

機嫌が

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ジャム

イチゴのヘタを取って鍋に入れる。

水と砂糖、蜂蜜を入れて火にかける。

甘ったるい奥にツンと酸っぱい匂いが立ちこめる。

イチゴを潰しながら勝てなかった戦を思い出した。

想いも、思惑も、愛も、努力も、そのピンクの沼の前では何もかも無力だった。

この鍋の中のように煮詰まっていって、しかし本質は変わらなかった。

私はどうして勝てなかったのか。何に負けたのか。どうして勝ちたかったのか。

たぶん

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強欲な壺漬けわたし

半年ほど前から知り合いのインスタに社会人の彼氏が登場するようになった。スーツを着ているし、写し方が後ろ姿とか首から下とか、恋人ですとはっきりいっているみたいなもんだ。

スーツ彼氏は仕事帰りにかわいい女子大生の彼女を飲みに連れていく。大学生と違って羽振りが良さそうだ。クリスマスにもブランドのバックなんかプレゼントしていた。

最近は顔をはっきり写すようになった、その度に「あ、そんな大したことないな

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宇宙の彼方でまた会いましょう

恋人と二度と会えない状況…それだけでとても悲しいけれど、死別や別れる(結婚してるなら離婚等)だけではなくて、宇宙に飛び立ってしまうとかが1番私は悲しいなって思う。

死別は事故とかだったら突然のことだし心の整理がつくまで相当かかると思う。でもいつかは諦めがつくはず。離婚とかも自分の方は好きなまま別れを告げられたならしばらく立ち直れないかもしれない。でも相手の気持ちがもう戻ってこない、他に好きな人が

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