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【根無し草の感想文】情けは人の為ならず(草稿)

「情けは人の為ならず」
ことわざとしても知名度が高い言葉ですが、古くは『太平記』にもその一節が使われていたとか。
新渡戸稲造の『一日一言』にもその一節が使われていて、これ自体は特に誰の言葉というものでもないみたいです。

ただ、新渡戸稲造が「情けは~」を用いて伝えたかった事は、現代の我々にも響く金言ではあります。

※金額については各自でご確認願います。

こちらの本では、「四月の23」にてその一節を読むことができます。

さて、私が以前より考えていた「情けは人の為ならず」についてですが、
結局、人を助けたい、役に立ちたい、世話したい、という気持ちは自分の願望でしかないんですよ。
そういった自分の「本音」に気付いたらすごく気が楽になりました。

有り体に言えば、「人と関わりたい」欲求がそういう気持ちにさせているのです。
少なくとも私はそうでした。

もちろん、「良く思われたい」という気持ちなしに「善意」として行う事もあると思います。
でも、極論を言えば、情けをかけることは人と人との関わりを持とうとする行為です。

動機がどうあれ、結果、情けの対象となる人が(心から)喜んでいたのなら、それは「やって良かった」となるでしょう。

ただ、「小さな親切大きなお世話」という言葉があるように、自分は良かれと思ってやった事でも相手は不快に感じる事もあります。
実際私はこの手の失敗を繰り返し、人間関係が気まずくなった事もありますよ。

勝手に「恩を仇で返された」気分になっておりました。いや、お恥ずかしい。
結局それは、「独りよがりな善意の押し付け」でしかなかったのです。

しかも、怒られるならまだしも、その時はお互いに「ありがとう、どういたしまして」といい感じだったけど、
後々私が施した情けにより、その相手が酷い目に遭い「お前があんなことしたから…」と私のせいにされた時は #眠れない夜に なりましたよ。
いや、結局「私のせい」だったんです。

動機は「良かれ」という気持ちで、その時は相手も喜んで受け入れてくれていた。
でも後々お相手が不利益を被り私が責められたのは、
そもそも「私が」情けを出したから。
「施してやろう」なんて自己満足に駆られたから。
これに尽きます。

という感じで、私の場合はこんな痛い失敗を何度かしています。

「一向に構わん」という方はこのまま続きをどうぞ

ですが、スマートに情けをかけて良好な人間関係を築いておられる方もいらっしゃいます。
いわゆる滅私奉公の精神で、情けをかけ、世のため人のためになっておられる方もいらっしゃるでしょう。

それはそれとして結構な事かと存じます。

ただ、私は、どうしたって「情け」というのは自分由来の動機でしかなく、結果どうなろうと、その「情け」に責任を持つという覚悟で行うものという認識に至ります。

これはそんな大袈裟な話でもなく、電車で席を譲ったら断られた、という結果になっても気にしないという事です。
その相手は「座りたくなかっただけ」なのかも知れませんから。

以前の私は、「情け」を断られたり、怒られたり、後々責められたり、そんな事が続けば「情け」を人にかけたいと思わなくなりました。
「所詮は自己満足、余計な事はしないに限る」と。

でも、私が余計な事はしないと思っていた所で、私以外の方々はそうは思わないどころか、そんな私の気持ちは知ったこっちゃないのです。
私は種々様々の情けを受け取っていました。

そうなると、まさか「してもらって当然」というわけにもいかず、せめて感謝して、あわよくば何かしらの「お礼」を、できる範囲内でするようになります。
ここに人との関わり、繋がりがありました。

「お礼しなくては!」と意気込むあまり「いや、そこまでしなくても…」と相手が引いていたのは、今やいい思い出です。

ただ、「ありがとう」。
それだけでいいって事もありますよね。

何も金品が目的で情けをかける場合が全てというわけでもないですし、
仮に損得勘定でやった事でも、結果win-winになることもあるでしょう。

無論、弱みに漬け込んで一方的に情けを押し付け見返りを強要するのは論外ですが。

私は気づきました。
「情け」も場数を踏んでいけば、慣れていけば、自分も相手にとってもプラスに働くのだと。

仮に上手くいかなくても、「自分がやりたくてやった事」と思えば受け入れられる。
何事も練習なわけで、少しづつでも「情け」は最適化されていく、というわけです。

情けの動機がどうであれ、結果がどうであれ、それは人と人との関わり、繋がりである。と言えるのではないでしょうか?

「貴方が喜んで私も嬉しい」
そうありたいなと思っております。


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