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論語と算盤の写経を終えて(2/2)
2021年の大河ドラマ「青天を衝け」の主役である渋沢栄一先生にあやかろうと2021年の7月から始めた渋沢先生の講演や執筆をまとめた「論語と算盤」を原文で読みながらまとめたり感想を書くという作業がやっと終わりました。この後半はChatGPTの力を借りて行ったのですが、おかげで爆速に作業を進めることができました。
そこで、この「論語と算盤」の写経を振り返り、本記事では全10章のうち後半の5章をCha
論語と算盤 格言五則
これらの漢詩は、中国の古典文学からの重要な抜粋であり、それぞれが異なるテーマと教訓を持っています。一つずつ翻訳して解説します。
原文「天地鬼神の道、皆満盈を悪む。謙虚冲損なれば、以て害を免かるべし。」顔氏家訓
翻訳「天地(自然)と鬼神(超自然的な力)の道は、すべて満ち足りた状態を好まない。謙虚で控えめであれば、災害を避けることができる。」
解説「この詩は、謙虚さが重要であることを教えています。
論語と算盤⑩成敗と運命: 7.成敗は身に残る糟粕(そうはく、酒のしぼりかす)
本節では、単なる成功や失敗を人生の基準とすることの虚しさについて議論しています。渋沢先生は、悪運によって成功する人もいれば、善人が運に恵まれず失敗することもあるが、これらは人生の本質的な部分ではないと指摘します。真に大切なのは、個人が自らの責務を果たし、誠実に努力することであり、一時的な成功・失敗は長い人生における小さな一部に過ぎないと説明しています。また、運命だけが人生を支配するわけではなく、智
もっとみる論語と算盤⑩成敗と運命: 6.細心にして大胆なれ
本節で渋沢先生は社会進歩の必要性とその障害について議論しています。先生は、進歩と秩序の両立の難しさを指摘し、保守的な傾向が自然に生じるが、これが進歩を阻害する可能性があると警告しています。また、過去の鎖国政策が国際競争での遅れを招いたとして、急速な進歩と個人・国家の向上のために倍の努力が必要であると強調しています。また、先生は、自己依存と進取の精神の必要性を説き、政府依存を減らし民間の自立を促すべ
もっとみる論語と算盤⑩成敗と運命: 5.逆順の二境はいずれより来るか
本節では、二人の異なる人物と彼らの運命を描写しています。一人目は、地位も富もなく、自身の才能と勤勉さで成功を収める人物です。彼は困難を乗り越え、富貴栄達を得るが、これは彼自身の努力の結果であり、外部の環境や順境に依存していない。対照的に、もう一人は怠惰で勉強を怠ったため、失敗し、逆境に陥る。彼の失敗は自ら招いたものであり、外部の逆境のせいではない。韓退之の詩「符読書城南」を引用し、成功と失敗は個人
もっとみる論語と算盤⑩成敗と運命: 4.湖畔の感慨
本節では、渋沢先生が春の大正三年に中国旅行中、上海から杭州へ行き、西湖と岳飛の石碑を訪れた時に感じたことを語っています。岳飛は宋末の名将で、金に抵抗したが、奸臣秦檜に裏切られ処刑されました。しかし、現在彼の碑と秦檜の鉄像は数歩離れて対峙している。訪れる人々は岳飛に敬意を払い、秦檜に軽蔑の意を示すといいます。このことは、人の善悪が死後も評価されることを示している証だと先生はおっしゃっています。
論語と算盤⑩成敗と運命: 3.人事を尽くして天命を待て
本節では、「天命」という概念に対する異なる解釈が議論されています。一部の宗教家は、天を人格を持つ霊的存在とみなし、人間の行いや祈りに応じて幸福や不幸を与えると考えています。しかし、渋沢先生はこの見解に反対し、天命は人間の意識や願望に関わらず自然に従って進行するものと説明しています。人間は天命を畏れ、自然の流れに従い、無理や不自然な行為を避けるべきだと主張しています。また、天や神、仏を人間のような存
もっとみる論語と算盤⑩成敗と運命: 2.失敗らしき成功
本節では、成功と失敗の本質について、中国の歴史的人物を例に取りながら論じています。古代中国の聖賢として称される堯舜、禹湯、文武、周公などは生前に目覚ましい成果を挙げ、尊敬されたが、孔子は生前には成功しなかったにも関わらず、後世において最も尊敬されています。この例から、先生は、物質的な成功だけが成功ではなく、精神的な事業の失敗も真の成功につながることを指摘しています。楠正成や菅原道真のように生前は失
もっとみる論語と算盤⑩成敗と運命: 1.それただ忠恕のみ
本節では、仕事や事業への取り組み方について語られています。熱意と興味を持って事業に取り組む人は、忙しさや困難さにもかかわらず、楽しみを見出し、社会に貢献できる。一方で、興味を持たずに仕事をする人は、疲労や不満を感じ、最終的にはその職を辞めざるを得なくなる。成功と幸福は、熱意と努力によってのみ達成される。また、東京市養育院の例を引き合いに出し、患者や窮民に対する同情と人道的な接近が必要であることを強
もっとみる論語と算盤⑨教育と情誼: 7.人物過剰の一大原因
本節では「心学」という実践道徳の流派が紹介されています。この学派は徳川幕府中期に始まり、石田梅巌によって提唱されました。彼の著作「鳩翁道話」はこの流派の一部です。梅巌の門下生である手島堵庵と中沢道二によって広められた心学は、社会に普及しました。中沢道二の「道二翁道話」には、孝行についての教訓が記されており、自然体であることの重要性が強調されています。また、教育に関しては、現代の教育制度が人材供給過
もっとみる論語と算盤⑨教育と情誼: 5.理論より実際
本節では、現代の中等教育における問題点を指摘しています。先生は教育が知識の伝授に重点を置き過ぎ、徳育の側面が欠けていると批判しています。また、学生の気質についても、昔の青年と比べて勇気や努力、自覚が欠けていると見ています。実業教育の発展が遅れた歴史にも触れ、日本の商工業が長い間軽視されてきたことを嘆いています。しかし、最近の実業教育の進歩にもかかわらず、教育方法が理智の側面にのみ偏っており、規律や
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