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夏の自由研究、アリと数学と世界の見方。

なんだか久しぶりに日常に戻ってきた気がする、8月のはじまり。

今日のタスク。
次男の夏休みの研究のためのアリの採取。

アリの巣を観察したい、という、ありきたりではあるけど子どもならではのテーマです。
少しでも楽したい私は、便利な時代に頼って、「アリの巣観察キット」なるものを買ってきたので、あとはアリを捕まえて入れるだけ。


昨日一昨日で、暑さに対する免疫ができすぎたので、気軽に外に出ることができた我ら。

夏休みと言えど平日で太陽燦々の日中、誰もいない、だだっ広い公園。


さくっと終わる予定だったのに、ひとつの巣のアリを20匹捕まえる、というタスクは思った以上に簡単ではなく…。

「アリのこと、完全になめてたね。」
と顔を見合わせる。


兄弟2人に任せて、私は屋根のあるベンチで何もせずに2人の姿を見てるだけ、の時間。
ほぼ家にいるときのままの格好で、サンダル脱いで、自販機で2人が買ってきてくれた缶コーヒーを飲みながら。

絵に描いたような真夏の風景。

ミーンミンミンミン
字のとおりに鳴く一匹のセミ、止むと静寂が訪れる。

日陰は風が吹いて涼しくて、やらなくちゃ、と思うことはその瞬間何もなくて、なんて贅沢な時間!


兄弟、任務完了。
家に持ち帰る。

…………あの、ごめんなさい。

子どもの宿題に付き合う、という義務的な気持ちだったことを謝ります。


おもしろい。

今この時、アリたちは、我が家の一角においたキットの狭い世界の中で、せっせと巣を作っている。
子どもたちより、見続けているのは私。

応援するような気持ちで、妙にアリに感情移入しそうになる。


見ていて、思い出しました。
『アリになった数学者』(森田真生・文)という子どもの絵本。

数学を、音楽のようにたくさんの人の心に届くように「演奏したい」と願っている。

『アリになった数学者』〈作者紹介〉より

数学の研究者である著者、森田さんのこの言葉のとおり、内容も語り口調も、やさしくうつくしく、五感を刺激し、心に響き、染み渡るような本。


数学者である主人公がアリになるところから話は始まります。
数学の本当の姿とは、というところから、世界の見方までを変えてくれるような、そんな素敵な話です。

絵を描いた脇坂克二さんは、マリメッコや SOU・SOUのテキスタイルデザイナーでもあったと知り、デザインも大好きなわけだ、と納得。

はくは、アリになってしまった。


この1冊を読むことで、アリに対する見方がずいぶん変わります。(アリは、あくまでこの本の本意の一例にすぎないのですが。)


大人の皆さまに、アリ観察キットまでは強くすすめませんが(笑)、『アリになった数学者』、もし興味をもったら手にとってみてください。

この福音館の「たくさんのふしぎ傑作集」シリーズは、どれもおもしろくて、集めたい…と以前は思ってたほど。



大人の自由研究。
アリの観察、しばらく続けます。




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