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エッセイ

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2018年4月の記事一覧

近所の変なおじさん

近所の変なおじさん

 宮台真司共著の「子育て指南書 ウンコのおじさん」を読んだ。
 正直にいえば宮台真司が嫌いだった。嘘。嫌いというほど知らないし、付き合いがあるわけでもない。なので、たまにカチンとくる台詞を聞いたことがあるような、ないようなぐらいで、よい心象はもっていなかった。ぐらいのこと。
 ところがである、へぇ〜、いいヤツかも、と思わせた本。
 ちゅうか、ワタシと似ていて子ども好きなのである。まあ決定的な違いは

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濁流のなかのホームレスはなぜ救助を拒否したか?

2007年9月・・・
台風9号はすっかり消え去ったけど、ワタシのなかでフラッシュバックする映像がある。
テレビで生中継された、濁流の多摩川の中洲に取り残されたホームレスの姿である。
そのホームレスはヘリコプターでの救助を頑なに拒否していた。
「普通」は救助を求める状況なのに、迷うことなく拒否していたのだ。
濁流にながされ死ぬかもしれないのに拒否した。
実際に周りにいた濁流に呑まれた3人は命を落とし

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野垂れ死に同盟

野垂れ死に同盟

ずっとまえ、ある友人たちと話をしていた。
独身同僚が死んで2日後に発見された、という。
孤独死である。
友人たちは、ひとりで死んでいくなんて惨めだ、という前提で話していた。
ワタシだけが、別にいいんじゃない孤独死で、と言った。
それが彼らには想定外すぎて、全く理解されずスルーされた。
ワタシが何も言ってないかのように話しがすすんだ。

介護の初任者研修のなかで「死」についての項目があった。
てっき

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佐藤ママの「魂の殺人」講演

今朝、朝日新聞の片隅にありました。

4人の子どもを東大医学部に入れました。
講演のテーマは「受験は母親が9割」
講演の内容は「子どもは基本的に勉強嫌いで怠け者なのだから、勉強をする環境づくりが必要」
勉強を習慣化させるため、リビングルームで勉強させたり、キッチンタイマーを使って時間を管理したり……
この講演に165人の親が参加しました。

こうして子どもたちの魂は殺されていきます。
親の9割の意

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優しさに包まれたなら・・・

優しさに包まれたなら・・・

消え入るような声に耳を傾ける夢から覚醒めた朝
世界が違って見えた。
全てが輝いている。
全てが生きている。
虚ろなすべてに彩が着いた。
目に入るもの全てをなぜたくなり、
出会う人全てを抱きしめたくなる。
思えば暗く長く狭いトンネルを彷徨いつづきたセミのよう。
地上にでたくても石畳に阻まれもがいている幼虫。
とても小さな声に導かれて地上に這い出た。
光と風と彩に満ちた世界。
石畳の隙間のスミレが目に

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激しい雨の夜から目が覚めて

激しい雨の夜から目が覚めて

夜明けまえの雨、闇。
すべてに溶け込んでしまいそうな少女の声。
全力で耳を傾けないと聴き取れないないほど薄く途切れた「助けて」。
苦しそうな声がぼくのなかで尾を引きながら目が醒めた。
夢だった?
いつのまにか寝落ていた床の上のち小さなため息
消え入りそうな声をおいかけ、あてもないまま外に出た。
ふと気がつくといつもの散歩道。
雨上がりの公園。
昨日とはまるで違う景色。
耳の奥で夢のなかの声がリフレ

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