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Fichronicle#59『都会的な店で その9』

食料品をかごに入れた僕は、レジの方へと歩き出す。

20歩くらいだろか。それくらい歩を進めた先で湯気をほわほわ〜と漂わすスペースがあった。

気になったので近づいてみると湯気と共に香りも漂わしていて、詳細を確認するとどうやらアロマオイル対応の加湿器の実演のよう。
周りには金属製のキャップが付いた、たくさんのアロマオイル入りの瓶もあった。

(アロマオイル対応の加湿器、前から欲しいと思ってたけどサイ

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Fichronicle #58『都会的な店で その8』

カレーを買った。スープも買った。

これで良いかなと思ってレジの方へ近づこうとする僕の前に現れたのは、あるポピュラーな飲み物だった。

(サイダーだ。)

そこには瓶に入ったソーダが竹か何かで出来た植物性のカゴに山々と置いてあった。

(このデザイン、良い!)

僕がそう思ったのはこのサイダーのパッケージの素朴さだった。ラベルには大きく「サイダー」とだけ書いてあり、他は説明書きがひょっこりとあるだ

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Fichronicle #57 『都会的な店で その7』

(スープは何にしようか。)

今度は、スープ売り場の前でかごを持ちながらそわそわしてる。

軽食と言えど僕なりの世界観をこんだてという形で作りたい。日常の中での表現である。

ここのお店のお湯をかけて食べるスープはすごく美味しいんだよね。種類もとても多いから選びがいもある。

カレーがクリーミな味わいだからバランスを取るのも兼ねて、ごくごく飲めそうな野菜系のスープにしようかな。

(これ美味しそう

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Fichronicle #56 「都会的な店で その6」

アルミ製の袋に入ったおかずやお湯をかければ出来上がりなスープがあるコーナーに大判のクリアファイルと木製スプーン、アカシアで出来たお椀を買い物かごへ入れて訪れた。

ここへ来た理由としては、せっかく食器を買ったんだからこれで何かを食べたいという単純なもの。

この店のパウチ系食品の代表格と言えば僕の中ではカレー。

僕はカレーのことは昔本で少し読んだくらいであまり詳しくはないけど、ここにあるものはな

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Fichronicle #55『都会的な店で その5』

急須と湯飲み茶碗の隣にあるのは、木のスプーン。

数百年前であればきっとメジャーな存在だったように見えるそれは、2021年の現代ではロマンや趣のあるものとして僕の中では存在している。世間的にはどうかは今のところ知らない。

木のスプーンもまた、この店の世界観に合っている。

(食器は何にしようか。)

スプーンを使うには食べ物が必要。食べ物を供するには食器が必要。

そんなことを思うお客の気持ちを

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Fichronicle #54 『都会的な店で その4』

雑貨コーナーへ来た。

この店と言ったら、なデザインの商品がずらりと並んでいて、僕はホワイト一色の西洋風の急須と東洋風の湯飲み茶わんに惹かれた。

いわゆる茶器。

この前、最近よく観てるテレビ番組で世界の紅茶文化がテーマだったこともあり、僕にとっては少しタイムリーな商品だ。

(急須はなんだかイギリス的。)

その番組でイギリスのアフタヌーンティーが紹介されていて、それから影響を受けていそうなこ

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Fichronicle #53『都会的な店で その3』

店内を歩いていると家電が売っていた。たまに話題になるジェネリック家電かな。

電子レンジやトースター、炊飯器といった調理家電に、冷蔵庫や洗濯機といった生活家電、いわゆる白物家電が置いてあり、この店の世界観らしい品揃えだった。

(これもジェネリック家電?)

僕が気になって近づいたのは有機ELをディスプレイに使用したテレビ。よく見ると宣伝映像を再生するためのモニターだった。

(有機ELはきめが本

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Fichronicle #52『都会的な店で その2』

(窓際の方に本棚がある。しかも席まで。)

ここはいわゆる雑貨屋。しかし、そこにはたくさんの本が並んだ棚と、実際に使用されている席があった。

僕の中における、雑貨屋の概念を越えた存在が、そこにはある。どんな本があるか気になるし、見に行くことにした。

(昔以上に木目を意識したデザイン。)

そこへ向かってる時に思う。最近はこういったデザインが建築界ではブームのように見える。ショッピングモールもそ

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Fichronicle #51 『都会的な店で』

2021年4月25日(日)。

今日は散歩も兼ねて中心街に行く。場所は大型商業施設。

いつだろうか‐それは僕が大好きな女優さんがバイオリンをドラマの中で奏でていたころ‐その建物の中に、有名な雑貨屋が入った。

僕はあまり買い物をするタイプでもないので、お店にも行く機会も少ないけど、今日は大好きな女優さんが出演した雑誌の記事を、収納するクリアファイルを探しに、ここへ来た。

(お客さん多いな)

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Fichronicle #50 『画面越しの歓声 その2』

2021年4月10日(土)
フェスが始まった。僕が観ているのは『OASIS STAGE』
イメージカラーはオアシスという言葉に合わせたのか水色だった。

1組目の演奏を眺めている。メジャーデビューからまだ数年の、新進気鋭の若手バンドが最初らしい。
このバンドの事を聞く機会は多くて、配信サービスのランキング上位の常連でもあったりする。新曲を出せば話題に、そんなバンド。

それから僕は数時間、推しのバ

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Fichronicle #49 『画面越しの歓声』

2021年4月10日(土)。

今日は初めて名前を聞いた、どこかの公園でフェスが行われる日。

会場のまでの距離は知らない。新幹線とか電車を乗り継いで行く場所だと思う。

行きたかったフェスの話をしているように見えるけど、僕は今3m前にあるテレビ画面から会場のリアルタイムの模様を観ている。

会場は人でたくさん。まだライブは開始前で主催団体の中の人が前説をしていた。

「今回は初となる、リアルとオ

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Fichronicle #48『歌』

 2021年4月3日(土)。
 少し前に放送してた音楽番組の何回目か分からないリピートをしていた。

 “音楽大国ドイツ”のストリートミュージシャンを取り上げた番組で、最近音楽マニアのようになりつつある、僕にとっては興味が湧く内容だ。

 その中で僕はとある音楽家の存在を知った。
 この番組の取材を受けるミュージシャンが口々に彼の名を言う、そんな人物。

 彼の歌にある

過去を振り返るな 今は多

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Fichronicle #47 『暗号を解き始めて500万年』

「君ももう二十歳か」と言われ

僕は「どうしようもない二十歳ですよ」と返すと

「まだ人生折り返しでもないのに何を言ってるんだ」と返ってきた。

ここでの僕の文脈は『成人してもどうしようもない人間のまま』で、その方もこの意味を汲み取った上での返答だった。
2021年3月28日(日)現在、-もうすぐ変更されるけど-日本においては20歳が成人の歳に当たる。

普段、同年代と人とオフライン上で会話をする

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Fichronicle #46『ドライブ』

2021年3月21日(日)
春休みのただ中にある日曜。バイトも休みだと暇になる。

せっかくの春の日曜日だし外出したいな。
というわけで、近所のレンタカー店で車を借りてドライブへ行く事にした。
最近はネットで予約も出来るそうで、既に申し込みを済ませておいた。お話があまり得意ではない僕にとってインターネットでの手続きはありがたい。

午前10時。朝ごはんも食べて着替えも済ませると、いつものように「出

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