自分の所在がわからず幽霊のようだった頃、ゆきどころがなく悲しくて寂しかったけど、身体が軽かった。今はなんか切実なひとのことばとか色々な事実に触れたことで自分が急…
母が持っていたYael Naim のアルバム。その中の一曲であるlonelyをはじめて聴いた時、寂しさという感情を、わたしに(そして多分すべてのひとに)根付いた懐かしいものだと…
海から来たはずの私たちのからだなのに、埋み火のような熱を宿さずにおれない 溢した涙は塩の味がする、あつい。 うみはどこですか うみは、どこですか 遠い日の…
2019/4/12 みずのうた 水底にしずんでいくのをさよならとつぶやきながらずっとみていた お昼には乾いた庭の水溜り 淡い光がうかんでたのに てのひらのしわのあいだ…
2020/3/30 湯たんぽのお湯が揺れてるその音で鼓動がわかるから抱きしめる 春だよと暦の数字押しつけた寒いといえず萎れるきみに (ここにいて、うそです、やっぱそ…
しろい蛇を飼うおんな ふたりで水を張った水槽に金魚はいない。 きみ。 水槽のなか、ひかる、鱗が。触れられぬ空気を幾重にも重ねたような透明な白さで。 「きれいね」と…
御神籤を引いたね どこに落ちていくかわからなかった、ことばが。ただ、ならんでいるひと、火が燃えるのを見ると、滲む。ここにいたいみたいだ。だから御神籤を引いた。「…
とくべつな日をとくべつな日だと思わなければいられないこと とくべつなひとをとくべつなひとだと思わなければいられないこと わたしのそれは、そういう種類の、心の狭さで…
うみのそこに しずんでいくのをさよならとつぶやきながらいつまでもみていた きれいなものははっきりとみているとめがいたい みえないみたくない でもすきなので みなそこ…
2019/6/11 今日のことをあれこれ考えて 血なまこで自分のためのように にんじんの面取りをする 切実でもうつくしく、悩ましくもさらさらとした、べつせかいのいとおしい…
2019/8/22 しろい朝しろい錠剤のみくだす ふるえる喉にポカリが滲む 呆れつつ不毛を買わずに済むのにな うつくしい消費があるのであれば 生垣に放らる空き缶のあはれ…
2019/7/4 夜の空気はひんやりしているのにおもたく濃くて、電波越しの声はなんだか甘いので、泣かないでと思いながら、泣きそうにふるえる声で笑います。 名前を呼びたい…
淵
2021年5月15日 14:39
自分の所在がわからず幽霊のようだった頃、ゆきどころがなく悲しくて寂しかったけど、身体が軽かった。今はなんか切実なひとのことばとか色々な事実に触れたことで自分が急に人間味を帯びて来て、からだが重い。この変化が良いか悪いかわからないけど、これをなにかかたちにしたい。いまは、思いを形にする方法が、技術が欲しい。入力ばかりしてて、それにいっぱいいっぱいで、出力をしてなくてその焦りが苦しい。でも、こ
2020年7月13日 23:56
母が持っていたYael Naim のアルバム。その中の一曲であるlonelyをはじめて聴いた時、寂しさという感情を、わたしに(そして多分すべてのひとに)根付いた懐かしいものだと無意識下に感じるのと同時に、それに憧れのようなものを抱いていた。それは幼いわたしには高尚で、センシュアルな薄青色の美しいものに思えた。でもそれは今となってはわたしに近くて、残酷なものだった。Making it insan
2020年5月26日 20:58
海から来たはずの私たちのからだなのに、埋み火のような熱を宿さずにおれない 溢した涙は塩の味がする、あつい。うみはどこですか うみは、どこですか 遠い日の私たちがしたように、つめたい水底に潜みたいのですこんな、熱くて苦しいみずをかかえて、おもたいからを引き摺って、内側だけが淡く撓んでいる、私たち、溢しながら、あなたを見ている こども、ですか、?私たち、の
2020年3月31日 01:21
2019/4/12 みずのうた 水底にしずんでいくのをさよならとつぶやきながらずっとみていた お昼には乾いた庭の水溜り淡い光がうかんでたのに てのひらのしわのあいだのしめりけのあたたかいのはきっとその場所 君の頰流る朝露舐め取りてさいはひなりと泪をながす かえりたい、死んで行くのはこわいので胎(はら)の水面(みなも)をおもいだしては 膝の上寝ている僕に聴こえてる
