生きていくのは過酷だけれど、 人生はそうつらいものではないと信じています。 大学生。…

生きていくのは過酷だけれど、 人生はそうつらいものではないと信じています。 大学生。鬱病になりました。 いただいたコメントには返信しています。

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  • 大好きなおばばちゃんのこと

    ずっとずっと大好きな曾祖母についてです。 彼女は2016年、96歳で自殺しました。 寂しくて寂しくてたまらないだけ。ずっとずっと大好きです。

  • 短歌

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私のおじさん

私の誕生から20余年、おじさんが私の名前を呼んだことは一度として無い。私を指す呼び名はなぜか、今から半世紀ほど前のヒット曲『喝采』で有名な ちあきなおみ だ。 大学進学で一人暮らしを始めるまで、私は母と連れ立って月一でおじさんに会いに行っていた。おじさんは、山を越えた漁港近くの高台に住んでいる。どこにも寄らずに向かったとて、うちから車で片道1時間かかる。 長い道中、母の軽自動車の助手席で塩味の堅〜いおせんべいを食べる。唇が荒れているとヒリヒリしてしょうがないけれど、好きな

    • ほんとのほんとにすべり込み!#もの書き100問100答

      #真夜中インターという新しい文芸誌が誕生するというらしい…ワクワク……! と、真夜中インターを運営されている方々や真夜中インターに参加する方々の盛り上がりを追ってはいたのですが、気がついたらもう10日! 選挙に行く前にあわてて予約を済ませました… ええ、そうです。夏休みの宿題は初めの1週間でおおかた終わらせるものの、最終日の夕方に大慌てで歯磨きカレンダーを塗っていたものです…… 小野ぽのこさんが作ってくださった#もの書き100問100答のフォーマットを使わせてもらい、私

      • 詩 川辺のジャム

        小さな庭を出て 長くつづく道を一人きりで進み 節操もなく万物に祈る 誰かがしあわせであるように 君が安らかであるように 君の川辺を歩き 砂利の上でステップを踏みながら 草いきれのなかを進む 懐かしいうたを歌い 細い風をうなじに遊ばせながら 桑の実を採りに行く 君の紡いだ糸は わたしの藍のスカーフに ちらちらと光る波と その深い色と 爽やかな木陰と ここに在るなにもかも 一緒に煮詰めて 甘酸っぱいジャムにする そして 君のもとに手向ける

        • この町で生きていく

          ここは、どこまでもどこまでも平野だ。 見渡すこの風景が地平線に思えるくらい、少し怯えるくらいの平野だ。 私の住むこの町では、もうすぐ田植えが始まる。 苗が植えられる前の、冷たい水が張られた水田。 すべてのものを反射して、畦道を歩けば空に浮かんだ雲がどこまでも着いてくる。 のどかな風景だと感じるだろうか。もしくは、心が安らぐだろうか。殺風景に思うだろうか。 カウンセラーから仰せつかった日課である散歩の途中。タイルのように続く大きな水田を両手に望む畦道を行く。 ふと、小さな

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        私のおじさん

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        記事

          おばばちゃんの命日2022

          この間の21日で、おばばちゃんが亡くなって丸6年が経った。おばばちゃんというのは母方の曾祖母のことである。 前の週の日曜日には、家族だけでこじんまりと、おばばちゃんの7回忌とおじじちゃんの33回忌の法事を行ったと聞いた。旦那さんが死んだ日の夜を選んで死んでいったおばばちゃんにとって、旦那さんと2人で供養されるおそらく最初で最後の法事だった。 おばばちゃんがいなくなってから7年目の、1年で1番寒い季節。 生まれたばかりの赤ん坊が次の春には小学校に上がるのと同じだけ月日が流れ

          おばばちゃんの命日2022

          チーズバーガーに見る愛の話

          カウンターで注文する店が苦手だ。後ろに人を待たせてメニューを選ぶあのカウンターは、優柔不断な私には鬼門。だからマックではいつもチーズバーガーを頼む。 「ご注文は?」と問われると、メニュー表は視界に入っていてそこからじっくり選ぶこともできるのに、「あ、えっと、チーズバーガー1つ」と咄嗟に口が動いてしまうのだ。 なぜチーズバーガーなのかと問われると、うーん、なぜなんだろう…?自分でもわからない。 「チーズバーガーのここが好き!」「他のバーガーとはここが違ってね!」というふう

          チーズバーガーに見る愛の話

          おばばちゃんがいなくなった雨の夜

          ⚠️この記事では自死・自殺の詳細について触れています。フラッシュバッグなどがある方、感受性が特に強い方はご注意ください。 2016年2月22日、午前2時過ぎ。 断熱材のない板張りの自室はひどく底冷えして、私はこの頃、両親の寝室で母と同じあったかい電気布団に寝ていた。 携帯電話が鳴った。 私の意識は僅かに覚醒したが、寝返りを打って再び夢の中へ戻ろうとした。体の左側から、ひんやりとした空気が温かな布団の中に入り込むのがわかった。母が父の布団をまたいで、充電している携帯を取り

          おばばちゃんがいなくなった雨の夜

          おばばちゃんの記憶 殴り書き

          保育園に通うまで毎日のように私の子守りをしてくれたことも、おばばちゃんがおんぶして育ててくれた最後の世代は私と私と同い年のはとこだったことも、よく一緒に家の周りの草取りをしたことも、その時におばばちゃんは「タンポポは抜かないで残しておくんだよ」と言ったことも、80超えてもピンピンしてて自転車乗って転んで家族みんなに怒られてたことも、シルバーカーの椅子のとこに保育園に上がる前の私を乗せて毎日散歩してくれたことも、私が大きくなって逆におばばちゃんを乗せて歩くと怖がったことも、シル

