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お菓子の裏側

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あらゆるジャンルのフランス菓子を食べて、作って、教えて、取材してかれこれ30年。それでも、まだまだ迷路に舞い込んでは、美味しいお菓子とは何ぞや?を追求する日々。しかし、ある日その… もっと読む
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2019年12月の記事一覧

マドレーヌと紅茶が引き起こす衝撃的な喜び。人はなぜ食べ物を浸して食べるのか?

マドレーヌと紅茶が引き起こす衝撃的な喜び。人はなぜ食べ物を浸して食べるのか?

今年4月に出版した「パリのスイーツ手帖」は、パリのお菓子60品を取材して紹介した本だが、ガイドブックではない。現代の主役級フランス菓子の由来や、それを作り上げてきたメゾンの背景を追いながら、フランスやパリの歴史、文化を語ってみたいということで作った本である。なので、表紙もそれにちなみ、偉大な作家の似顔絵を配した。

しかし、今一つ日本人には知られていないらしく、当お菓子教室の生徒からも、あの男の人

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店名も正しいフランス語を使おう!« ブーランジェリー »というフランス語はない。

店名も正しいフランス語を使おう!« ブーランジェリー »というフランス語はない。

撮影の試作もかねて、ガレット コンプレート作りました。よくコンプレと記載のあるメニューがあったりしますが、ガレットgaletteが女性形なので、コンプレートcomplèteと最後eがついて、発音は”ト”となります。
世の中、マスコミも含め、多くの方が、パン屋さんのことをブーランジェリーと言っていますが(もちろん、正しくブーランジュリーと表記のお店も沢山あります)そういうフランス語はありません。パン

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人はなぜ、ビュッシュ ド ノエルを食べるのか? クリスマスの起源。

人はなぜ、ビュッシュ ド ノエルを食べるのか? クリスマスの起源。

クリスマスは、キリストが生まれた日ということになっているが、実は、そんな昔のことを書き留める人もいなければ、出産に立ち会った人もいない。ではなぜ、その日がクリスマスになったかというと、かつてローマでは、衰えゆく太陽が再び光をとりもどすことを祝う冬至のお祭りを12月25日に行っていた。そこで、この日を、闇の世界に光がもたらされたキリスト生誕の日として、教会でお祝いするようになり、それがクリスマスとし

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古典でも伝統菓子でもない。もはや化石なフランス地方菓子!?

古典でも伝統菓子でもない。もはや化石なフランス地方菓子!?

中世フランスではどんなお菓子が食べられていたか?たいしたお菓子はない。クレープ生地に煮たような生地を鉄板で挟んで焼くウーブリと呼ばれるもの、そしてエショデが代表的なお菓子だろう。このエショデというのが面白い。生地を最初ゆでてから焼くのだ。現代だとベーグルやブレッツェルの製法に近い。もしかしたら、この二つはエショデが前身かもしれない。
2度焼きする生地をビスキュイ(Biscuit)というがbisは2

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多くの時間(お金も?)を費やして再現したフランス地方菓子の魅力を伝えたい!

多くの時間(お金も?)を費やして再現したフランス地方菓子の魅力を伝えたい!

フランス菓子の生い立ちには、色々な経緯がある。世の中に出回っているフランス菓子と呼ばれるもの。あれは、フランスに昔からある形ではない。特別な環境で、希少な材料を使って、才能あるパティシエによって作られてきたお菓子。そう、その前身は宮廷菓子である。

ルイ14世がベルサイユで食べていたものかもしれないし、その孫、ルイ15世が好んで食べたもの、あるいは、マリー アントワネットが伝えたオーストリア菓子か

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フランス各地10種類のマカロンとその由来。

フランス各地10種類のマカロンとその由来。

マカロンは、そのカラフルな色とかわいい形が気に入られたのか、日本でもあっという間に全国に広まった。しかし、みなさんがご存知のこのマカロンは、実はフランスでは各地で存在するマカロンの種類にひとつに過ぎないのである。
それはパリで作られたパリのマカロン パリジャン“Macaron parisien”あるいは、マカロン リス(Macaron Lisse)と呼ばれている。リスとはすべすべした、という意味で

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