マガジンのカバー画像

Fichronicle

59
運営しているクリエイター

#連載

Fichronicle #57 『都会的な店で その7』

(スープは何にしようか。)

今度は、スープ売り場の前でかごを持ちながらそわそわしてる。

軽食と言えど僕なりの世界観をこんだてという形で作りたい。日常の中での表現である。

ここのお店のお湯をかけて食べるスープはすごく美味しいんだよね。種類もとても多いから選びがいもある。

カレーがクリーミな味わいだからバランスを取るのも兼ねて、ごくごく飲めそうな野菜系のスープにしようかな。

(これ美味しそう

もっとみる

Fichronicle #53『都会的な店で その3』

店内を歩いていると家電が売っていた。たまに話題になるジェネリック家電かな。

電子レンジやトースター、炊飯器といった調理家電に、冷蔵庫や洗濯機といった生活家電、いわゆる白物家電が置いてあり、この店の世界観らしい品揃えだった。

(これもジェネリック家電?)

僕が気になって近づいたのは有機ELをディスプレイに使用したテレビ。よく見ると宣伝映像を再生するためのモニターだった。

(有機ELはきめが本

もっとみる

Fichronicle #51 『都会的な店で』

2021年4月25日(日)。

今日は散歩も兼ねて中心街に行く。場所は大型商業施設。

いつだろうか‐それは僕が大好きな女優さんがバイオリンをドラマの中で奏でていたころ‐その建物の中に、有名な雑貨屋が入った。

僕はあまり買い物をするタイプでもないので、お店にも行く機会も少ないけど、今日は大好きな女優さんが出演した雑誌の記事を、収納するクリアファイルを探しに、ここへ来た。

(お客さん多いな)

もっとみる

Fichronicle #49 『画面越しの歓声』

2021年4月10日(土)。

今日は初めて名前を聞いた、どこかの公園でフェスが行われる日。

会場のまでの距離は知らない。新幹線とか電車を乗り継いで行く場所だと思う。

行きたかったフェスの話をしているように見えるけど、僕は今3m前にあるテレビ画面から会場のリアルタイムの模様を観ている。

会場は人でたくさん。まだライブは開始前で主催団体の中の人が前説をしていた。

「今回は初となる、リアルとオ

もっとみる

Fichronicle #48『歌』

 2021年4月3日(土)。
 少し前に放送してた音楽番組の何回目か分からないリピートをしていた。

 “音楽大国ドイツ”のストリートミュージシャンを取り上げた番組で、最近音楽マニアのようになりつつある、僕にとっては興味が湧く内容だ。

 その中で僕はとある音楽家の存在を知った。
 この番組の取材を受けるミュージシャンが口々に彼の名を言う、そんな人物。

 彼の歌にある

過去を振り返るな 今は多

もっとみる

Fichronicle #47 『暗号を解き始めて500万年』

「君ももう二十歳か」と言われ

僕は「どうしようもない二十歳ですよ」と返すと

「まだ人生折り返しでもないのに何を言ってるんだ」と返ってきた。

ここでの僕の文脈は『成人してもどうしようもない人間のまま』で、その方もこの意味を汲み取った上での返答だった。
2021年3月28日(日)現在、-もうすぐ変更されるけど-日本においては20歳が成人の歳に当たる。

普段、同年代と人とオフライン上で会話をする

もっとみる

Fichronicle #46『ドライブ』

2021年3月21日(日)
春休みのただ中にある日曜。バイトも休みだと暇になる。

せっかくの春の日曜日だし外出したいな。
というわけで、近所のレンタカー店で車を借りてドライブへ行く事にした。
最近はネットで予約も出来るそうで、既に申し込みを済ませておいた。お話があまり得意ではない僕にとってインターネットでの手続きはありがたい。

