モノより体験。パンを買う

2021年4月11日 21:34

モノより体験を買え
一度は耳にする言葉である。

右から左へ抜けていきそうな言葉
トップ10には確実に入るであろう。

最近テレビで高級パンの
特集があった。

オープンには大行列で
誰もがパンを買い漁っていた。

僕の買い物ゾーン地域にも
系列のパン屋っぽいところが
できていることを思い出した。

今日完全にたまたま付近を
通りかかった。完全にだ。

僕はとてもお腹が空いていた。
一人だったこともあり
ちょっと菓子パンでも
つまみたくなったのだ。

一回行き過ぎたが
Uターンして
その店舗のある駐車場に
車を停める。

がっつり降り注ぐ雨の中
傘で体をガードしつつ
店舗へ向かった。

すると

前方がよく見えず
あろうことか
かっこ悪いことに入り口を見失い
あたふたしてしまった。

慌てて入り口へ向かい店に入ると
そこで驚愕の事実を知る。

あまりに商品がなく
ビビって店員さんに声をかけた

僕「あ、初めてなんですけど・・・」

と言葉を見つけると店員さんは

店員「今日はこの2つがあります」

なんと

食パンとレーズンパンの2択
だというのだ。

僕はレーズンパンが嫌いだ。
必然的に選択肢はもうない。

いやこの状況から逃げることもできる。
しかしそんな恥ずかしいことはできないぞ

と2秒
脳内でそんな攻防を繰り広げながら
僕は1択しかない食パンを
期待と無念の思いで選択した。

当然ながら今食べることはできない。

しかしながら

家族と800円もした高級食パンを
食べる姿を想像すると
とても幸せな空気に包まれた。

その他用事をすませ
家に帰宅。

妻に早速報告した。

妻「800円！高！でもおいしんじゃない？」

僕は思った。体験を買ったんだ。
だがうまくなくてはとても困る。
僕は食べ方がわからないと伝えた。

嫁は生でも食べると言うので
二人で同じタイミングで
一斉に食べることにした。

二人「うん・・・普通」

我々一般庶民には
スーパーの食パンとの歴然の違いは
わかることはなかった。

ただ

よく噛めば
わずかに甘い気がした。
それは砂糖の量かもしれない。
いや隠し味だ。
そうだと思いたい。

嫁「うーん。焼くとちがうのかも」
と嫁が言い出し焼くことにした。

期待を胸にパンに噛み付く。

僕はわずかに甘みを感じた。

小3の息子、2歳になる娘は
何故か食べるのを嫌がった。
その理由は全くわからない。

僕はパンを買ったのではない
体験を買ったのだ。

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