時代の後ろ姿
日本が寝静まる時間
おもいきって確かめに行くことにした
目を反らしていたあの場所に
昔、私がまだ少女だった頃大切な場所があった
畑が小高い丘の下に広がっていて
緑色のでこぼこ道を私は歩く
もぐらにも出会ったし、猫の集会にも
招かれた
畑の向こうには、優しいおはあちゃんが住んでいて夏には浴衣を着せてもらっていた
なんといっても、その畑の土で作る
お団子は、自分史上最大の芸術だった
その頃、私には師匠がいて弟子と呼ばれ
ちびっこ大将の後をくっついていった
私が童心と引き換えに現実を手にいれたせいで、あの場所とはお別れもできなかった
確めた私の目の前には、コンクリートの上に
人口の石が敷き詰められている駐車場になっていた、もう集会にも呼ばれることはないし
おばあちゃんの小さな家もおばあちゃんも
居ないし、新築の知らない人々の都会の灯りが夜を深めていた
昔、遠かった行き止まりのフェンスに
あっという間に辿り着いてしまい
余計にさみしくなってしまった
真上の月も真っ正面の山も変わらない
そして、わたしも心はちっとも変わっていない
時代においていかれてしまったんだ
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