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『料理とイタリア 現地へ渡った料理人の、ちいさな20の物語』

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料理とイタリア  現地へ渡った料理人の、ちいさな20の物語
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『料理とイタリア 
現地へ渡った料理人の、ちいさな20の物語』について

『料理とイタリア  現地へ渡った料理人の、ちいさな20の物語』について

イタリアが好きなひとたちには、それぞれ理由がある。
料理が好き、イタリアの食材が好き、ワインが好き。
Centro(中心地)の街並みや歴史的建築、世界遺産、そしてBar(バール)で出会った風景や人びとが好き。

 イタリアが好きな私たちには、それぞれの「イタリアが好きな理由」があり、その理由を語り、耳を傾ける姿には、どことなくキラキラするものがある。共感することもあれば、知らなかった街の世界・村の

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1.  Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(1/3)
             “料理とイタリア”
 現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(1/3)  “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

  東京は西荻窪にあった[Trattoria29]。駅から少し住宅街に入ると現れるそのお店は、店内の灯りとお客さんの笑顔が、ガラス張りの外観から外へと醸し出される、そんな暖かな空間だった。10テーブルほどの小さな店内はいつも満席で、美味しいものを食べる喜びと、そのひと皿を囲む楽しそうな会話で溢れていた。
 イタリアから帰ってきたあと、たった1ヶ月半という短い期間だったにもかかわらず、私の心の中はす

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1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(2/3)
             “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(2/3)  “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

 日本に帰国してからちょうど半年後、竹内さんは再びイタリアへ戻る。今度ははっきりとした期限は決めずに、イタリア各地で働くことを目指す。まずはフィレンツェに入り、以前勤めていた[Vinolio(ヴィノーリオ)]の同僚・横内さんとその友人でアクセサリー作家の舞さんと合流して近況報告が交わされた。
 その後の話だが、この舞さんは竹内さんと結婚をする。2011年に開店した[Trattoria29]は竹内さ

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1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(3/3)
             “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(3/3)  “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

 [Cecchini(チェッキーニ)]は、トスカーナ州の郊外の町・キャンティにある精肉店だ。現在は8代目の店主・Dario Cecchini(ダリオ・チェッキーニ)さんが営んでいる。ダリオさんの名前は、耳にしたことがある人もいるかもしれない。町の精肉店だったこの店に、2つのTrattoria(トラットリア)をつくり、現在はその料理を一度は体験してみたい、とイタリアだけでなく国外からも多くの人が訪れ

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2. Cuccagna シェフ ・  今木宏彰さん(1/4) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

2. Cuccagna シェフ ・ 今木宏彰さん(1/4) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

 [Cuccagana]に初めて行ったのは、少し眩しい日差しのなか桜の花びらが風と共にゆっくり舞う、ある春の日だった。シチリア料理のお店があると知って、梅田駅から御堂筋線に乗って、緑地公園駅で降りる。駅前の桜を眺めながら、少し先に見えるイタリア国旗を頼りにお店を目指し歩いた。

 南イタリアには、私はわずかしか訪れたことがない。バーリやアルベロベッロ、プローチダ島には行ったことがあるけれど、シチリ

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2. Cuccagna シェフ ・ 今木宏彰さん(2/4) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

2. Cuccagna シェフ ・ 今木宏彰さん(2/4) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

 無事審査に通った今木さんはイタリアへ向かい、2ヶ月間の研修プログラムに参加。初めてのイタリアであり、初めての海外渡航だ。携帯電話もまだ普及していない時代であったから、今のようにSNSで気軽に連絡が取れる私たちから考えると、その孤独さは計り知れない。飛行機に乗った時から、日本と断絶されたような緊張感が今木さんを覆った。ただその時はまだ、ともに研修を受ける日本人に囲まれた生活であり、戸惑いも少なかっ

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2. Cuccagna シェフ・今木宏彰さん(3/4)
             ー“料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語ー

