Jiiさん

1991年生まれ。 『迷惑をかけない』それを意識しすぎるあまり自分が分からなくなること…

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1991年生まれ。 『迷惑をかけない』それを意識しすぎるあまり自分が分からなくなることがある。「もっと自分を出したい」って思っても、迷惑かけないように、不快にさせないように、顔色伺い同調しながら関わる、結局自分を出せない。どうしたらもっと自分を出せるだろう……そうだ!エッセイだ!

記事一覧

固定された記事

1.俺のプロローグ 〜迷惑をかけない〜 

【俺のプロローグ 〜迷惑をかけない〜 】 “人に迷惑をかけない”  それが俺の生き方。 「夢」や「目標」そんなものはない。ないというより分からないというほうが正し…

Jiiさん
1か月前
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17.初めての就職③ スタッフからの手紙

“人に迷惑をかけない”  そんな俺が店長になった。辞めたいと思ってたのに……。はぁ……。  そのとき俺は22歳。新社会人として入職してから、およそ1年半。当時そ…

Jiiさん
9時間前
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16.初めての就職② 仕事を辞めれない俺が店長になった

 就職して3ヶ月経つ頃には「もう辞めたいな」と思うようになっていた。それはほとんどの人が一度は陥るであろう、新社会人特有の学生時代とのギャップによるものが大きか…

Jiiさん
5日前
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15.初めての就職① 迷惑をかけないの力

 専門学校・S校を卒業後、リラクゼーションサロンを運営する会社へ就職し、店舗スタッフとして勤務した。  学校の実技の授業のなかで、スポーツマッサージに触れる機会…

Jiiさん
9日前
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14.教師にしばかれた話

 俺は教師にしばかれたことが人生で3回ある。 〈しばかれた話①〉  初めて教師にしばかれたのは、中学1年のとき。  俺は昔から身だしなみに無頓着なやつだった。  …

Jiiさん
2週間前
16

13.俺はそんなヤツじゃない②

“人に迷惑をかけない”  そうやって生きている俺は、自分のことなど気にしない。迷惑かけなればそれでいい。  そんな俺は、職場の人たちや俺のことをよく知らない人た…

Jiiさん
3週間前
17

12.青鬼になろう

 5歳のとき、保育園のお遊戯会で劇をした。  演目は『泣いた赤鬼』という童話。 『人間と仲良くなりたいと思う赤鬼。しかし、怖がられてしまうため仲良くなれず、悲しむ…

Jiiさん
3週間前
17

11.初めての本気土下座

 大阪と実家のある四国を行き来するとき、俺は電車を使うことが多い。大阪〜岡山は新幹線に乗り、岡山で電車を乗り換える。  25歳のとき。実家に帰省していた俺は、大…

Jiiさん
4週間前
24

10.何が迷惑になるか分からないから

 うちの小学校では毎年、学習発表会という行事があって、それは学芸会みたいなもので各学年ごとに舞台上で劇をしたり、ダンスをしたり、調べ学習のことを発表したりする。…

Jiiさん
1か月前
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9.普通名詞の関係

 父の仕事は船乗りで仕事に出ると3〜4ヶ月程、家には帰ってこない。その間、家の事や子どもたちの世話は母が担う。我々に母が怒ることもあったけど、明るく優しい母だっ…

Jiiさん
1か月前
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8.もしも俺が魚だったら

 俺は時々、突然何かに興味を持ったりする。そのことについて、調べるか、調べないかは気分次第。  そんな感じで、あるとき興味を持ったことの1つ、  ジュゴン。  …

Jiiさん
1か月前
31

7.砕け散った好奇心

 うちの町では、5歳でそれぞれの保育園を卒園した後、町に1つだけの幼稚園に全員が入園するシステムになっていた。  幼稚園のときのお遊戯会で全組合同での合奏があっ…

Jiiさん
1か月前
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毎週、1つか2つずつエッセイ載せていきます。
できれば下から、古いものから順番に読んでほしいです。

Jiiさん
1か月前
8

6.今の自分は好きですか?

