電球

小さい頃、おじいちゃん家で暮らしてた時。白い輪っかで二重の電気の中心に、オレンジ色の小さな電球が付いていて、寝る時にはそれを付けて眠っていた。

暗い所がもともと怖くて、真っ暗だと色んな不安なことが大きくなって、目をつぶっているといつもよりもいろんな音が聞こえて、不安が大きくなる子供だった。

そんな時、おじいちゃんやおばあちゃんやお母さんが、必ず横に寝ていて、手を握って頭を撫でてくれていた。

そうすると手から温かいエネルギーみたいなものが伝わってきて、それが何なのか考えていると、気づいたら寝ているのが毎日だった。

生きることは難しくなくて、息をして笑って、たまにお手伝いをしているだけで、そのままでいいと言われていた時代だった。

あの時から何年経ったのか、数えなければ分からない遠い記憶になってしまったけれど、私はあの温かく儚いオレンジ色の小さな電球を今でもしっかり覚えていて。

今は電気を暗くして不安になっても、おじいちゃんも、おばあちゃんも、お母さんもいないけれど、それでも形を変えてオレンジ色の電球は私のそばを照らしてくれている。

その電気を見る度に心が休まるのは、私がこのままでいいと思える色だからだろうか。

私にはオレンジ色の電球がそばに居てくれているけれど、あの子のそばには、あの時私を包み込んでくれた「オレンジ色の小さな電球」や「お母さんの手」はあるのだろうか。


急に思い出したあの電球を、電気屋さんで今度探しに行ってみよう。

おやすみなさい、優しい夢を。

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