          おばばちゃんの記憶 殴り書き

          22歳、別に急に大人にならなくていいと思えるようになった

          2021年9月2日、22歳になった。 サイコーな聖人ハリウッド俳優、キアヌ・リーブスと同じお誕生日。世界中の9月2日生まれのみんな、おめでとう! 去年の9月2日、こんな記事を書いていた。 ほんと、今ではなんであんなに嫌だったのかわからないけれど、ハタチから21歳になるのが本当に嫌で嫌で。 21歳になる3時間ほど前、母に「うわ〜ん!21歳になりたくないよ〜〜……!」と泣きながら電話した程だ。21時の公園で泣きました。怖。 しかし、22歳の誕生日はうきうきで迎えた。 去年

          22歳、別に急に大人にならなくていいと思えるようになった

          私のおじさん#冒頭3行選手権

          私の誕生から20余年、おじさんが私の名前を呼んだことは一度として無い。私を指す呼び名はなぜか、今から半世紀ほど前のヒット曲『喝采』で有名な ちあきなおみ だ。 ・ 野やぎさんの企画に参加することにしました。 下書きばかり溜めてしまって全然完成させない癖のある私ですが、これを機会にちょっとだけがんばろうと思います。 私の愛しいおじさんの話、乞うご期待! 全文公開しました。 想像とは少し違う展開かもしれません。ぜひ最後まで読んでいただきたいです。

          私のおじさん#冒頭3行選手権

          短歌 雨の夜

          雨は嫌いだ。 昨日の夜、恋人と電話中に「雨が好きか嫌いか」の話になった。彼はそれほど嫌いではないようで、雨ならではの楽しみも持っていた。私だって、彼の好きなものを好きになるようなポジティブでかわいい彼女になりたかった。 でも、どうしたって雨は嫌いだ。 私の曾祖母は、雨の夜に死んでしまった。 自らこの世に手を振って消えた。 あの日から、心の底の方でずっと自分に絶望している。心底自分が嫌いになった。 だから、私は雨が嫌いだ。 昨日は久しぶりに曾祖母の夢を見た。 外は晴

          短歌 雨の夜

          はざま (春)

              春と夏のはざま     淡く 脆く 危うげな今日の日が     過ぎてゆこうとしています     夏になろうとしています     初夏 私が一番好きな季節     あなたの庭に バラが咲く季節     始まりを告げる 春よりも     心躍る日が 来るはずなのに          春よ 行かないでと     願ってしまう     夏よ 来ないでと     願ってしまう     私の願いは届くでしょうか     はたして誰に届くでしょうか     神や仏

          はざま (春)

          はざま (冬)

          冬と春のはざま 柔く 鋭く 揺蕩い積もる今日の日が 過ぎて行こうとしています 春になろうとしています 心湿らす冬よりも 瑞々しい日が来るはずなのに 冬よ、去らないでと願ってしまう 春よ、目覚めないでと願ってしまう 私の願いは届くでしょうか 果たして誰に届くでしょうか  神や仏やそのほか色々 そんなに遠く届かなくっていいのです 新たな場所に震える君に 君の隣を駆け抜くシーンに 届いてくれたらいいのです 冬 暦の日付はあと僅か 春になろうとしていま

          はざま (冬)

          短歌 おばばちゃんの命日2021

          今日は大好きな曾祖母・おばばちゃんの命日です。 おばばちゃんは2016年、96歳で自殺しました。 遺書はありませんでした。 今でも明確な理由はわからないし、おばばちゃんの気持ちに気づかなかったことや自分が最後に背中を押してしまったのではないのかという恐怖に、自責の念が消えて無くなることはないと思います。 死ぬ1週間前に夫の27回忌を執り行い、いつもと変わらず優しくそこにいて最後に私たちに笑顔を見せてから、夫と同じ命日を選んで自ら死んでいったおばばちゃん。 私はずっとず

          短歌 おばばちゃんの命日2021

          おばばちゃんの命日2021

          以前に別の記事にも書きましたが、私の曾祖母・おばばちゃんは、96歳で自ら命を絶ちました。 おばばちゃんがいなくなってから、今日で丸5年。 私は今も、おばばちゃんが恋しくて一人暮らしの部屋で声を上げて泣き、おばばちゃんが恋しくて夢の中でも「もういなくならないで」と抱きついて泣いています。 でも、私はおばばちゃんがいなくなってからもなんとか生きていて、なんとか大人になりました。 高校卒業して大学生になって、雪なんて全然降らない関東で一人暮らしをしています。今日お母さんから

          おばばちゃんの命日2021

          短歌 入院した1個上の幼馴染へ

          幼馴染が悪性リンパ腫と白血病になった。 それを告げる電話口で、母はひどく動転していた。私はなんだかまだ信じられないでいる。 幼馴染は春から社会人になる予定なのだ、きっと本人が一番憔悴している。 遠く離れた私にはこれといってできることが見つからないんだけれど、とにかく君とまた元気に会えることを祈っています。 ----------------------------------------------- 覚えてる?うちの庭にて夏休み スイカの種を飛ばして遊んだ  君はま

          短歌 入院した1個上の幼馴染へ