 俺は専門学校・S校に入学してからずっと皆勤だった。  19、20歳の血気盛んな時期であるがゆえに学校をサボる人も多かった。昼休みにゲーセンのパチンコが当たり「…

Jiiさん
1か月前
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5.上阪での失敗

 高校を卒業して、大阪にある専門学校に進学した。  高校生だった当時、元々は就職希望だったが、学校にある求人票を見てもやりたいと思うものがなかった。そもそもなり…

Jiiさん
1か月前
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4.部活の話 〜俺はキャプテン向いてない〜 

 俺は高校生のとき、野球部のキャプテンだった。  “人に迷惑をかけない”そうやって生きている俺。  そんなヤツがキャプテンなんて向いてない。  中学のとき、ある試…

Jiiさん
1か月前
31

1.俺のプロローグ 〜迷惑をかけない〜 

【俺のプロローグ 〜迷惑をかけない〜 】

“人に迷惑をかけない”
 それが俺の生き方。
「夢」や「目標」そんなものはない。ないというより分からないというほうが正しい。分からない“人に迷惑をかけない”そうやって生きているから。

“人に迷惑をかけない”
 人の顔色、感情の変化、人間関係などあらゆることにアンテナを張る。
 人の発言の意図や裏側を考える。
 時と場合、環境や立場が変わると俺は変わる。

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17.初めての就職③ スタッフからの手紙

“人に迷惑をかけない”
 そんな俺が店長になった。辞めたいと思ってたのに……。はぁ……。

 そのとき俺は22歳。新社会人として入職してから、およそ1年半。当時その会社では、珍しいことではなかった。俺の同期2人もすでに店長をさせられていた。俺は異動が多くて1つの店舗に留まる期間が短かったから、運良く生きながらえていた。

 俺が店長として配属された店舗は、うちの数ある店舗の中で、No.1の売上を誇

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16.初めての就職② 仕事を辞めれない俺が店長になった

 就職して3ヶ月経つ頃には「もう辞めたいな」と思うようになっていた。それはほとんどの人が一度は陥るであろう、新社会人特有の学生時代とのギャップによるものが大きかった。
 サービス業であったため、お盆や年末年始などの連休でも休みは取りにくかった。俺の性格上なおさら。連休のとき地元で友達が集まっていても、俺は参加できなかった。これが一番辛かった。LINEやSNSでみんなが集まって楽しんでる様子を見て歯

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15.初めての就職① 迷惑をかけないの力

 専門学校・S校を卒業後、リラクゼーションサロンを運営する会社へ就職し、店舗スタッフとして勤務した。

 学校の実技の授業のなかで、スポーツマッサージに触れる機会があり、そのときに「うまいやん」「気持ちええわぁ」と、クラスメイトからそういう評価を得たことで、向いてるのかも、と思うようになった。

 そもそも“人に迷惑をかけない”そうやって生きている俺には夢や目標などなく、特に当時は学校や就職に対す

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14.教師にしばかれた話

 俺は教師にしばかれたことが人生で3回ある。

〈しばかれた話①〉

 初めて教師にしばかれたのは、中学1年のとき。
 俺は昔から身だしなみに無頓着なやつだった。
 寝ぐせは直さずに家を出る。通学で自転車に乗るときはヘルメットを被らないといけなかったので、通学しているうちに寝ぐせも直るだろうと思ってわざわざ直さなかった。学校に着いてヘルメットを取ると、残念ながら直ってないときもあったが気に留めなか

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13.俺はそんなヤツじゃない②

“人に迷惑をかけない”
 そうやって生きている俺は、自分のことなど気にしない。迷惑かけなればそれでいい。

 そんな俺は、職場の人たちや俺のことをよく知らない人たちからは、真面目、大人しい、優しそう、ちゃんとしてる、そういった印象を持たれることが多い。

 だが俺は、みんなが思っているようなヤツじゃない。

 俺は人並みに清潔感もあるし、昔から比較的健康に育った。ただ、ある一箇所だけ体の部位で弱い

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12.青鬼になろう

 5歳のとき、保育園のお遊戯会で劇をした。
 演目は『泣いた赤鬼』という童話。
『人間と仲良くなりたいと思う赤鬼。しかし、怖がられてしまうため仲良くなれず、悲しむ赤鬼。友達の青鬼が「ぼくが人間の村を襲って暴れるから、そこへ赤鬼が登場し、青鬼をこらしめる。そうすれば人間たちが優しい鬼だと分かってくれる」と提案。青鬼はそれを強引に実行し、青鬼をこらしめた赤鬼は人間と仲良くなる。そして村人に嫌われた青鬼

