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荷花
2023年11月28日 20:26
魚の匂いがする。 一人暮らしのちいさな部屋の中で焼き魚をすると、すべてのものが魚の匂いに染まる。 先日行った彼氏の家を思い出す。ナチュラルに整頓されていて居心地の良さそうな、生真面目な性格があらわれているようなリビングと寝室。観葉植物とテレビをかけるボード。全体的にベージュトーンで統一された部屋。 そして今のわたしの魚部屋。 隅には白い鳥がいて、グレーのラグに白い家具。静かで、わたしひ
2023年11月25日 00:11
最近、親が筋トレにハマっている。 母親と会うたびに若返っているのがわかる。内側からハリのある肌、ほんのり血色のよい頬、しなやかな手足。母はいつだって、今がいちばん美しい。 いや、そうではなかった。わたしが小学生の頃、シングルマザーの母は国家資格を取るために日々勉強に追われていた。わたしはあまりかまってもらえないことを寂しく思いながら、周りの荷花ちゃんのためにお母さんがんばってるね、応援して
2023年11月19日 17:52
寒い。 痛いまではいかないけれど寒い。寒いがすぎると痛いに変わるけれど、暑いがすぎるとどうなるんだっけ。漠然と、砂漠にある熱い砂と砂の間の熱のことを思って、そのへんに夏があるような気がして、でも夜はすごく寒いんだってね、そのあたりなんだかアンティークな風格。 強めの風がふく。 夕方なのにもう暗くなった道でシルエットだけのコーギーを見かけて、そのあまりの足の短さに衝撃を受けたりする。たぶん
2023年11月4日 00:08
どこかで気球が破れている。 ぱん、ぱん、と小気味よく、カラフルな膨らみを爆ぜている。それは遠い彼方のことで、たとえるならば昔話のようなやさしさで、今もこだましている。十月がいつの間にか終わり、霜月に入ってもまた低迷する気持ちのままだった。そんなことをいまだにやっている私が、幼くて痛い。 このところ、過去の凄惨な事件や、刑務所内の生活、ヤングケアラーやきょうだい児、虐待に介護、それらを追うニ