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満腹の子どもは飯を食わない


2024年5月3日(金)朝の6:00になりました。

この世のすべての食材に、感謝を込めていただきます。

どうも、高倉大希です。




満腹の子どもは、飯を食わない。

教育業界で仕事をする中で、学んだことのひとつです


知りたいと思っていない子どもに、いくら勉強を教えても一向に定着しません。

聞きたいと思っていない子どもに、いくら話をしても一向に伝わりません。


逆に言うと、優れた教育者は空腹にさせるのが上手です。

出す飯がうまいのではなく、子どもの腹を空かせるのがうまいのです。


例えばスポーツにおいてコーチが「提案させるが採用しない」「意見を言わせるが聞かない」ことを繰り返すと、選手は提案も意見も言わなくなる。やっても無駄だと学習するからだ。人が好奇心から動きたくなるのは変化する可能性があるからで、それがないとわかれば人は沈黙する。

為末大(2023)「熟達論」新潮社


彼らに共通することは、じっくりと機会を待つ姿勢です。

腹を空かせていない子どもの前に、飯を出すことはありません。


同時に、腹を空かせたその瞬間を逃さない耳をもっています。

ぐうぐうと音が鳴りはじめたその瞬間に、さっと飯を出すのです。


子どもたちは、おもしろいくらいに食いつきます。

そんな場面を、これまでに何度も目にしてきました。


講演が終わると講堂からみんな一斉にでてきて、「超、面白かった!!」と興奮した様子で歩いていくわけです。その歓声を聞いたら、別室にいた子たちもさすがに「うーん、やっぱり聞いておけばよかったな」と後悔するんですね。わざわざ誰かが「もったいなかったな」なんて言わなくても、大人が無理やり機会を与えなくても、子どもたちはちゃんと自分で葛藤して、学ぶんです。

東洋経済ONLINE『子ども強制参加の「音楽鑑賞会」が残念すぎるワケ』工藤勇一さんの発言より


一方で、満腹の子どもに飯を食わせようと頑張っている現場もあります。

ちょっと空いたらすぐ食わせ、またちょっと空いたらすぐ食わせます。


飯の供給が、途切れることはありません。

おかげで、子どもたちの腹が空くこともありません。


飯が食えるのは、幸せなことです。

その一方で、満腹には苦しみが伴うことも事実です。


トムはいかにも楽しそうにペンキを塗って、この仕事がたまらなくおもしろいふりをする。そしてこう友だちに話す。「これが雑用だって?塀を塗るなんて、おれたち子どもがそう毎日やらせてもらえることじゃないだろう?」この新しい「情報」を得たトムの友だちは、塀塗りのおもしろさを発見する。まもなく、友だちは塀塗りをさせてもらうためにトムにお金を払いはじめ、それだけでなく、この作業をほんとうに楽しむようになる。

ダン・アリエリー(2013)「予想どおりに不合理」早川書房


Hunger is the best sauce.

空腹は最上の調味料だ。


どうやら、元はソクラテスの言葉だそうです。

本当に、よく言ったものだなと思います。


満腹の子どもは、飯を食わない。

飯を提供する前に、腹を空かせねばなりません。






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