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日本の中小企業はDX化して変革することはできないでしょうって話

 どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

 みなさんの会社、DXできてますか。

 シヤチハタで有名なシヤチハタ株式会社が、そう、あのシヤチハタです。ハンコ?印鑑?そう、あれ。シャチハタじゃないですよ。シヤチハタです。

 そのシヤチハタ株式会社が『DXしない理由は「とくにない」』といった調査結果をまとめた調査リリースを2024年2月26日に出しました。

 このリリース内にもきちんと『※1 社名表記は「シャチハタ」ではなく「シヤチハタ」です。』と書いてありますので、みなさん、気をつけてくださいね。シャチハタじゃありませんよ。

 で、大々的に書かれている内容は『(アンケート調査に回答した)中小企業のうち、約76%はDX化に取り組んでいない』そうです。また、多くの中小企業経営者や決裁者の約7割が「DX化」と「IT化」の違いを明確に理解していないとも回答しており、明らかに経済産業省が勇んでつけた名称が再び足枷となってしまっていることが匂わせる結果が出ています。

 さらに、DXに対する一歩が踏み出すことを躊躇う何よりの要因はDX化に対して「ハードルが高い」と感じている人が75.4%と最も多いことからイメージが悪いですよねってことがわかります。

 次いで「アナログな企業には難しい(71.8%)」「自社には苦手な分野だと思う(64.2%)」なんて具合に、ドンドンとハードルが引き上がってしまっていることが伺えます。

 そこで、『DX?何それ?おいしいの?』って方をはじめ、ぼくのようにDXに懐疑的な目で見ているような方に向けて、DXってものについて再考する機会をつくってみることにしましたので、一緒に考えてみましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)についてのおさらい

 まず、DXって言葉が出てきたのは経済産業省が2018年9月7日に発表したDXレポート~IT システム『2025年の崖』の克服とDX の本格的な展開~からです。

 このレポートで触れられているのは、あらゆる企業で運用されている各種IT系のシステムはWindowsのアップデートへの対応や事業内容の変更に対応するために継ぎ足しに継ぎ足しを重ねてきた歴史があります。その結果、複雑化・ブラックボックス化していることを実感している労働者と経営者のみなさんもいらっしゃることでしょう。

 そこに目をつけた経済産業省は上記のレポート内で既存システムを使用し続けてDX化が進まなくなった結果、2025年以降で最大12兆円といった非常に大きな経済損失が発生すると予測しています。

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf

 最大12兆円ってのは非常に大きな金額ですよね。その金額の分だけ損をしている企業がいるってことですし、その企業を経営している経営者や決裁権を持っている人たちはきっと嘆き悲しんでいることでしょう。さらに、その人たちのもとで働く労働者の人たちも苦しい中で働くことになるのだろうと経済産業省は2018年に予測したレポートを書いていたわけです。

DXって本当に必要なんだっけ

 その結果、シヤチハタが行った調査によって『(アンケート調査に回答した)中小企業のうち、約76%はDX化に取り組んでいない』ことが明るみになったことは冗談みたいな本当の話として、今後の日本でも英雄譚的に語り継がれていくのではないでしょうか。

 この経済産業省のレポートで語られている最大12兆円の損失は、俗称「2025年の崖」問題とされており、2022年7月に同じく経済産業省から発表されたDXレポート2.2」によると、DX化の取り組みを進める企業は着実に増えているものの、実際に成果が出ている企業は少ないことが分かっています。

 旗振り役が悪かったのか、付き従う側の教養の問題なのかはわかりませんが、いずれにしてもシヤチハタ株式会社が調査したレポート内に記載されている結果は、アンケートへ回答した企業だけでなく多くの企業が面している課題や問題なのであろうことがわかります。

 「DXってそもそも必要なの?」ってところに疑問を抱く人は少なくないでしょう。これを書いているぼくは、『DX』って言葉が盛んに使われるようになった頃から否定的な意見を盛んに出すことを意図的にやってきましたが、その根本的な理由は『経済産業省が先走ってDXとか言い出したから』ってこと以外にありません。

 いや、わかるんですよ。大事なことですからね。IT化というか、そもそも企業のビジネスモデルや産業構造を一変するような変革をもたらして生産性を激上げしていこうぜ!なんて機運をつくりたいことは、よ〜くわかります。

