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まだ戦争は終わっていない「ソクチョの冬」

<文学(58歩目)>
素晴らしく美しい愛の物語をとことん味わう。何故か、映画の様にシーンが脳裏に刻まれます。

ソクチョの冬
エリザ・スア・デュサパン (著), 原 正人 (翻訳)
早川書房

「58歩目」はフランス・韓国の両文化をルーツに持つ素晴らしい才能に感嘆できる作品です。
歳をとって「錆付いた心」の錆が取れる物語です。

エリザ・スア・デュサパンさんは、この作品がデビュー作とのこと。
何気なく手に取り、驚いた作品です。もう何年も前のことになりますが、若い頃の「愛(love)」ってこんな感じでモノトーンの世界からも色が見えたなぁ。と強く感じました。

もう何年かして、この作品の「愛(love)」に不感症になったならば、棺桶が近くなったのだなぁと実感できるリトマス試験紙になりそうです。

デュサパンさんは、24歳でこの作品でデビューしたようです。その後、未訳ですが「日本(日暮里)」、「ロシア(ウラジオストク)」を舞台にした作品を出していて、「極東」にかかわる文化の「メランジェ(混ぜ合わせ)」をテーマとして書き続けているとのこと。

自らのルーツに対して、ちょっと距離を置きながら、感じる風景を書かれた文章には何故か文字は「モノクロームの冬」なのですが、鮮やかな色が浮きあがってきます。(プラス、「匂い」も)
※彼女が「日暮里」をどう描いているのか?とても気になります。

この感性に才能を強く感じました。
読後に幸福感が残る作品であり、SFの方で紹介した「わたしたちが光の速さで進めないなら キム・チョヨプ」さんに似ていて、やさしさとキラキラしたお菓子を味わった感じです。

ちょっとオススメです。

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