小林 大介

神奈川県の中学校教師です。未来の教育のあり方について考えています。今、特に興味を持って…

小林 大介

神奈川県の中学校教師です。未来の教育のあり方について考えています。今、特に興味を持っているのは、UDLというカリキュラム設計の枠組み、キャリア教育、シティズンシップ教育、防災教育、食育です。学校教育は、社会変革の起点だと考え、豊かな教育を目指して頑張ります。

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    学校の先生方にとって何らかのヒントになったら嬉しい。教師の仕事を長期的に楽しめる社会でありたい。そんな思いから、記事をまとめています。

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教師の眼差し#1|教師は「話す」よりも「聞く」

1 教師は話しすぎる一年間の育休から学校現場に戻って一ヶ月が過ぎた。改めて感じるのは、「教師は話しすぎる」ということ。生徒の話を聞くことよりも、教師自身が話すことの方が、圧倒的に多い。そして、それが当たり前のことになっているように見える。 中学校の現場で象徴的なのは、部活動の「ミーティング」のシーンだ。ミーティングと言うからには、「話し合い」がなされるのかと思いきや、そんなことは(僕の見る限り)ほとんどない。大概は、顧問の教師が一方的に評価や指示を述べる。 そこでは、教

    • 【資本主義の外側で生きる】#3 図書館は生活文化の拠点

      【資本主義の外側で生きる】#3 図書館は生活文化の拠点 育休期間における変化の一つは、地域の図書館に子どもの絵本を借りに行くようになったこと。そこで気づくことが、また多い。 まず、図書館のおばさん(スタッフ)とのやり取り、対人関係。コンビニのレジでの機能的で無表情なやり取りとは明らかに違う温もりがある。子どもに向ける優しい眼差しを感じるし、カウンターで雑談することが自然にできる。図書館は、地域住民とのおしゃべりを許容する雰囲気がある。 一方、コンビニのレジでの雑談は、嫌

      • 【資本主義の外側で生きる】#2 電気代は抑えた。でも理想は昔の日本家屋?!

        【資本主義の外側で生きる】#2 電気代は抑えた。でも理想は昔の日本家屋?! 1月の電気料金が激増したショックで、2月は慌てて生活スタイルを見直した。というか、単純にムダに暖房を使わないことにした。結果、電力使用量は184kwhと1月の半分近くまで削減。政府の助成も手伝って料金は半分の7000円になった。2月の平均的世帯の電力使用量が370kwhだから、それなりの結果だった。 それで、生活に支障があったかと言えば、実はほとんどない。人間は、「そこに便利なものがあれば使う」の

        • 【お父さんは学校の先生】#2 エジソン箸、子どもに無用なアンラーンを強いてない?

          【お父さんは学校の先生】#2 エジソン箸、子どもに無用なアンラーンを強いてない? 育児用品には、「余計なもの」が少なくない。育児という営みは、人類がずっとやってきた訳で、現代のような育児用品がなくても育児はできる。それでも育児用品が溢れているのは、子どものため、というよりも企業側は「儲かるから」だし、親側は「楽(不安)だから」という資本主義社会の心因に他ならない。 「エジソン箸」は、「余計なもの」の最たる例だと思う。箸を使えるようになるために、あのような補助は要らないはず

        教師の眼差し#1|教師は「話す」よりも「聞く」

        • 【資本主義の外側で生きる】#3 図書館は生活文化の拠点

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          【気付き】花粉症、治った。浮いた医療費で寄付しよう。

          【気付き】花粉症、治った。浮いた医療費で寄付しよう。 食生活を「腸内細菌シフト」にし続けた結果なのか、花粉症が概ね治ったようだ。外出先でくしゃみが止まらない人、目を痒そうにしている人を見かけて、自分の症状の無さに気づいた。 そういえば、お寺のお坊さんは、修行を始めて食物繊維の多い精進料理を食べるようになると、アレルギー性疾患が治まるらしい。僕もそれと似たようなものか。 発症したのは、23歳のとき。振り返れば、生活の乱れが原因だったと思う。管理栄養士の妻と出会って、毎年徐

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          【お父さんは学校の先生】#1 夜のおむつ外し

          【お父さんは学校の先生】#1 夜のおむつ外し これまでの育児に関する投稿はたくさんしてきたけど、最近、記事の内容が多様化してきて、分類整りするために、【お父さんは学校の先生】と題してシリーズにすることにした。 ちなみに、僕が記事を書くのは半分は誰かと分かち合えたらいいなという思いだけど、もう半分は趣味だ。「書くのは趣味」と言えば、芥川賞を受賞した井戸川射子さんの言葉を思い出す。彼女は僕と同じ1987年生まれで学校教師。それだけで親近感を持つけど、さらに自身の育児経験が『こ

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          万能メモアプリNotionに生成AIが・・・どうする学校現場?