午前10時。朝ごはんも食べて着替えも済ませると、いつものように「出

もっとみる

Fichronicle #45『映像ファイルのパスワード』

2021年3月8日(月)。
3月も上旬へ近づき、日に日に暖かくなって来ている。僕のコーデもあってか、少し歩けば汗が出るほど。

春の道を北半球が進む中、今日SNSでとある話題に人々が注目していた。金曜日の夜に放送している映画枠のタイトルが昔のものに戻るという話に。

記事にはこのタイトルが2012年3月まで使用されていた、と書いてある。
今回、9年の時を経て戻ることになる。

僕は、この話題そのも

もっとみる

Fichronicle #44『近未来の観測者』

2021年3月5日(金)。
たまたまSNSを見ていると、とある街に新しいショッピングモールがオープンしたという投稿を見かけ、僕はとても驚いた。

画面に映るショッピングモールの入口は、高級感と木を取り入れたモダンなデザインで、まるで観光地のような見た目をしており、僕がこのモールのデザインに持つイメージを大きく越える姿をしていたからだ。

(これが、このモールの新しい姿、、、?)

僕はこの店舗の事

もっとみる

Fichronicle #43『リメイク』

2021年2月27日(土)になってから、数十秒。SNSの「現在の人気ワード」に僕にとって馴染み深いゲームタイトルが載っている。

リメイク版が今年発売されると書いてあった。2006年に発売された作品で、今回、15年の時を経てリメイクされる事になる。

SNSは歓喜で満ちている。昨日(2021年2月26日(金))辺りからリメイクの話がなんだか盛り上がっていたような気がするけど、たぶん偶然だと思う。販

もっとみる
Fichronicle #42『土日は何時でもおでかけ日和』

Fichronicle #42『土日は何時でもおでかけ日和』

2021年2月20日(土)。バイトの帰りに駅前の電気屋へ寄る。ちょっとした買い物へ来た。ここへ来るのは久しぶりで、買うものは同じ。

いつも通りここは入り口が賑やかだ。音に光に色んなもののボリュームが大きい。

入り口からすぐのコーナーに置かれている、ワイヤレスイヤホンを見て、ありふれたものになって来たなと思う。お値段が高いから僕はケーブル付のイヤホン使ってるけど。家の中でならこれが良いな。充電も

もっとみる
Fichronicle #41『チョコレート』

Fichronicle #41『チョコレート』

2021年2月14日(日)。今日はバレンタインデーだ。

ところで今、僕は朝からとあるスーパーにチョコを買いに来ている。自分チョコっていうのを買いに来たのだ。

僕はどこにでもいそうな地味な大学生だ。人と普通に話すし、緊張することも昔に比べればないも同然。だけど僕は地味なまま。
というわけでチョコを買いに来た。あと親に頼まれた調味料を既にカゴの中に入れてある。

チョコは何にしようか。せっかくだか

もっとみる

Fichronicle #40『星』

2021年1月31日、この日の星の時間、公共放送を行うテレビ局にて太陽系のとある惑星をテーマに約1時間番組が放送されていた。

それから6日後の2月6日(土)、僕は暇な時間を手に入れて、テレビの録画リストに入っているこの番組のファイルを開いた。

宇宙は僕にとって、とても好きなテーマの一つで、小さな頃からの憧れの存在。宇宙飛行士に憧れ、月面への着陸してみたいと思う、そんな時代もあった。
あれから1

もっとみる

Fichronicle #39『Lunch』

2021年1月25日(月)。学校がお昼で結ばれた今日は大寒の次候、水沢腹堅(沢に氷が厚く張り詰める)という日、と電車に乗っている時に電光掲示板のループする文字列に書いてあった。
そのわりには今日は暖かい。先週よりも暖かい。空気の透明度も何週間か前とは違う。
数週間前のことを考えると今日は春の始まりのようだ。それくらい暖かい。

お昼の学校は結ばれた。なんとなく電車に乗ってここまで来た。まだお昼を食

もっとみる