 だけど、だったらITバブルの頃に言えよと。それが無理だったら、それから数年後にでもいいから言ってろよって。

 JETROが2020年に出した『アメリカにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状』を見れば、遅くとも2010年代初頭にはGeneral Electric(GE)やFord、Procter & Gamble(P&G)など名だたる企業がDXとやらに取り組んで失敗したことから教訓を得ていますし、何よりもNetflixはビジネスモデル自体をデジタル化したことによってコロナ禍も後押しし、押しも押されぬコンテンツ事業者として君臨することになりました。

 DXが多くの中小企業で導入や実施が困難だとされる理由として大きいのが、単に技術を導入することではなく、企業や組織が持続可能な成長を遂げるために必要不可欠なプロセスだとされる大業な扱われ方にあるのは間違いないんじゃないですかねぇ…なんてのが率直に思うところです。

どうしたらいいのかを考えてみよう…としたけど

 DXを論じる中で多くの媒体で扱われている言い方が、DXを推進することは顧客ニーズに迅速に応え、新しいビジネスモデルを生み出し、効率化を図ることができる、なんて言い方。

 そこへとってつけたかのような言い方で『VUCAだから』とかアメリカの4文字熟語ならぬ4文字略語に触発されたような言説ですよ。

 言いたいこともわかるし、それをしないと世界経済の中における日本企業の存在感が損なわれるって危機感も存分に理解できます。

 でも、それを損なわせてきたのは「ITでブイブイ言わせるような輩はぶっ叩くぜ」っていう出る杭は叩かれるって印象を決定づけたライブドア事件と称されるホリエモンこと堀江貴文氏の逮捕が契機になっていることは否定できないわけで。

 そうは言いながらも、これ以上、日本経済が悪くなることは避けてもらいたいと思うし、その労働市場で生きる人間として諦めるわけにはいかないよなとも思うのです。

 じゃー、あらゆる中小企業がDX化、ひいてはIT化やデジタル化を素地にした事業変革を起こすためにはどうしたらいいのかってことは考えてみたいところです。

 結論、SAPなどをはじめとしたERPの導入ができない時点で詰んでしまっているのではないでしょうか。ERPってのは、「Enterprise Resource Planning」の略語で、日本語的に直訳すると「経営資源計画」です。つまり、経営資源を計画するためにそれらを把握するためのシステムってことです。

 これまでの日本にある中小企業が行ってきたのが「弊社独自の商習慣に合わせたシステムづくり」。これにこだわり続けてきた結果、日本ではガラガラポンみたいな事業再編や事業承継などの抜本的な改革が必要になる事態に陥らないことには無理だろうと思っています。

 だって、単なるIT導入ではなく、ビジネスモデルの変革と捉えることがDX化なわけで、それを自社独自のシステムだなんだって述べている時点で組織全体でDXの意義と目標を共有するだなんてことできませんよ。

 そこで中小企業に対して教育しようだとか、パートナーシップでどうにかしようとか、誰かがリーダーシップを発揮して…なんてことを思索したとて、すでに時は遅しなわけです。

 だって、DXは技術的な側面だけでなく、人材、組織文化、ビジネスプロセスの全てに関わる包括的な取り組みですからね。

 それを頓挫するような姿勢が蔓延してきた99.7%が中小企業である日本ではDX化なんて夢のまた夢以上のことで、諦めたくはないけれど諦めて抜本的な改革をする必要がある段階にまで陥らないと無理なんだろうなって思う他にありませんです。はい。

おわりに

 結局、なんの希望も抱くことのできない結論となってしまいました。

 もちろん、市井で事業を営む中小企業のDX化を支援している人たちがいることは重々承知していますし、そういった人たちを応援したい気持ちがないわけではありません。

 ただ、それはミクロな話なわけで、日本って国の大勢を見てみると「無理ゲー」としか思えないわけです。悲観的な意見でしょうが、いくら市政の事業者ががんばったとて、進化の速度が速い世界経済の中で日本の中小企業がTop of Topになるようなことは起こり得ないでしょう。

 そうなってくると、個々の事業者、個々の経営者、個々の労働者といった個別単位で変革を実現していく他にないわけで、いってしまえば経済産業省、ひいては日本国政府の敗北ってのが2024年時点でのDX評ではないでしょうか。

 ではでは。

 ゑんどう(@ryosuke_endo)


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