本節では、「天命」という概念に対する異なる解釈が議論されています。一部の宗教家は、天を人格を持つ霊的存在とみなし、人間の行いや祈りに応じて幸福や不幸を与えると考えています。しかし、渋沢先生はこの見解に反対し、天命は人間の意識や願望に関わらず自然に従って進行するものと説明しています。人間は天命を畏れ、自然の流れに従い、無理や不自然な行為を避けるべきだと主張しています。また、天や神、仏を人間のような存在と解釈することは誤りであり、人間は恭敬と信頼を持って天命に対処すべきだと述べています。最終的には、「人事を尽くして天命を待つ」という考え方を支持し、天命に対する最も適切な態度は恭敬と信頼であると結論づけています。