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万能メモアプリNotionに生成AIが・・・どうする学校現場?

【気付き】万能メモアプリNotionに生成AIが・・・どうする学校現場?

今朝、notionを立ち上げると、生成AI機能が搭載されていた。2023/02/23から全てのユーザーにリリースされたらしい。Chat GPTで話題になっている生成AIは、今後もどんどん裾野をひろげていくのだろう。

https://www.notion.so/ja-jp/blog/notion-ai-is-here-for-everyone

早速、教師目線で使ってみた。最初に結論を言うと、Chat GPTと同様、日本語版はまだAIが食べているデータが不足しているようで、不完全さが目立つ。ただ、notionに搭載されたAI機能の数々は、非常に興味深い。

まず、機能の説明から。基本として、あるテーマを入力すると、それについて「エッセー」「長所・短所」「ブレスト」「アウトライン」等の生成ができる。所要時間は10秒ほど。


次に、自分が書いた文章を、改善したり、短くしたりしてくれる。面白いのは「トーンの変更」という機能で、より「フォーマル」にしたり、より「率直」にしたりが一瞬でできる。

また、用途がよく分からないが、自分が書いた文章に対して「続きを書く」ことができる。AIが文脈を読んで自動的に入力してくれる。


実際に試した内容を紹介しよう。

(1)学校給食だより(教師向け)

今朝、妻が「3月の給食だよりを書かなきゃ」と呟いたので、「3月小学校給食だより」と打ち込んでnotion AIに書かせてみた。結果は、メニューばかりが並んでいて、これでは役に立ちそうもなかった。季節に合わせた食事記事を提供してくれればよかったのだが。



(2)小中学校での性教育の積極的導入の是非(教師向け)

論争的なテーマについて、notion AIに長所・短所を挙げさせてみた。これはお見事。もう人間の能力を超えている、だって10秒でこれだけテキストで整理できるのだから。質的にはChat GPTと同程度だけど、notionはこのまま文章作成に移れる(アプリ間の移動が要らない)のが良さになりそうだ。



(3)日本における同性婚の法制化に向けて、私たち国民にできること(生徒使用を想定)

先日、勤務校の生徒から育休中の僕に、同性婚の法制化に向けて、必要なことは何だと考えるか、とのインタビューを受けた(総合の授業で)。notion AIはどう答えるのか。

結果を見て、舌を巻いた。もちろん、所詮はAIが書く文章は一般論ではある。しかし、この内容は、中学生が一生懸命時間をかけて、ようやく辿り着くようなものだ。AIが生成したこの結果を、生徒が使うことを、教師はどう考えればいいのか。何と言ってもNotionは無料で使用できる。


(4)又吉直樹 小説『火花』読書感想(生徒使用を想定)

少し、怖くなって、読書感想文(エッセー)を書かせてみた。ネット空間に情報が多そうな又吉直樹さんの『火花』について。今度はホットした。なんともちんぷんかんぷんだった。登場人物もストーリーも滅茶苦茶で、むしろ創作に近いようだった。




さあ、学校現場は生成AIの「日常化」をどう考えればいいのか。恐らく、今後も日本語でも生成AIの精度は高まっていく。

参考になるインタビューが昨日2023/02/22、朝日新聞の記事になっていた。


チャットGPTの「対抗アプリ」作った大学生 4万人以上が順番待ち
[https://www.asahi.com/articles/ASR2N5714R2JUHBI020.html](https://www.asahi.com/articles/ASR2N5714R2JUHBI020.html)

記事の冒頭は次の通り。


米新興企業オープンAIの対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」に対抗するアプリを米国の大学生が作り、話題を呼んでいる。米プリンストン大学4年のエドワード・ティアン氏(22)だ。教育現場でカンニングに使われかねないと悩む教師のため、チャットGPTが作った文章かどうかを見極めるアプリ「GPTゼロ」を作った。

このインタビューの中でティアンさんは次のように述べている。


「学生はつねに抜け道を探すので、学校で禁止することがうまくいくとは思いません。それにAIは未来の技術であり、学生はこうしたテクノロジーと触れあうべきです。だからこそ、GPTゼロも当初のような『シロかクロか』という二者択一ではなく、AIが書いたとみられる部分を明示して、教師や学生の議論のきっかけをつくるツールに移行しつつあります」


歴史を振り返って見れば、「便利な」テクノロジーの普及は恐らく止められないだろう。僕は、テクノロジーは新しい問題を連れてきて、必ずしも「進歩」にならないと考える立場だけど、それを言っても社会は立ち止まることはない。


では現実的にどうするか。月並みな答えだけど、まずは知ることから始めるしかないと思う。ティアンさんは、次のようにもインタビューで述べていた。


「チャットGPTは、人々が何かの作業を始める時には非常に役に立つのですが、仕事を完成させるには向いていません。オリジナルのものは何も生まないのです。この技術はインターネット上から膨大なデータを収集しており、多くのことを知っていることは認めます。でも、それらがはき出すのはパターンに過ぎない。」


もし、学校現場で生成AIを普通に使う日々が訪れたら、この指摘が一つの軸になるだろう。つまり、「生成AIの活用は、授業の初期段階」ということ。とは言え、初期段階でその後の学習の方向づけを生成AIに安易に委ねる態度も頂けない。授業での活用法や評価の問題など様々な議論が、教師には求められる。

危惧されるのは、テクノロジーの進展が早すぎて、学校現場・教師側がついていけない一方、生徒達の方が柔軟に使いこなしてしまう状況だ。これは十分にあり得る。すると、課題レポートのAI依存や生徒間に生じる格差などの問題に、対処できなくなる。

職員会議で議論できなくても、学年会レベルでもいいから、早めに「こういうものがあってさ・・・」という話はしておきたい。

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