euphoria

結論が出せないのに結論を探している。自分とは何者で、自分が自分たる意味とは。

euphoria

結論が出せないのに結論を探している。自分とは何者で、自分が自分たる意味とは。

記事一覧

生きててよかった

社会人一年目。 表向きが馴染みやすく明るいキャラに対して、新しい環境に馴染むのが不得意で、毎日帰宅して靴を履いたまま玄関で数時間眠ってた。 仕事も家事も上手くい…

euphoria
1年前
2

電車

冷たい足先で、温かい座席に座って、最寄り駅の名前が聞こえるのを待つ。 私の母は時限爆弾で、切ってはいけない線、踏んではいけなかったスイッチを押すと、命を狙って爆…

euphoria
2年前
2

小望

道を歩いている時、私がよそ見して遅れてたら、ちょっと立ち止まって待っていてほしい。 お風呂上がりに髪が濡れてて、乾かすのに時間がかかるから、先に寝ずにちょっとだ…

euphoria
2年前
3

コンビニ

最近、残業多いよね。23時くらいまでに働いてたりするからさ〜… 「そうなんよね、終わったら頭ぼーっとするからさ、運転気をつけよって思うんよ。」 いや、ほんとにそれ…

euphoria
3年前
4

電球

小さい頃、おじいちゃん家で暮らしてた時。白い輪っかで二重の電気の中心に、オレンジ色の小さな電球が付いていて、寝る時にはそれを付けて眠っていた。 暗い所がもともと…

euphoria
3年前
1

わたし

私は幸せを長く感じることが出来ない。 溢れかえる愛をもらって、それを貯めて少しずつ使い、次の愛をもらう時まで残しておくことが出来ない。 もらった愛を数日握りしめ…

euphoria
3年前
2

瞬き

私が私であるままで、私を受け入れてくれる人達がいることを、人間30年目を目前にようやく実感し始めている今日この頃。 私が愛して止まなかったはずの家族とは、離れてい…

euphoria
3年前
2

袋詰

私がよく行くコンビニは、夜遅くに必ず決まった男の人がレジにいる。 一見ぶっきらぼうに見える中国の人。 背が高くて、声は高くて、たくさんのことはまだ知らない。 け…

euphoria
3年前
4

麦酒

いつまでたっても、酷く子供な自分が久々に嫌になった。 取引先の企業の担当者からの、まさに「ポンコツ」なメールと電話がここ数日続いている。 ただのポンコツなら、ま…

euphoria
3年前
1

後願

いつもの通勤路、いつもの風景、なのにいつもとは違うものが今日はあった。 目に入った途端、それが何なのか認識できていない、コンマ数秒で、重い何かに呑まれて目が離せ…

euphoria
3年前
2

鈴蘭

君のこと、初めは「いい人なんだろうな。」 そんなくらいにしか思わなかった。 よくある、周りのあの人たちと、何も違わない綺麗な部分を見ているんだろうなと。 ある時…

euphoria
3年前
3

色音

世界でたった1人な気がしていた。 頑張ったら褒められて、ただただ嬉しかった幼少期を思い出し、褒められず押さえつけられる毎日に慣れ親しんだ毎日だった。 色は見える…

euphoria
3年前
3

残業時間

今月、私の残業時間が伸びてきている。最長記録を更新する勢いだ。 最長と言っても社会人8ヶ月目での話なので、先輩や先輩の先輩方と比べればそんなにはないかもしれない…

euphoria
3年前
3

酸素

昔、大阪の「有名な占い師」称されている人に占ってもらったことがある。 その人に言われたことの一つに「貴方は男性からパワーを吸い取る人間だから、男性のいる環境で生…

euphoria
3年前
3

早起き

毎朝早めの電車に乗ったら、更衣室で一緒になって、たわいもない話をしてくれる先輩がいて。 だけど私が最近朝起きられなくて、ずっと1本遅れた電車に乗ってたの。 そし…

euphoria
3年前
5

選択

誰かが選ばれたら、誰かは選ばれない訳で。 誰かを選んだら、誰かを選ばないことしか出来なくて。 何十回、何百回、何千回選ばれながら、数十回、数百回、数千回の選ばれ…

