Tomoyo Kojima

編集者/ライター  本noteは、イタリア料理の料理人たちの話を聞く『料理とイタリア …

Tomoyo Kojima

編集者/ライター  本noteは、イタリア料理の料理人たちの話を聞く『料理とイタリア  現地へ渡った料理人の、ちいさな20の物語』のために、生まれました。彼らの視点を通して、まだ知らぬイタリアに出会うことを、ライフワークとして活動中。 Instagram:@tomoyooon

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    次の取材、次の記事を始めるまでの、ちょっとだけよりみちしている日々の話。

  • 『料理とイタリア 現地へ渡った料理人の、ちいさな20の物語』

    料理とイタリア  現地へ渡った料理人の、ちいさな20の物語

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『料理とイタリア  現地へ渡った料理人の、ちいさな20の物語』について

イタリアが好きなひとたちには、それぞれ理由がある。 料理が好き、イタリアの食材が好き、ワインが好き。 Centro(中心地)の街並みや歴史的建築、世界遺産、そしてBar(バール)で出会った風景や人びとが好き。  イタリアが好きな私たちには、それぞれの「イタリアが好きな理由」があり、その理由を語り、耳を傾ける姿には、どことなくキラキラするものがある。共感することもあれば、知らなかった街の世界・村の世界があり、イタリアについて語るほど、自ずとその愛は深まっていくばかりだ。  本

    • ちょっと よりみち日記 2024.0220

      すごい。 本当にすごい。 何がすごいかというと、時の流れの速さ。 みんなが思っていること、というのは理解しているけれど、もう2月下旬ということにびっくりしすぎて、言わずにはいられない。 最後に日記を書いたのは年末だったはずで、新年を迎えた頃、書く気満々だったのに、もう冬までも終わろうとしている・・・・! 1月と2月は、東京と大阪を行ったり来たりして、文字起こしをしたり原稿を書いたり、マダガスカルについて調べたり、イタリア語をちょっと勉強したり、サンレモ音楽祭を鑑賞したり…

      • ちょっと よりみち日記 2023.1205

        今日は神戸へ。 どんよりとした雲の中歩くうち、それだけで気持ちもどんよりしてきたけれど、帰り道にはちいさなエネルギーがポツポツと心の中で弾けるような気分だった。 今日は、とある会社の人に話を聞きに行ったのだけれど、自分の“好き”を貫き「きっとこれを好きな人がどこかにいるはず!!」と企画を考えている姿が、とてつもなく眩しかった。 その気持ちが心にあり続けることで、企画に対する想いが溢れ、周りの人も巻き込んでいく。ニッチな企画でもファンを確実に捕まえて増やしている。 これは、

        • ちょっと よりみち日記 2023.1202

          今日は昨日よりも、快晴。 朝の光を部屋に取り込んで、汚くも馴染み深い部屋の中を見渡すと幸せな気持ちになった。 好きなものに囲まれているはずだけど、それを整理されていないと思っていた自分にダメ出し(もちん整頓はされていないんだけど…)。 居心地がいい。スペースはなくても私はこれでいい(夫には秘密な気持ち)。 そう思える朝を過ごせた自分は、自分を何の制限もなく受け入れられている気がして、だから今この瞬間、満ち足りた気分なのではないかと思った。 今日はイタリア語クラスの振替もある

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        『料理とイタリア  現地へ渡った料理人の、ちいさな20の物語』について

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          ちょっと よりみち日記 2023.1201

          今日の天気は晴れ。 「あたらしい生活は、好きなものではじめるぞ!」と、起きてすぐ、ぼーっとする頭のままBEYOND COFFEE ROASTERSのコーヒー豆を挽いた。お湯を沸かしてフィルターをとろうとしたら、袋の中身は空っぽだった…。そうだった、昨日使い切ったのだった。ちーん。 挽いた豆を冷凍庫にしまって、悔しい気持ちで紅茶をいれる。 でも大丈夫。昨日準備した「はなうたドーナツ」のシナモンシュガーは、紅茶にもぴったりなのだから。 先日久しぶりにお店へ行って「豆を買いたい」

