本節では、単なる成功や失敗を人生の基準とすることの虚しさについて議論しています。渋沢先生は、悪運によって成功する人もいれば、善人が運に恵まれず失敗することもあるが、これらは人生の本質的な部分ではないと指摘します。真に大切なのは、個人が自らの責務を果たし、誠実に努力することであり、一時的な成功・失敗は長い人生における小さな一部に過ぎないと説明しています。また、運命だけが人生を支配するわけではなく、智恵と共に運命を開拓することが重要であると強調しています。成功や失敗にとらわれず、誠実に努力し、道理に従って行動する者は、最終的には天に導かれ、より価値ある生涯を送ることができると先生は結論づけています。