シュー生地はもともと鍋で焼いていた。
シュー生地は、16世紀にカトリーヌ・ド・メディシスのお抱え料理人がその前身を作ったと言われている。それはポプリーニと呼ばれ、その後ププランと呼ばれるようになる。そのレシピを、2世紀後の18世紀の料理人、ジョゼフ・ムノンの「ブルジョワの女料理人」という本の中で見つけた。
生地の作り方は今と同様。しかし、焼いたら中に溶かしたバターを塗って、上に粉糖とレモンの皮のすりおろしを散らして、さらに焼きごてでキャラメリゼするというもの。しかもしかも、焼くときは、鍋ごとオーブンに!!だから大きいシューなのである。まさにキャベツ(シューは、、フランス語でキャベツ)。
それからププランは姿を消すんですけど、かたや小さくスプーンですくって揚げるシュー菓子、ぺ・ド・ノンヌは生き残る。どちらかというとこれが今のシューになったのではという説がある。
19世紀にはすでにシューという名前がついていて、偉大なる菓子職人アントナン・カレームの師匠、アヴィスがシュー生地を完成、カレームがレパートリーを増やした(エクレアの前身などを作ったわけですね。当時エクレアは、Pain a la duchesseと呼ばれていたそう。
ところで、ムノンの本の題名のフランス語にOfficeとあるが、これは事務所などの意味もあるが、配膳室という意味もある。
当時、製菓は調理場とは別の配膳室で作られており、そこでは、邸に雇われていた何でもこなさねばならぬ女中がお菓子も作っていたそう。従ってこのムノンの「ブルジョワ家庭の女料理人」は、その女中たちや、お
金持ちの主婦などを対象にしたものだと思われる。