euphoria
3年前
4
生きててよかった

生きててよかった

社会人一年目。

表向きが馴染みやすく明るいキャラに対して、新しい環境に馴染むのが不得意で、毎日帰宅して靴を履いたまま玄関で数時間眠ってた。

仕事も家事も上手くいかなくて、毎日床に置いてある「今日も畳めなかった、紫のワンピース」を眺めながら、明日はもう少しいい日になればと願っていた。

新しい環境、新しい生活、慣れるだけで命を削ってしまう、それが私だった。

そんな私に母がしてくれることは「毎日

もっとみる
電車

電車

冷たい足先で、温かい座席に座って、最寄り駅の名前が聞こえるのを待つ。

私の母は時限爆弾で、切ってはいけない線、踏んではいけなかったスイッチを押すと、命を狙って爆発する。

小さな時限爆弾なら、ほんの少し避けたら当たらなかっただろう。

もう少し時間差があれば、逃げる時間があっただろう。

爆発の方向が向こうだったら、深手を負うこともないだろう。

私の母が時限爆弾になったのがいつからなのか、思い

もっとみる
小望

小望

道を歩いている時、私がよそ見して遅れてたら、ちょっと立ち止まって待っていてほしい。

お風呂上がりに髪が濡れてて、乾かすのに時間がかかるから、先に寝ずにちょっとだけ待っていてほしい。

ご飯を食べに行って、お互いに好きなものがあったら、ちょっとだけ交換してみたい。

怖いこと、辛いことを頑張った時には、ほんのちょっと褒めてほしい。

何の気なしに目が合ったら、ちょっとだけ笑ってほしい。

悲しいこ

もっとみる
コンビニ

コンビニ

最近、残業多いよね。23時くらいまでに働いてたりするからさ〜…

「そうなんよね、終わったら頭ぼーっとするからさ、運転気をつけよって思うんよ。」

いや、ほんとにそれ気をつけてほしい。怖いわ。

大丈夫?あ、あと特にご飯とか、夜ご飯はあたしのがあるけど、朝とかお昼とか、栄養あるもの食べれてる?

