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4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(2/2) “料理とイタリア” 現地へ渡った料理人のちいさな20の物語
[Eccolo]での日々が2年半ほど過ぎた頃、残念ながら店は閉店することに。ここで北山伸也さんは、イタリアへ修行に行くことを決意する。1年間さらにアルバイトをして渡航費を貯めた。北山さんが選んだのは「ICT(Italian Culinary Tradition)」というイタリア料理学校。約1ヶ月の研修を受けた後、現地での就職先を3件紹介してくれる。最初の行き先は、北イタリアのピエモンテ州だ。研修期間はピエモンテ州のドモドッソラにて12〜13人の日本人料理人と共同生活を行い、
4. Tavernetta da Kitayama シェフ・北山伸也さん(1/2) “料理とイタリア” 現地へ渡った料理人のちいさな20の物語
イタリアで見た風景や、イタリア映画を観れば目にする、ある風景。それは、家族や親しい友人と、食事の時間をわかちあい共有する風景だ。どこの国でも同じような光景は目にするはずだけれど、イタリアのそれはお腹の底から笑って、身体全体で目の前の食事を味わい、楽しんでいるように思う。美味しいかどうかというシンプルな話だけでなく、そこには食事を通して一人ひとりの人生が結びつくような瞬間があるのではないだろうか。 そんなイタリア的食事の光景は、私の中で、暖かなイメージとともにずっと育まれて
3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(3/3) “料理とイタリア” 現地へ渡った料理人のちいさな20の物語
地産地消が日常の一部であるということ 再びマルケ州へ戻ってきた連さんは、セッラ・デ・コンティという人口4,000人弱の小さな町へやってきた。標高217mの丘の上にあり、中心地は城壁に囲まれる。14〜16世紀の建築物や19世紀の建築物など、さまざまな時代のものが混じり合う町並みは、小さいながらも豊かな歴史を感じさせる。周りには生産者も多く、ワインの生産地でもあり、保護原産地呼称ワインであるD.O.C.GやD.O.Gを取得するワイナリーなども。この地でつくられる古代豆のチチェ
3. Osteria la cicerchia シェフ・連久美子さん(2/3) “料理とイタリア” 現地へ渡った料理人のちいさな20の物語
2004年、連さんはマルケ州のイエジへ。スローフード協会が運営する学校「Ital.Cook」へ入学した。まずは1ヶ月間イタリア語の勉強に取り組み、2ヶ月目からはイタリア各地のシェフが講師としてやってきて、授業が始まった。 「生徒もみんな料理人や、料理関係の仕事をしている人ばかり。アメリカ人やイギリス人、インド人など、さまざまな国から勉強をしにきていました。まだ日本では、インターネットがちょうど普及してきた、ぐらいの時期だったので、現地のことは訪れるまで全然わからなくて。初め
3. Osteria la Cicerchia シェフ・連久美子さん(1/3) “料理とイタリア” 現地へ渡った料理人のちいさな20の物語
イタリアは中部のマルケ州に、訪れたことがあるだろうか? アドリア海に面した沿岸地域と、中世の街並みが残る旧市街が丘の上に広がる丘陵地帯からなるこの州は、日本では未だにあまりよく知られていないが、興味深い魅力を持った州だ。芸術面でいえば、ルネッサンス期の画家・ラファエロが生まれた街として有名なウルビーノがあり、その街並みは世界遺産へ登録されている。夏には、マチェラータやペーザロで音楽祭が行われ、日本で広くは知られていないながらも、イタリアの文化・芸術面としての顔も併せ持つ。
1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(3/3) “料理とイタリア” 現地へ渡った料理人のちいさな20の物語
[Cecchini(チェッキーニ)]は、トスカーナ州の郊外の町・キャンティにある精肉店だ。現在は8代目の店主・Dario Cecchini(ダリオ・チェッキーニ)さんが営んでいる。ダリオさんの名前は、耳にしたことがある人もいるかもしれない。町の精肉店だったこの店に、2つのTrattoria(トラットリア)をつくり、現在はその料理を一度は体験してみたい、とイタリアだけでなく国外からも多くの人が訪れている。 精肉店の一家に生まれたダリオさんは、獣医という夢を諦め亡き父親の後を
1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(2/3) “料理とイタリア” 現地へ渡った料理人のちいさな20の物語
日本に帰国してからちょうど半年後、竹内さんは再びイタリアへ戻る。今度ははっきりとした期限は決めずに、イタリア各地で働くことを目指す。まずはフィレンツェに入り、以前勤めていた[Vinolio(ヴィノーリオ)]の同僚・横内さんとその友人でアクセサリー作家の舞さんと合流して近況報告が交わされた。 その後の話だが、この舞さんは竹内さんと結婚をする。2011年に開店した[Trattoria29]は竹内さんと舞さん二人で切り盛りされ、後に横内さんもメンバーに加わる。ともにイタリアで「
1. Trattoria 29 /29 in bottiglia シェフ・竹内悠介さん(1/3) “料理とイタリア” 現地へ渡った料理人のちいさな20の物語
東京は西荻窪にあった[Trattoria29]。駅から少し住宅街に入ると現れるそのお店は、店内の灯りとお客さんの笑顔が、ガラス張りの外観から外へと醸し出される、そんな暖かな空間だった。10テーブルほどの小さな店内はいつも満席で、美味しいものを食べる喜びと、そのひと皿を囲む楽しそうな会話で溢れていた。 イタリアから帰ってきたあと、たった1ヶ月半という短い期間だったにもかかわらず、私の心の中はすっかりイタリアに夢中になっていた。日本でイタリアを探す私に、現地の空気を感じさせ