映画、ポトフ。道具が触れ合う音、素材の香り、湯気を感じながらずっと観ていたい。
映画「ポトフ」を観た。いきなり巨大な銅鍋を使っていくつもの料理を淡々と作る中年の女性が出てくる。なにやらブルジョワの匂いがするキッチン。と思っていたら田舎の小さなシャトーの台所。時は19世紀末。19世紀といえば、鉄道が発達したのが半ば。ブルジョワ家庭には、レシピ本やグルメ情報などがすでに伝えられていたのだろうか。シャトーの持ち主でグルメなドダンと地元の名士たちとの会話では、アントナン・カレームの生い立ちや、エスコフィエとリッツのエピソードなどを語るシーンがあるが、バルザックと