本節では、師弟関係の重要性を強調し、その現代の薄弱さに憂慮を表しています。渋沢先生は、教師と生徒が単なる知識の伝達者と受取者に過ぎない現状について言及し、これを落語を聴く観客に例えています。一方で、孔子とその72人の弟子の関係を理想的な師弟の模範として挙げ、このような深い関係が現代においても求められるべきだと主張しています。また、徳川時代の熊沢蕃山と中江藤樹の間の師弟関係を例に挙げ、師と弟子の間には深い情愛が存在したことを示しています。渋沢は、教師と生徒の間に敬愛の念が必要であり、このような関係を築くためには教師自身が徳望、才能、学問、人格を高める必要があると強調しています。また、生徒側にも師に対する敬意を持つべきだと述べています。彼は、教師と生徒が互いに尊重し合うことで、師弟関係が向上し、教育の質が高まると信じています。