2020年3月31日 00:24
2020/3/30湯たんぽのお湯が揺れてるその音で鼓動がわかるから抱きしめる 春だよと暦の数字押しつけた寒いといえず萎れるきみに (ここにいて、うそです、やっぱそこにいて)やさしい距離がわからないです みぎひだりあてずっぽうにあるく夜は終わりのことが見えなくていい 「ほらこれが愛です」そう言いきみの受けた手を見てそれが押し売りと知る病みあがり胸におさまるきみに
2020年2月11日 19:49
かばん文庫小川洋子(1994)『薬指の標本』新潮文庫
2020年2月11日 19:43
ひさしぶりに詩をかけた
2020年2月11日 19:42
海老名私立中央図書館とてもいいな文月悠光さんの『わたしたちの猫』と『ねむらない樹 vol.1』を購入して読めたのでうれしい
2020年2月11日 19:07
しろい蛇を飼うおんなふたりで水を張った水槽に金魚はいない。きみ。 水槽のなか、ひかる、鱗が。触れられぬ空気を幾重にも重ねたような透明な白さで。「きれいね」ときみが呟く。わたしが聞いたことのない、澄んで粘ついた声で。 いまへびを掴むそのてで、わたしを愛してくれればいいのに。とうめいをつかめぬ寂しさを愛おしむような距離で、怯えながらへびを血で濡らして、じぶんのからだに受け入れるきみの
2020年1月2日 00:03
御神籤を引いたねどこに落ちていくかわからなかった、ことばが。ただ、ならんでいるひと、火が燃えるのを見ると、滲む。ここにいたいみたいだ。だから御神籤を引いた。「ことしは微妙だな」なんて言って、次の年をまた待っているみたいだった。待っているのだろうな。それが嫌だ。浅ましくて、甘い。浮いていた。ビールの、オードブルの、お雑煮の上を、家族の、自分の笑い声の上を、わたしだけが浮いていた。酔って人にメ
2019年12月30日 18:02
とくべつな日をとくべつな日だと思わなければいられないこととくべつなひとをとくべつなひとだと思わなければいられないことわたしのそれは、そういう種類の、心の狭さですそこにいてくれればいいと、でもそれはわたしにとって永遠でないので永遠でないので、「ただそこにいてくれればいい(たとえば、きょうこの日から、だいたい二年と七ヶ月)」などというような「軽い」響きのことばは、うわべだけで、大嘘です、三ヶ月が
2019年12月26日 19:04
うみのそこにしずんでいくのをさよならとつぶやきながらいつまでもみていたきれいなものははっきりとみているとめがいたいみえないみたくないでもすきなのでみなそこのきみをみるとりんかくがぼやけてまろやかにみえるさわれそうでさわれないきみがいとおしいさようならさようならわたしはじぶんがきらいです 水底にしずんでいくのをさよならとつぶやきながらずっとみていた 泣きながら、いつかいなくな
2019年12月26日 18:46
2019/6/11今日のことをあれこれ考えて血なまこで自分のためのようににんじんの面取りをする 切実でもうつくしく、悩ましくもさらさらとした、べつせかいのいとおしいひとたち静かに降り積もるように沈んでいくのが見えるのに、みんな私の前から消えていくありがとう、どうか、安らかでいてください あの人のことを思い出しにんじんの面取りをする自分のために 自分の面取りがしたいん
2019年12月25日 15:49
2019/8/22しろい朝しろい錠剤のみくだすふるえる喉にポカリが滲む 呆れつつ不毛を買わずに済むのになうつくしい消費があるのであれば 生垣に放らる空き缶のあはれは有機にまぎる無機へのあこがれ 無為の意を間違えていた生活は”から”が溢れているだけだった 殻、パッケージ、吸い殻、なかがないものが、ふえていく かわらずにシャワーを浴びるあすのため溺れることを毎
2019年12月25日 04:26
2019/7/4 夜の空気はひんやりしているのにおもたく濃くて、電波越しの声はなんだか甘いので、泣かないでと思いながら、泣きそうにふるえる声で笑います。名前を呼びたい。でもこれはあなたの耳に、あまりに近いので、なにかを壊しそうですこし怖いのです。夜の空気がいくえにも重なって、そとが黒くて、あなたが見えない。きこえますか。きこえていなくてもいい。あなたの声が、きこえます。
2019年11月23日 01:33