          ちょっと よりみち日記 2023.1201

          4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(2/2) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

           [Eccolo]での日々が2年半ほど過ぎた頃、残念ながら店は閉店することに。ここで北山伸也さんは、イタリアへ修行に行くことを決意する。1年間さらにアルバイトをして渡航費を貯めた。北山さんが選んだのは「ICT(Italian Culinary Tradition)」というイタリア料理学校。約1ヶ月の研修を受けた後、現地での就職先を3件紹介してくれる。最初の行き先は、北イタリアのピエモンテ州だ。研修期間はピエモンテ州のドモドッソラにて12〜13人の日本人料理人と共同生活を行い、

          4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(2/2) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(1/2) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

           イタリアで見た風景や、イタリア映画を観れば目にする、ある風景。それは、家族や親しい友人と、食事の時間をわかちあい共有する風景だ。どこの国でも同じような光景は目にするはずだけれど、イタリアのそれはお腹の底から笑って、身体全体で目の前の食事を味わい、楽しんでいるように思う。美味しいかどうかというシンプルな話だけでなく、そこには食事を通して一人ひとりの人生が結びつくような瞬間があるのではないだろうか。  そんなイタリア的食事の光景は、私の中で、暖かなイメージとともにずっと育まれて

          4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(1/2) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(3/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          地産地消が日常の一部であるということ  再びマルケ州へ戻ってきた連さんは、セッラ・デ・コンティという人口4,000人弱の小さな町へやってきた。標高217mの丘の上にあり、中心地は城壁に囲まれる。14〜16世紀の建築物や19世紀の建築物など、さまざまな時代のものが混じり合う町並みは、小さいながらも豊かな歴史を感じさせる。周りには生産者も多く、ワインの生産地でもあり、保護原産地呼称ワインであるD.O.C.GやD.O.Gを取得するワイナリーなども。この地でつくられる古代豆のチチェ

          3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(3/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(2/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

           2004年、連さんはマルケ州のイエジへ。スローフード協会が運営する学校「Ital.Cook」へ入学した。まずは1ヶ月間イタリア語の勉強に取り組み、2ヶ月目からはイタリア各地のシェフが講師としてやってきて、授業が始まった。 「生徒もみんな料理人や、料理関係の仕事をしている人ばかり。アメリカ人やイギリス人、インド人など、さまざまな国から勉強をしにきていました。まだ日本では、インターネットがちょうど普及してきた、ぐらいの時期だったので、現地のことは訪れるまで全然わからなくて。初め

          3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(2/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          3. Osteria la Cicerchia シェフ・連久美子さん(1/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

           イタリアは中部のマルケ州に、訪れたことがあるだろうか? アドリア海に面した沿岸地域と、中世の街並みが残る旧市街が丘の上に広がる丘陵地帯からなるこの州は、日本では未だにあまりよく知られていないが、興味深い魅力を持った州だ。芸術面でいえば、ルネッサンス期の画家・ラファエロが生まれた街として有名なウルビーノがあり、その街並みは世界遺産へ登録されている。夏には、マチェラータやペーザロで音楽祭が行われ、日本で広くは知られていないながらも、イタリアの文化・芸術面としての顔も併せ持つ。

          3. Osteria la Cicerchia シェフ・連久美子さん(1/3) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          2. Cuccagna シェフ・今木宏彰さん(4/4) ー“料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

           ブーツのようなイタリアのつま先に、くっつくかのようなイタリア最南端の島・シチリア島。バロック様式の建築が荘厳と並び、Castello della Zisa(ジーザ城) や、Ponte del Ammiraglio(海軍提督の橋)、Cattedrale di Palermo(パレルモ大聖堂)など、7つもの世界遺産がある。  古くは古代ギリシャやローマ、カルタゴ、アラブなどさまざまな国・民族からの征服を受け、ローマやフィレンツェ、ミラノとはまったく違った趣を持つ。同じくして食

