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美味しいものたちとの出逢い

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美味しいレストランの逸品たち、市場で瑞々しく輝く食材、採れたての魚など、さまざまな美味しさとの邂逅について、忘れずに心にとどめるための備忘録です。
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#春

こごみで、春の寿司

こごみで、春の寿司

あくも優しい旬のこごみ。

青、赤取り混ぜてたくさん手に入ったので、
鯛やさよりなどの魚たちに
小ぶりの筍、そら豆など、
家じゅうの旬をかき集めて、
ちらし寿司に仕立ててみました。

その時の旬菜であれば、具は何でも。
野菜や刺身が数種それぞれ少しずつしかない時、
お寿司にしてみると、不思議と心細くありません。

こごみは、巻いた部分を特に念入りに洗ったら塩ゆでするだけ。
筍は下ゆでののち、薄味で

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筍と木の芽の塩釜焼き

筍と木の芽の塩釜焼き

今年の桜の饗宴も、春の雨とともに締めくくりを迎え、
すこし寂しくなりました。

けれど、気づけばずいぶんと日も長くなり、
ひと雨ごとにあたりは暖かくなって、
散歩にはうってつけの心地の良さ。

なかなかゆっくり歩く余裕がないけれど
このやわらかな季節、
大きく手を振ってからだごと楽しみたくなってきました。

4月に入ってからずっと
上ばかりを向いて春を探していた気がしますが、
見れば足元にも。

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つくしづくし。

つくしづくし。

数日間の旅から戻り、翌朝庭に出たら
枝だけだった庭の山椒や楓の木の、どこにこんな力が、と思うほどにみなぎる新芽たち🌱
あまりの勢いに、目を見張りました。

満開、真っ盛りの桜のほかにも、
気づけば周りはもう、春そのもの。
溢れかえる芽吹きの力が、見上げても見下ろしてもそこここに見つかります。
近くの土手にもつくしがたくさん顔を出していました。
桜同様、年々早まっているようで
うっかりしているとす

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弥生の豆いろいろ

弥生の豆いろいろ

随分と暖かい日が増えました。
纏う衣が薄く、少なくなるごとに、
面白いように心も軽やかになっていきます。

この間お正月を迎えたと思ったら、もうじきお彼岸なのだと、
和菓子屋さんのおいしそうなぼたもちでやっと気がつくわたし。

食いしん坊にもほどがあるよ、と半ば呆れつつ…

近所のご住職に
「お墓参りにいけなかったら、遠くからでも手を合わせて思い出すといいんですよ」
と教えてもらったことを思い出し

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高知の青海苔、ナポリの揚げパン。

高知の青海苔、ナポリの揚げパン。

高知、四万十川から届いた、
早春のすじ青海苔。
河口から少し上った、海水と綺麗な淡水が混ざり合ったところで採られ、丁寧に天日干しされたものです。

色も美しいけれど、
香りはさらに素晴らしく、
袋を開けて何度もクンクンしたくなりました。

さっと乾煎りしたすじ青海苔とピザ生地を混ぜて、
ゼッポリーネという小さな揚げパンを作りました。
ここ最近、イタリアンのバルなどでも見かけることが増え、お馴染みに

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市場に芽吹く春〜根芋の和風ピクルス

市場に芽吹く春〜根芋の和風ピクルス

天気の良し悪しや自然現象のありようで、
ひとの心は大きく揺らぐものだそうで。

アメリカのあたたかい地域に住む友人のところに、イギリス在住の親戚の方が、
冬の間長く逗留されていると聞きました。
寒くて曇りや雨ばかりのイギリスでは、
天気のせいで実際に鬱になってしまう人がたくさんいるそう。
あちこちで明るい方へ、元気な方へ、力強い方へと向かう春。
毎日良いことばかりじゃないとしても、
ずっと俯いてい

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