「いやそれがさ、今日ずーっとコンビニ弁当で。君に作ってもらったご飯、昨日で食べきっちゃって笑」

そっ

もっとみる

電球

小さい頃、おじいちゃん家で暮らしてた時。白い輪っかで二重の電気の中心に、オレンジ色の小さな電球が付いていて、寝る時にはそれを付けて眠っていた。

暗い所がもともと怖くて、真っ暗だと色んな不安なことが大きくなって、目をつぶっているといつもよりもいろんな音が聞こえて、不安が大きくなる子供だった。

そんな時、おじいちゃんやおばあちゃんやお母さんが、必ず横に寝ていて、手を握って頭を撫でてくれていた。

もっとみる
わたし

わたし

私は幸せを長く感じることが出来ない。

溢れかえる愛をもらって、それを貯めて少しずつ使い、次の愛をもらう時まで残しておくことが出来ない。

もらった愛を数日握りしめて、気づいた頃には使い果たしてしまっている。

愛を確認する方法はたくさんあるだろう。だが私の思いつく、私が満足するほど強力な愛の確認方法は、一瞬の愛を求める代わりに、永遠の愛を壊すものだ。

ストレスが大きかったり、大切な人に会えなか

もっとみる
瞬き

瞬き

私が私であるままで、私を受け入れてくれる人達がいることを、人間30年目を目前にようやく実感し始めている今日この頃。

私が愛して止まなかったはずの家族とは、離れているのに寂しささえ感じず、むしろ自由に息が出来ることに喜びさえ感じている現実に、後ろめたさが隠しきれない。

私の愛というものは、所詮その程度なのかもしれないと疑うのも無理はない。

そんな不安定な自分の愛を信じきれないまま、私は半年前に

もっとみる
袋詰

袋詰

私がよく行くコンビニは、夜遅くに必ず決まった男の人がレジにいる。

一見ぶっきらぼうに見える中国の人。

背が高くて、声は高くて、たくさんのことはまだ知らない。

けれど彼がお会計をしてくれる時、残業で残り僅かな力で袋詰めしている私を、そっといつも手伝ってくれることは知っている。

疲労で袋を出すのすら忘れて立ち尽くしていると、「袋あるなら詰めます?」と一生懸命話しかけてくれる。

とても優しくて

もっとみる
麦酒

麦酒

いつまでたっても、酷く子供な自分が久々に嫌になった。

取引先の企業の担当者からの、まさに「ポンコツ」なメールと電話がここ数日続いている。

ただのポンコツなら、まだいいのだ。自分もポンコツな場面はある為、「この分野に関しては無知なんだな。」そう思う以外何も感じないからだ。

だが、この「ポンコツ」は一味違う。ポンコツなことを認識していないどころか、自分の無知さを相手のせいにするタイプのポンコツだ

もっとみる
後願

後願

いつもの通勤路、いつもの風景、なのにいつもとは違うものが今日はあった。

目に入った途端、それが何なのか認識できていない、コンマ数秒で、重い何かに呑まれて目が離せなくなった。

「何なのだろう、この空気は。なんて重くて苦しいんだ。」

重さの正体は、正直分からなかった。

生まれて初めて、全焼した家を見た。

骨組みが丸見えで、ほぼ形を留めない壁や屋根は黒く焦げ、あらゆる物が壊れそうに揺らめいてい

もっとみる
鈴蘭

鈴蘭

君のこと、初めは「いい人なんだろうな。」

そんなくらいにしか思わなかった。

よくある、周りのあの人たちと、何も違わない綺麗な部分を見ているんだろうなと。

ある時私は何故か気分が良くて、他の人にはしないことを君にしたんだよね。

大きな鈴蘭のカラータトゥーを足に付けている写真を送った。

もちろんそれは擦ると消えるようなもの。だけど馴染みがない人から見れば、「意外と遊んでそうな女」そう見えても

もっとみる

色音

世界でたった1人な気がしていた。

頑張ったら褒められて、ただただ嬉しかった幼少期を思い出し、褒められず押さえつけられる毎日に慣れ親しんだ毎日だった。

色は見えるし、音も聞こえるけれど、どこか違う世界の映画を観ているような感覚で、目の前の物事には靄がかかっていた。

「何のために生まれて、何をして喜ぶ?」

アンパンマン、僕もそれが知りたいんだ。

分からないまま終わる、そんなのは嫌なんだ。

もっとみる
残業時間

残業時間

今月、私の残業時間が伸びてきている。最長記録を更新する勢いだ。

最長と言っても社会人8ヶ月目での話なので、先輩や先輩の先輩方と比べればそんなにはないかもしれない。

しかしながら今月だけで見てしまうと、所属グループでは1位を争うレベル。経費削減と言われている経営戦略に、逆行しているのは間違いない。また残業時間が長い若手は、仕事が出来ないと思われるという噂も、どこかしらで聞いたような気がする。

もっとみる
酸素

酸素

昔、大阪の「有名な占い師」称されている人に占ってもらったことがある。

その人に言われたことの一つに「貴方は男性からパワーを吸い取る人間だから、男性のいる環境で生きなさい。もし女子の友達をつくる時は、男っぽい要素のある友達の方が貴方はいい。」というものがあった。

これを言われた時、自分が途方もなく男たらしな気がして、あんまり心地よくはなかったが、自分の人生を振り返ってみてストンと納得してしまう不

もっとみる
早起き

早起き

毎朝早めの電車に乗ったら、更衣室で一緒になって、たわいもない話をしてくれる先輩がいて。

だけど私が最近朝起きられなくて、ずっと1本遅れた電車に乗ってたの。

そしたら昨日その先輩と、帰りのロッカーで一緒になってね。

普段はあんまり自分から話す人ではないから、何話そうかな〜と考えていたら、私の顔みてすぐに一言「どう?ちょっと仕事、落ち着いた?」

確かにここ最近仕事が多くて、なのに新人だから分か

もっとみる
選択

選択

誰かが選ばれたら、誰かは選ばれない訳で。

誰かを選んだら、誰かを選ばないことしか出来なくて。

何十回、何百回、何千回選ばれながら、数十回、数百回、数千回の選ばれないことに怯えてる。

選ばれる人たちを「おめでとう」と笑顔で祝福しながら、どうしてこんなにも不安に飲まれるのだろう。

だから選んでしまうのは、選ばれることがない場所に留まること。

成長の為に頑張るし、達成の為に努力する。だけどそれ

もっとみる