          2. Cuccagna シェフ・今木宏彰さん(4/4) ー“料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          2. Cuccagna シェフ・今木宏彰さん(3/4)  ー“料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語ー

           今木さんは、イタリア中部に位置するウンブリア州のグッビオというちいさな町に向かった。城壁に囲まれた高原地帯にあり、他の町へ出るのもひと苦労だったという。ここでももちろん休日はRistorante巡りをしていたが、例えばローマのRistoranteで食べたければ早朝に町を出て、昼にはローマを発たなければ、グッビオまで戻って来れない。最寄り駅までの終電が無くなり、途中から親切な見知らぬイタリア人に、車で乗っけてもらうことも多々あった。そんな行動は時にトラブルを呼んだ。Risto

          2. Cuccagna シェフ・今木宏彰さん(3/4)  ー“料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語ー

          2. Cuccagna シェフ ・ 今木宏彰さん(2/4) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

           無事審査に通った今木さんはイタリアへ向かい、2ヶ月間の研修プログラムに参加。初めてのイタリアであり、初めての海外渡航だ。携帯電話もまだ普及していない時代であったから、今のようにSNSで気軽に連絡が取れる私たちから考えると、その孤独さは計り知れない。飛行機に乗った時から、日本と断絶されたような緊張感が今木さんを覆った。ただその時はまだ、ともに研修を受ける日本人に囲まれた生活であり、戸惑いも少なかったという。研修プログラムが終わると、今木さんは希望していたイタリア北東部のエミリ

          2. Cuccagna シェフ ・ 今木宏彰さん(2/4) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          2. Cuccagna シェフ ・ 今木宏彰さん(1/4) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

           [Cuccagana]に初めて行ったのは、少し眩しい日差しのなか桜の花びらが風と共にゆっくり舞う、ある春の日だった。シチリア料理のお店があると知って、梅田駅から御堂筋線に乗って、緑地公園駅で降りる。駅前の桜を眺めながら、少し先に見えるイタリア国旗を頼りにお店を目指し歩いた。  南イタリアには、私はわずかしか訪れたことがない。バーリやアルベロベッロ、プローチダ島には行ったことがあるけれど、シチリアには行ったことがない。  でも[Cuccagna]で店内に射し込む陽の光を浴び

          2. Cuccagna シェフ ・ 今木宏彰さん(1/4) “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(3/3)  “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

           [Cecchini(チェッキーニ)]は、トスカーナ州の郊外の町・キャンティにある精肉店だ。現在は8代目の店主・Dario Cecchini(ダリオ・チェッキーニ)さんが営んでいる。ダリオさんの名前は、耳にしたことがある人もいるかもしれない。町の精肉店だったこの店に、2つのTrattoria(トラットリア)をつくり、現在はその料理を一度は体験してみたい、とイタリアだけでなく国外からも多くの人が訪れている。  精肉店の一家に生まれたダリオさんは、獣医という夢を諦め亡き父親の後を

          1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(3/3)  “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

          1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(2/3)  “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語

           日本に帰国してからちょうど半年後、竹内さんは再びイタリアへ戻る。今度ははっきりとした期限は決めずに、イタリア各地で働くことを目指す。まずはフィレンツェに入り、以前勤めていた[Vinolio(ヴィノーリオ)]の同僚・横内さんとその友人でアクセサリー作家の舞さんと合流して近況報告が交わされた。  その後の話だが、この舞さんは竹内さんと結婚をする。2011年に開店した[Trattoria29]は竹内さんと舞さん二人で切り盛りされ、後に横内さんもメンバーに加わる。ともにイタリアで「

          1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(2/3)  “料理とイタリア”  現地へ渡った料理人のちいさな20の物語