記事一覧

邂逅 

八月、東京の空はよく晴れていて鳥や蝉の声が響いていた。 まさに夏と言うべき日だ。 そんな本来であれば喜ぶべき美しいはずの日に僕は疎ましさを感じていた。 「僕は人を…

urei
1年前
3

ある小説

僕は今、久しぶりに小説を買おうと書店に来ている。 元々、梶井基次郎の檸檬を買ってやろうかと思っていたのだが、それひとつでは、なんだか寂しいと思った。 暫く考えた後…

urei
1年前
1

俺、テレビに映った (オチなし短編)

夕方にリビングでテレビを何となく見てたんだ。 18時15分から始まるグルメ番組を見るためにね。 父さんも妹もまだ帰ってなくてさ、1人寂しくね。 ステーキ特集らしく1つ…

urei
1年前
4

俺とユウキとオカルト

世界ってよぉ、五分前にできてんだぜ! オカルト好きのユウキは目を輝かせながら俺に向かって世界五分前仮説を熱弁している。 最近頭の調子が悪いと言っていた割にはやけ…

urei
1年前
3

面白い話って難しいよね

タイトルにもある通り面白い話をするってのは結構工夫がいると思う。特に友人達から「なんか面白い話してよ」と言われた時には猛烈に悩む じゃあ一体どうすれば面白い話が…

urei
2年前
1

第二の故郷みたいな?

今回の撮影は第二の故郷と言っても差し支えないような場所だ この地で初めて写真の仕事を貰った 今もまだ青二才のままだが、以前よりは撮影も上達したと思うし、今も本当…

urei
2年前

Walking

#404美術館

urei
3年前
2

雨降らし

鯉のぼりが風ではためいていた、それに気づいたのは雨が強くなってからだった。 雨の日は心が寂しくなりがちで 突発的にニヒリズムに苛まれる あの時の憧れの写真家す…

urei
3年前
3
邂逅 

邂逅 

八月、東京の空はよく晴れていて鳥や蝉の声が響いていた。
まさに夏と言うべき日だ。
そんな本来であれば喜ぶべき美しいはずの日に僕は疎ましさを感じていた。

「僕は人を愛せない」

たった一つ、その感情が僕の心の奥底に死ぬまで解けない呪いとして沈澱していた。

そんな時一人の女性に出会った。いや、今思えば出会うべくして出会ったと言うべきだろうか。
しかし、その時の第一印象は「怖い」だった。
全てがミス

もっとみる
ある小説

ある小説

僕は今、久しぶりに小説を買おうと書店に来ている。
元々、梶井基次郎の檸檬を買ってやろうかと思っていたのだが、それひとつでは、なんだか寂しいと思った。
暫く考えた後、ジョージ・オーウェルの1984年にすることにした。
しかし、どうだ、いくら探せど目当ての物は見つからない。
一体どこにあると言うのだ、私の性質上、一度決めたものは実現させねば気持ちが悪く寝付けないのだ。
この気持ちは君にも分かるだろう、

もっとみる
俺、テレビに映った    (オチなし短編)

俺、テレビに映った (オチなし短編)

夕方にリビングでテレビを何となく見てたんだ。

18時15分から始まるグルメ番組を見るためにね。
父さんも妹もまだ帰ってなくてさ、1人寂しくね。

ステーキ特集らしく1つ目の店も2つ目の店も自慢の1品とか言って凄い美味しそうなステーキが出てきたんだよ。

「うまそー」なんて呟きながら口に溜まった唾を飲み込んで次の店が紹介されるのを待ってたのさ。

それで3つ目の店が紹介された。どうやら、俺の家の近

もっとみる
俺とユウキとオカルト

俺とユウキとオカルト

世界ってよぉ、五分前にできてんだぜ!

オカルト好きのユウキは目を輝かせながら俺に向かって世界五分前仮説を熱弁している。

最近頭の調子が悪いと言っていた割にはやけに元気そうに話すユウキに少しうんざりしながら

うんうん、その話なら俺も知ってるよ。

と、いつものようにテキトーに受け流す。

有名な話だ、今更そんなことを言われても何も驚かない

それ、あれだろ、五分より前に世界が存在してたってのが

もっとみる
面白い話って難しいよね

面白い話って難しいよね

タイトルにもある通り面白い話をするってのは結構工夫がいると思う。特に友人達から「なんか面白い話してよ」と言われた時には猛烈に悩む

じゃあ一体どうすれば面白い話ができるかっていう訳だが、タイトルをもう一度見てくれ、
そう、面白い話ができないから僕はこれを書いている訳だ。

ちなみにたとえこれを読んだところで面白い話ができるようになる訳ではない。

そもそも、面白い話とはなんだろうか考えてみる。

もっとみる
第二の故郷みたいな?

第二の故郷みたいな?

今回の撮影は第二の故郷と言っても差し支えないような場所だ

この地で初めて写真の仕事を貰った

今もまだ青二才のままだが、以前よりは撮影も上達したと思うし、今も本当にお世話になってる。

これからも精進していきたい。

雨降らし

雨降らし



鯉のぼりが風ではためいていた、それに気づいたのは雨が強くなってからだった。

雨の日は心が寂しくなりがちで
突発的にニヒリズムに苛まれる

あの時の憧れの写真家すら、今では妬んでしまっているような気がして···

空を仰いだ、
薄ら青い空が厭に広がっていただけだった。

ご覧いただきありがとうございます。