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エッセイ

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#本

「ポケモンGO」と「虫モンGO」 @「居るのはつらいよ」東畑開人著

「ポケモンGO」と「虫モンGO」 @「居るのはつらいよ」東畑開人著

 何故?なんで?こんな処に?と、ゾンビのように多くの人が揺れている風景に出会いゾッとしたことがあった。
 ゾンビはニュースにもなり、すぐにそれがポケモンGOというゲームを行っている人々だと知った。
 最初に目にした光景があまりに気色悪くショッキングということもあるが、なんとなくの違和感でワタシは絶対にそれに取り込まれないと警戒した。ただその得も言われぬ違和感の理由はなんなのかは、わからなかった。

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ことばで語り直すことが生きていくということ、それを見守るということ@「臨床とことば」より

人は自分を語りながら大人になる。
それが生きていくということ。
人生のときどきによって語ることばを変更し言い直しつつ大人になる。
それが成長するということだろう。
その都度、自分とはこういう人間なのだと納得しながら語ることになる。
でもまあ、いつまでたっても、これだという自分が決まるわけでもない。
正しく言い直し続けることができればいいんだけど、そうはならない。
ずっと正しく語るのは、なかなか困難

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「存在」を確認しあう作業が、傾聴の本質

カウンセリングとは、その人の生き方とか、悩みを聴くのではなく「存在」感を聴く、「存在」を確認するものである。その結果として、生き方を替えたり、そのまま安心したりする。しかし、それは単なる結果である。
存在はこの世界に生まれてから、社会的な存在感を身につけて生きるようになっても、それをもてないまま生きていても、あるいは、そこを抜け出してからでもかわらずにずっと「ある」。人と人とが向かいあって、この「

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路上のX(桐野夏生著)@傾聴

路上のX(桐野夏生著)@傾聴

友人から借りて読んだ。

こんなに叫んでも、私たちの声は届かないの?
幸せな日常を断ち切られ、親に捨てられた女子高校生たち。
ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。
かけがえのない魂を傷めながらも、三人の少女は酷薄な大人たちの世界をしなやかに踏み越えていく。
最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を物語に結実させた著者の新たな代表作。

本の帯に書かれたセリフである。
女子高生の肉声を結実

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「幸せになる勇気」と自殺志願と傾聴と

「幸せになる勇気」と自殺志願と傾聴と

 アドラーを紹介する「嫌われる勇気」という本があってちょっとまえにnoteでも取り上げた。
 で、今回はその続編「幸せになる勇気」の読後感想も書いちゃおっと。
 「幸せにある勇気」ではアドラー心理学はカウンセリングである、と紹介される。さらに教育もカウンセリングであるってね。
 カウンセングとは、相談者の「自立」を援助することって書かれているのだけど、アドラーの言う「自立」とは、普段使われる、自分

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近所の変なおじさん

近所の変なおじさん

 宮台真司共著の「子育て指南書 ウンコのおじさん」を読んだ。
 正直にいえば宮台真司が嫌いだった。嘘。嫌いというほど知らないし、付き合いがあるわけでもない。なので、たまにカチンとくる台詞を聞いたことがあるような、ないようなぐらいで、よい心象はもっていなかった。ぐらいのこと。
 ところがである、へぇ〜、いいヤツかも、と思わせた本。
 ちゅうか、ワタシと似ていて子ども好きなのである。まあ決定的な違いは

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