          【気付き】万能メモアプリNotionに生成AIが・・・どうする学校現場? 今朝、notionを立ち上げると、生成AI機能が搭載されていた。2023/02/23から全てのユーザーにリリースされたらしい。Chat GPTで話題になっている生成AIは、今後もどんどん裾野をひろげていくのだろう。 https://www.notion.so/ja-jp/blog/notion-ai-is-here-for-everyone 早速、教師目線で使ってみた。最初に結論を言うと、Chat

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          危険を遠ざける社会ー安全が危険をつくる

          【気付き】危険を遠ざける社会ー安全が危険をつくる 昨年末、娘の入院がした時、言葉にできない苦悩を体験した。でも、それがなければ僕は哲学者・西田幾多郎の「絶対矛盾的自己同一」の概念を理解することも、興味を持つこともなかったと思う。 絶対矛盾的自己同一。哲学らしい難解な表現だけど、このコンセプトは深い苦しみを経験した者にとってはすんなり受け入れられる。一見すると相反するような概念も、根底は共通するところから出現しているのであり、見方を変えると両者は同じである。そんな意味だ。

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          パックご飯の利用拡大、素直に喜べないなあ・・

          【気付き】パックご飯の利用拡大、素直に喜べないなあ。 先日、日本農業新聞に、レトルトのパックご飯の消費が拡大しているとの記事を見た。米の消費低迷に悩む農家にとっては、一応、安心材料だろうか。背景には、単身世帯と共働き世帯の増加があるのかも知れない。 人々が米を主食として食べることは、日本の自然環境の保全にもつながるし、食の安全保障の観点からも大事だ。 でも、僕は素直に喜べない。 パックご飯の利用は、手料理をする文化の劣化を象徴しているように感じる。ご飯さえ炊く余裕がな

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          図書館での邂逅ー風呂敷の魅力、実感

          【気付き】図書館での邂逅ー風呂敷の魅力、実感 地域の図書館は、生涯学習の拠点ー。最近はそう実感するようになった。今は、Amazonで欲しい本はワンクリックで手に入る。それでも地域の小さな図書館には、大きな価値がある。 それは本との偶然の出会い。子どもの絵本を借りに図書館に入ると、ふと目に留まる本がある。それは、自分だけでは探し求めない本。それでも心が惹かれる本。 先日、本棚に並んだ「初めてのふろしきレッスン」という本に出会った。迷わず借りた。別にこれまで風呂敷に興味があ

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          マスクを外さない日本人に見るもの

          【気付き】マスクを外さない日本人に視るもの マスク着用について、3月13日からは屋内・屋外を問わずに個人の判断に委ねる方針を政府が示した。 すでに屋外ではマスク着用は原則不要とされているが、街に出ると、ほとんどの人がいまだにマスクを着用している。報道を見る限り、(合理的な理由がないのに)マスクを着用し続けようとする人がかなり多いようにも感じる。 僕が興味があるのは、なぜ日本人は外国と比べて、マスクを外そうとしないのか、その違いの背後にあるものは何なのか、という問いだ。

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          トルコ・シリア地震に心寄せてー「心の会計」を使って寄付しませんか。

          【お願い】トルコ・シリア地震に心寄せてー心の会計を使って寄付しませんか。 トルコ・シリア地震による死者が2万人を超えました。もちろん、この悲しみの深さは数字で置き換えるべきではありません。しかし、僕の脳は「2万人」と聞いた途端、直ちに東日本大震災の記憶にアクセスしていました。 東日本大震災の死者もまた、およそ2万人だったからです。2011年から日本を覆ったような悲しみを、今トルコ・シリアの人々が経験しているーーそう思いました。 地震大国に住む私たちにとって、トルコ・シリ

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          教師とChat GPT

          【気付き】教師とChat GPT 僕は、テクノロジーは一過性の幸せしかもたらさないと考えているけど、人間の欲望に限度がないことも生物学的な事実で、故にテクノロジーの更新は止められないことも認める。 それでも「テクノロジーは新たな弊害を生み出さないことはあり得ない」と言うことには意味がある。だって、歴史的にいつもそうだったから。でも批判するなら、その相手を知ってから、がマナーだ。 この1ヶ月で、Chat GPTに関するメディア報道が増えた。新聞各社、NHKも特集している。

          教師とChat GPT

          教師もインディペンデント・プロデューサーになる時代!

          【気づき】教師もインディペンデント・プロデューサーになる時代! 色んなことが次々と重なって、新しいキャリア・ステージに入ってみようと思い立ちました。まさか、自分がベストセラー『LIFE SHIFT』で提唱された新しい人生ステージを地で行くことになるとは・・・。それは、インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)というキャリア・ステージのことです。 構想している事業の内容(WHAT)は、次のこと。 「既存の教育機関に馴染めず、行き場を失ってしまっている子ども達を対象に

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          市場に頼り過ぎ?!現代人がお金がかかる訳

          リンクの記事について、NewsPicksのユーザーコメントを見てみると、「(出生数が減るのは)子どもにお金がかかりすぎるからだ」という意見がけっこうありました。 確かに、子ども一人20歳まで育てるのに、教育費と養育費で2000万円はかかると言いますよね。年間100万円です。日本経済は地盤沈下が今後も続くでしょうから、毎年100万円を20年間は支払えないな・・・と感じるのはごく普通かも。 「子どもを持たない」という人生戦略は、生きていく上で益々ポピュラーになっていくんでろう

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          育児はブリコラージュを磨く機会?!

          育児は、レヴィ=ストロースが1960年代に提唱した「ブリコラージュ」という思考法を磨く機会になり得るかも知れない・・・。 ブリコラージュとは、「日曜大工」などと解釈される概念で、あり合わせのもので、非予定調和的に課題解決する思考能力のことです。レヴィ=ストロースはこれを近代的思考(=明確な目標があって、プランと部品があって、直線的に課題解決する能力)に対比して提起したものと考えられています。 よく引き合いに出されるのが、料理です。レシピ通りに材料を集め、レシピ通りに調理す

          育児はブリコラージュを磨く機会?!