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【 エッセイ 】どうも治らない悪癖

あぁ、またやってる…。


俺には一つ、どうしても治らない癖がある。
リュックのチャックを閉め忘れることだ。

スマホをマナーモードにしたり
自転車のカギをかけることは
基本的に忘れないのに。

どうもリュックのチャックにだけは
気が回らないらしい。

毎度、気をつけようと心がけているんだよ。
チャック閉めないとなぁ〜って。

よくやりがちなのが、電車の中で。
大学まで1時間かけて通っているから
まぁその間、読書したり、スマホをいじったり。

だから本とかイヤホンを取り出すときに
開けっ放しのままにして読書をし始めたり
スマホいじりに没頭する。

もうチャックを開けっ放しにしていることなんて
頭からすっぽり抜け落ちているのだ。

んで、いつの間にか
乗り換え駅に着いてて、慌てて降りる。

なおさら開けっぱなしであることなんて
もう俺の頭の中には存在していない。

じゃあ気付くのはいつか?

乗り換えのホームで待っているとき
あるいは電車に乗って座ってからだ。

まず俺の心にやってくるのは
とんでもない恥ずかしさ。

だってチャック全開にして
リュックを背負っているんだぜ?

ダサすぎるにも程があるだろう。

「これ、最近のファッショントレンドなんですよ。」

なんていう冗談が通じるはずがない。

穴があったら入りたくなるし
誰か教えてくれよぉ…と思ったりする。

そして意外にも
"感心" がその後にやってくる。

多分思っただろう。
モノが盗まれたりはしないのか?と。

さすがは、日本だ。
こんな不用心な癖があるのに、
一度もモノが盗まれたことはない。

まぁ、なんと平和な国だろうか。
と感心するわけだ。

きっとどこか治安の悪い国だったら…
と思うと怖くなったりもするが。

しかし俺は気づいていなかった…。
実は毎回、あるものが盗まれていたのだ。

それは何か?
バッグの中身ではない。



俺の記憶だ。



チャックを開けっ放しにしているという事実を忘れてしまう俺の記憶が “毎回” 盗まれていた。

そうさ、考えてみれば記憶が抜け落ちたんじゃない。
盗まれたのさ!!!

一体、誰が盗んだんだ??

もし盗んだという人がいるのなら
正直に申し出てほしい。

先生怒らないから(大嘘)

まぁそれが分かればさ、
チャックを閉め忘れることがないんだけども。

…明くる日。
いつものように電車に乗り
リュックから本とイヤホンを取り出す。

読書に没頭し始めた。

再び、俺の記憶が盗まれてしまったようだ。
で、思う。



あぁ、またやってる…。

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