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冗談はいつも真面目な顔で


2024年1月23日(火)朝の6:00になりました。

我慢は力よりも気高く、忍耐は美しさに勝る。

どうも、高倉大希です。




トップスと靴下の色を合わせよう。

カバンとスニーカーの色を合わせよう。


着る服を決めるときは、いつも色合わせを考えます。

これは、文章を書くときもおなじです。


冒頭で撒いたタネを、終盤で回収してみたり。

いちど用いた表現を、もういちど重ねてみたり。


書き手とは、大隊を率いて一度に1人しか通れないような狭いすき間を縦列進行させる司令官のようなものだ。一方、読み手は出口で軍隊を受け取り、その隊列を再び整えていかねばならない。題材がどんなに大きかろうが、またどのように扱われていようが、そのコミュニケーションの方法はこれひとつである。順序や配列に関して、書き手が読み手にどんな義務を負っているかがわかるだろう。

バーバラ・ミント(1999)「考える技術・書く技術」ダイヤモンド社


引用符の外側で、ほかの人の言葉を借りてくることもよくあります。

歌詞の一部を借りてきたり、小説の一部を借りてきたりします。


色合わせも、引用も、わざわざ説明することはありません。

気づいてくれる人が、ひとりでもいればいいな。


このくらいの状態でとどめます。

どれだけ気づいてほしくても、その気持ちはぐっと抑え込むのです。


うるさい文章にならないために気をつけたいのは「かぶれた人」にならないようにすること。(中略)そこに至らないために必要なのは、「客観性」です。空気や水のようなかっこいい文章を書くには、「対象から適度に距離をとること」が不可欠やねん。

田中泰延、直塚大成(2023)『「書く力」の教室」SBクリエイティブ株式会社


書き手のドヤ顔が見え透いた表現ほど、嫌なものはありません。

ましてや、自分のギャグを自分で説明するなどご法度中のご法度です。


ときどき、冗談を言ったあとに「冗談ですよ」と言ってしまう人がいます。

「真に受けられたらどうしよう」という不安に、押し負けてしまっています。


冗談を言うときは、いつだって真面目な顔をしていなければなりません。

相手を信じて、ぐっと我慢して待つのです。


作者すら気付いていない作中で生じた現象を掴んだり、「このように鑑賞する方法もある」と新たな角度から作品に光を当てなければ意味がないと考えている。

又吉直樹(2023)「月と散文」KADOKAWA


もちろん、誰にも気づいてもらえないことだってあります。

自信作であればあるほど、なんだか寂しい気持ちになります。


だからといって、「さっきのあの表現はさ」と説明をはじめてはなりません。

気づいてもらえなかった表現は、潔く引っ込めるのです。







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