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大好きなおばばちゃんのこと

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ずっとずっと大好きな曾祖母についてです。 彼女は2016年、96歳で自殺しました。 寂しくて寂しくてたまらないだけ。ずっとずっと大好きです。
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記事一覧

おばばちゃんの命日2022

おばばちゃんの命日2022

この間の21日で、おばばちゃんが亡くなって丸6年が経った。おばばちゃんというのは母方の曾祖母のことである。

前の週の日曜日には、家族だけでこじんまりと、おばばちゃんの7回忌とおじじちゃんの33回忌の法事を行ったと聞いた。旦那さんが死んだ日の夜を選んで死んでいったおばばちゃんにとって、旦那さんと2人で供養されるおそらく最初で最後の法事だった。

おばばちゃんがいなくなってから7年目の、1年で1番寒

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おばばちゃんがいなくなった雨の夜

おばばちゃんがいなくなった雨の夜

⚠️この記事では自死・自殺の詳細について触れています。フラッシュバッグなどがある方、感受性が特に強い方はご注意ください。

2016年2月22日、午前2時過ぎ。

断熱材のない板張りの自室はひどく底冷えして、私はこの頃、両親の寝室で母と同じあったかい電気布団に寝ていた。

携帯電話が鳴った。
私の意識は僅かに覚醒したが、寝返りを打って再び夢の中へ戻ろうとした。体の左側から、ひんやりとした空気が温か

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おばばちゃんの記憶 殴り書き

おばばちゃんの記憶 殴り書き

保育園に通うまで毎日のように私の子守りをしてくれたことも、おばばちゃんがおんぶして育ててくれた最後の世代は私と私と同い年のはとこだったことも、よく一緒に家の周りの草取りをしたことも、その時におばばちゃんは「タンポポは抜かないで残しておくんだよ」と言ったことも、80超えてもピンピンしてて自転車乗って転んで家族みんなに怒られてたことも、シルバーカーの椅子のとこに保育園に上がる前の私を乗せて毎日散歩して

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短歌 雨の夜

雨は嫌いだ。

昨日の夜、恋人と電話中に「雨が好きか嫌いか」の話になった。彼はそれほど嫌いではないようで、雨ならではの楽しみも持っていた。私だって、彼の好きなものを好きになるようなポジティブでかわいい彼女になりたかった。

でも、どうしたって雨は嫌いだ。

私の曾祖母は、雨の夜に死んでしまった。
自らこの世に手を振って消えた。

あの日から、心の底の方でずっと自分に絶望している。心底自分が嫌いにな

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短歌 おばばちゃんの命日2021

短歌 おばばちゃんの命日2021

今日は大好きな曾祖母・おばばちゃんの命日です。

おばばちゃんは2016年、96歳で自殺しました。

遺書はありませんでした。
今でも明確な理由はわからないし、おばばちゃんの気持ちに気づかなかったことや自分が最後に背中を押してしまったのではないのかという恐怖に、自責の念が消えて無くなることはないと思います。

死ぬ1週間前に夫の27回忌を執り行い、いつもと変わらず優しくそこにいて最後に私たちに笑顔

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おばばちゃんの命日2021

おばばちゃんの命日2021

以前に別の記事にも書きましたが、私の曾祖母・おばばちゃんは、96歳で自ら命を絶ちました。

おばばちゃんがいなくなってから、今日で丸5年。

私は今も、おばばちゃんが恋しくて一人暮らしの部屋で声を上げて泣き、おばばちゃんが恋しくて夢の中でも「もういなくならないで」と抱きついて泣いています。

でも、私はおばばちゃんがいなくなってからもなんとか生きていて、なんとか大人になりました。

高校卒業して大

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おばばちゃんに最後に会った日

おばばちゃんに最後に会った日

2016年2月14日、日曜日。

母の実家で曾祖父の23回忌法要が執り行われた。高校1年生の私も制服を着て、朝早くから両親とともに法事の準備を手伝っていた。

母の実家には叔父の娘である姉妹がいて、私の歳の離れたいとこである。午前9時頃だったと思う。近所に住む女の子が、当時小学生だった上のいとこにバレンタインの友チョコを渡しに来ていた。

本家である母の実家の三間続きの和室には続々と親族が集まり、

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