2. Cuccagna シェフ・今木宏彰さん(3/4)  ー“料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語ー

 今木さんは、イタリア中部に位置するウンブリア州のグッビオというちいさな町に向かった。城壁に囲まれた高原地帯にあり、他の町へ出るのもひと苦労だったという。ここでももちろん休日はRistorante巡りをしていたが、例えばローマのRistoranteで食べたければ早朝に町を出て、昼にはローマを発たなければ、グッビオまで戻って来れない。最寄り駅までの終電が無くなり、途中から親切な見知らぬイタリア人に、

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2. Cuccagna シェフ・今木宏彰さん(4/4)
            ー“料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

2. Cuccagna シェフ・今木宏彰さん(4/4) ー“料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

  ブーツのようなイタリアのつま先に、くっつくかのようなイタリア最南端の島・シチリア島。バロック様式の建築が荘厳と並び、Castello della Zisa(ジーザ城) や、Ponte del Ammiraglio(海軍提督の橋)、Cattedrale di Palermo(パレルモ大聖堂)など、7つもの世界遺産がある。
 古くは古代ギリシャやローマ、カルタゴ、アラブなどさまざまな国・民族からの

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3. Osteria la Cicerchia シェフ・連久美子さん(1/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

3. Osteria la Cicerchia シェフ・連久美子さん(1/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

 イタリアは中部のマルケ州に、訪れたことがあるだろうか? アドリア海に面した沿岸地域と、中世の街並みが残る旧市街が丘の上に広がる丘陵地帯からなるこの州は、日本では未だにあまりよく知られていないが、興味深い魅力を持った州だ。芸術面でいえば、ルネッサンス期の画家・ラファエロが生まれた街として有名なウルビーノがあり、その街並みは世界遺産へ登録されている。夏には、マチェラータやペーザロで音楽祭が行われ、日

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3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(2/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(2/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

 2004年、連さんはマルケ州のイエジへ。スローフード協会が運営する学校「Ital.Cook」へ入学した。まずは1ヶ月間イタリア語の勉強に取り組み、2ヶ月目からはイタリア各地のシェフが講師としてやってきて、授業が始まった。
「生徒もみんな料理人や、料理関係の仕事をしている人ばかり。アメリカ人やイギリス人、インド人など、さまざまな国から勉強をしにきていました。まだ日本では、インターネットがちょうど普

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3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(3/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(3/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

地産地消が日常の一部であるということ

 再びマルケ州へ戻ってきた連さんは、セッラ・デ・コンティという人口4,000人弱の小さな町へやってきた。標高217mの丘の上にあり、中心地は城壁に囲まれる。14〜16世紀の建築物や19世紀の建築物など、さまざまな時代のものが混じり合う町並みは、小さいながらも豊かな歴史を感じさせる。周りには生産者も多く、ワインの生産地でもあり、保護原産地呼称ワインであるD.O

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4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(1/2) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(1/2) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

 イタリアで見た風景や、イタリア映画を観れば目にする、ある風景。それは、家族や親しい友人と、食事の時間をわかちあい共有する風景だ。どこの国でも同じような光景は目にするはずだけれど、イタリアのそれはお腹の底から笑って、身体全体で目の前の食事を味わい、楽しんでいるように思う。美味しいかどうかというシンプルな話だけでなく、そこには食事を通して一人ひとりの人生が結びつくような瞬間があるのではないだろうか。

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4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(2/2) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(2/2) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

 [Eccolo]での日々が2年半ほど過ぎた頃、残念ながら店は閉店することに。ここで北山伸也さんは、イタリアへ修行に行くことを決意する。1年間さらにアルバイトをして渡航費を貯めた。北山さんが選んだのは「ICT(Italian Culinary Tradition)」というイタリア料理学校。約1ヶ月の研修を受けた後、現地での就職先を3件紹介してくれる。最初の行き先は、北イタリアのピエモンテ州だ。研修

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