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11.初めての本気土下座

 大阪と実家のある四国を行き来するとき、俺は電車を使うことが多い。大阪〜岡山は新幹線に乗り、岡山で電車を乗り換える。
 25歳のとき。実家に帰省していた俺は、大阪へ戻るため、いつも通り電車で岡山まで向かった。22時〜23時の終電に近い新幹線に乗る予定で地元の駅を出たが、雨の影響で電車が遅延してしまい岡山に着く頃には、最終の新幹線には間に合わないことが確定。岡山で一泊しないといけなくなった。
「どう

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10.何が迷惑になるか分からないから

 うちの小学校では毎年、学習発表会という行事があって、それは学芸会みたいなもので各学年ごとに舞台上で劇をしたり、ダンスをしたり、調べ学習のことを発表したりする。発表会の当日には、保護者や町の教育委員の人も観覧に来るような年に一度の行事。
 小学3年のとき『さんねん峠』という童話の劇をした。俺は主役のおじいさん役になった。
 本番3日前に総練習があって、開会から閉会までの流れを通し、全校生徒と教員た

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9.普通名詞の関係

 父の仕事は船乗りで仕事に出ると3〜4ヶ月程、家には帰ってこない。その間、家の事や子どもたちの世話は母が担う。我々に母が怒ることもあったけど、明るく優しい母だったから怖くはないし、母からだけの叱咤には慣れてくる。反発して言い返すことも多々あった。

 俺には5つ上の兄がいる。
 俺が小学校低学年のとき、中学生だった兄は反抗期へと突入した。
 兄は自分の思い通りにいかないことがとにかく気に食わず、そ

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8.もしも俺が魚だったら

 俺は時々、突然何かに興味を持ったりする。そのことについて、調べるか、調べないかは気分次第。
 そんな感じで、あるとき興味を持ったことの1つ、

 ジュゴン。

 みんなジュゴン分かるかな? ジュゴンって聞いてどんな姿か思い描けてる?
 ジュゴンって人魚のモデルっていわれてるんやけど、もしそうだとしたら人魚の体型って、なんか思ってたよりもあれだね。
 気になる人は、ジュゴン調べてみて。ほらほら。

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7.砕け散った好奇心

 うちの町では、5歳でそれぞれの保育園を卒園した後、町に1つだけの幼稚園に全員が入園するシステムになっていた。

 幼稚園のときのお遊戯会で全組合同での合奏があった。
 全員で50人ほどの園児が1つになり音を奏でる。なかなか大掛かりだ。だからこそ、期待と好奇心が湧き立つ。
 様々な楽器が目の前に広がる。なかには初めて見る楽器がいくつもあり、そんな楽器の数々に、幼い好奇心がキラキラ光った。
「これは

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毎週、1つか2つずつエッセイ載せていきます。
できれば下から、古いものから順番に読んでほしいです。

6.今の自分は好きですか?

 俺は専門学校・S校に入学してからずっと皆勤だった。
 19、20歳の血気盛んな時期であるがゆえに学校をサボる人も多かった。昼休みにゲーセンのパチンコが当たり「俺このままおるわ」と、そのまま打ち続け学校をサボるやつまでいた。ゲーセンのパチンコで……。
 そんな中で皆勤者は希少人種だった。皆勤であるからには、このまま卒業まで皆勤を目指すと俺は決めていた。それは“大人しくて真面目な人”としてふさわしい

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5.上阪での失敗

 高校を卒業して、大阪にある専門学校に進学した。

 高校生だった当時、元々は就職希望だったが、学校にある求人票を見てもやりたいと思うものがなかった。そもそもなりたい自分も、やりたい仕事も分からなかった。“人に迷惑をかけたくない”そうやって過ごしてきたから。
 むしろ、高校生の段階でやりたいことが見つかっている人のほうが珍しいんじゃないかなって思う。

 毎年、大手の自動車製造会社4社から、うちの

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4.部活の話 〜俺はキャプテン向いてない〜 

 俺は高校生のとき、野球部のキャプテンだった。
 “人に迷惑をかけない”そうやって生きている俺。
 そんなヤツがキャプテンなんて向いてない。

 中学のとき、ある試合で俺はセンターを守っていた。
 「カキーン!」センターにボールが転がってくる。自分の元へ転がってくるボールを迎え入れるように、俺は優しくグローブを差し出した。
 ――ないっ!!
 グローブに入っているはずのボールが消えた……。
 俺は

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