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長編自己啓発ギャグ小説

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】13

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

まゆがマイクを握り、出場者に向かって言った。

『それではただ今から取材を行います。あらかじめお伝えした順番でインタビューさせて頂きます。インタビュアーは岩松茂太、収録は私、桜まゆが務めさせて頂きます』

まゆの挨拶と共に、茂太のマイクを握る手に力が入る。

『恥ずかしい限りです。本当なら私はそちらに座っているはずです。ですが人生は本当

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】12

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

一方、出場者メンバーも何を質問されるかまったく分かってはいなかったが、誰もが目立ちたがり屋のため、この日この時をまだか今かと楽しみに待ち構えていた。
彼らもまたすでに心の準備は万全だった。

次第に控え室前の廊下の往来が慌ただしくなる。
一同が特設スタジオへと向かう。

インタビューを初めてする茂太は緊張感を解すために掌に人という文字を

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】8

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

柴田は一枚の企画書を取り出して茂太に手渡した。
眼を通すと思わず仰天するほどの衝撃を受けた。

企画書の内容は以下だった。
お笑いライブ【レッツ!美銀2】

前回のライブで高視聴率をマークした為、本年度に限り第2弾を開催します。
出場者六組名簿

1.コンコンどなた様

2.フライパン(熊谷弘樹)

3.人間交差点

4.お宝発掘

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】7

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

ここで食事をしよう。茂太くん、好きなものを注文しなさい。まゆ、君もいつものように』

テーブルを囲み、三人で食事をする。
煌びやかな店内の装飾品の数々、豪勢なメニュー、茂太はすべてが初めてでこのような贅沢な時間は過去にはありえなかった。

少し損をしていた自分自身に心を痛めた。
『茂太さん、やってみせてよ』
『何をですか?』
『決まって

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】6

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

数日後。
茂太は柴田と約束していた待ち合わせである書店通りと呼ばれる並木道でひとり佇んでいた。

半時間も早く到着した茂太は一旦、並木道を離れ、建ち並ぶ書店の中から洋館を装った店内で時間を潰して待っていた。

普段は読まない書籍と向き合う。
心が落ち着き、コンビを解散したことが今では良かったと安心感に包まれる。

一方、弘樹はマネージャ

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】5

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

一時間ばかり経過し、皆が酔い店主まで酔い、今ではグラスや焼き鳥の空中浮遊を見ても誰も驚かなくなった。

そんな時だった。
がらがらと入り口の扉が開いた。

暖簾をくぐる黒一色のスーツに身を纏うひとりの長身のイケメン男が、長い黒髪をたなびかせて店内に入ってきた。

時間が停止したかのようにピタリとすべて止まっているようだ。
やがて、ざわめ

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】4

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

しばらく歩くといつもの居酒屋があり、相変わらずの盛況ぶりを誇っていた。

三人?は暖簾をくぐって席に腰を下ろす。
店主が近づいてくる。

こじんまりとした和を強調させている店内は心から落ち着きをもたらしてくれる。

『何にしましょう』
『とりあえずお冷やを三つ』

店員はえっ?と思ったのだろう。
聞き返してきた。

『三つですか?二つで

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】14(ラスト)

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

部屋に入ると柴田は冷えたコーヒーを二人に差し出した。
火照った身体に冷えたコーヒーは格別だった。

啓太と京子は柴田にありがとうと伝えた。
だが柴田は制止して代わりに、口にくわえた葉巻に火を点けろと言わんばかりに、大きなチャッカマンをテーブルの上に置いてせがんできた。

京子が火を点けた。
『ありがとう、京子さん。やはり葉巻は米国産に限

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】12

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

京子は赤面した。

『あなた、困ったわ。私、本を出したくて出したくて仕方ないの』

啓太はいきなりすぎて返答に困った。
その様子を見ていた柴田が間髪入れずに割ってはいった。

『なんなら私が協力しましょう。私は夢を叶える男ですから』

京子は嬉しかったが、それなら夫が居ると自信に満ちて返答した。

『それなら昨夜にお伝え申したように主人

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】11

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

ごもく旅館二日目の朝を迎えた。

啓太は朝食を済ませて温泉に足を運ばせた。
啓太はようやく疲れを癒すことが出来た。

全身が温まり、血行が良くなっていくのを強く感じる。
啓太は今回の旅行ほど心労を強く感じたことはなかった。

そしてそれは出会った当初の京子を思い出させるものでもあった。

随分と見違えるほどに成長を遂げたものだなと温泉に

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】10

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

扉を叩いても声を張り上げても啓太は部屋から出てこない。

うっすらとした意識の状態ではあるものの、無意識がなにやら騒がしいという感覚だけを捉えていた。

しかしながらもまだ睡眠の最中にいた。
取材陣は強行突破を試みた。

もはやその場に顔を合わせた一同には、ベストセラー作家・高木啓太に対する尊厳やマナーなど微塵の欠片や素振りさえなかった

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】6

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

三時間の乗車時間を経て、ふたりはごもく旅館のある駅に到着した。

さすがに三時間の電車移動となると街並みは姿を変えていく。

本当に旅館に来たのだなと思わせてくれる風景が広がる。

座りっぱなしでもちろん、ふたりのお尻は筋肉痛に襲われ、このときばかりは京子の意識は自身のお尻の鈍い痛みに囚われた。

下車し終えた啓太と京子は、鈍痛を抱えな

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】5

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

温泉旅行当日。
この日は穏やかな天候に包まれた。

近所では小学生たちの元気な歓声が聞こえ、行き交う車のクラクションが平日の騒がしさを際立てていた。

啓太は爆睡したが一瞬に過ぎなかった。
結局、一睡も出来ずに朝を迎えた。

京子は啓太の充血した眼を見て心配そうに問いかけた。

『あなた、眼が真っ赤よ。大丈夫?あまりの嬉しさに眠れなかっ

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】4

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

翌日、出版社に原稿脱稿の連絡を入れた。

妻でもあり、秘書でもある彼女の役割で、少しでも夫の力になりたいと協力を申し出たことを、啓太が承諾したのだった。

最初は随分と戸惑ったものの、京子の執拗な気持ちに負けて、加筆修正や誤字脱字チェックまで今では一緒にやってくれるまでになっていた。

現在の京子は三役を買ってでていた。
妻であり秘書で

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