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美味しいものたちとの出逢い

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美味しいレストランの逸品たち、市場で瑞々しく輝く食材、採れたての魚など、さまざまな美味しさとの邂逅について、忘れずに心にとどめるための備忘録です。
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#春の旬食材レシピ

蕗の小さなお寿司

蕗の小さなお寿司

茹でたての蕗の皮をむくのが、好きです。
中からあらわれる美しい緑色に出会えるのも、
今の季節ならでは。

蕗は皮ごと、鍋のサイズに合わせてカットし、塩を加えた湯を沸かした鍋へ。
茹でたてを水にとって、
少しずつむいた端っこの皮をいっぺんに持って下方向にすっとひくと、指先が黒くなることもなく
つるりと簡単にむけます。

皮をむいた翡翠色の蕗を
鰹のだし汁と薄口しょうゆ、みりんで煮含め、
煮汁の中で冷

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実山椒と梅雨

実山椒と梅雨

いよいよ梅雨の足音がひたひた、ピチャピチャ、と聞こえてきました。

ジメジメと鬱陶しいイメージの、梅雨。

けれどこの時季、実は嫌いではありません。

梅にらっきょう、赤紫蘇などに加え、
氷砂糖や保存瓶の類いが店頭にずらりと並ぶとともに、嬉しい季節仕事がいっぺんに目白押しでやってくる、あの勢い。
むしろ好きでたまらないのです。

ほんの束の間しか手に取ることができない
過ぎ去る季節の幸。
それがひ

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パセリは美味しい名脇役。

パセリは美味しい名脇役。

日毎に勢いを増す陽射しに、たびたびの恵みの雨を得て、新しい芽がぐんぐん育ち伸びる頃。

隔週宅配の野菜の箱にも大根の抜き菜がこんもり届き、
そして先日、パセリ農家さんが、間引き菜を段ボール二箱分ぎっしり詰めて送ってくださいました。
友人の依頼でパセリの利用法をざっくりご紹介させて頂いただけなので、恐縮しきりです。

若々しく柔らかい葉は、そのままで香り高く美味しく、間引きなんてもったいないほど。

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こごみで、春の寿司

こごみで、春の寿司

あくも優しい旬のこごみ。

青、赤取り混ぜてたくさん手に入ったので、
鯛やさよりなどの魚たちに
小ぶりの筍、そら豆など、
家じゅうの旬をかき集めて、
ちらし寿司に仕立ててみました。

その時の旬菜であれば、具は何でも。
野菜や刺身が数種それぞれ少しずつしかない時、
お寿司にしてみると、不思議と心細くありません。

こごみは、巻いた部分を特に念入りに洗ったら塩ゆでするだけ。
筍は下ゆでののち、薄味で

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筍と木の芽の塩釜焼き

筍と木の芽の塩釜焼き

今年の桜の饗宴も、春の雨とともに締めくくりを迎え、
すこし寂しくなりました。

けれど、気づけばずいぶんと日も長くなり、
ひと雨ごとにあたりは暖かくなって、
散歩にはうってつけの心地の良さ。

なかなかゆっくり歩く余裕がないけれど
このやわらかな季節、
大きく手を振ってからだごと楽しみたくなってきました。

4月に入ってからずっと
上ばかりを向いて春を探していた気がしますが、
見れば足元にも。

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つくしづくし。

つくしづくし。

数日間の旅から戻り、翌朝庭に出たら
枝だけだった庭の山椒や楓の木の、どこにこんな力が、と思うほどにみなぎる新芽たち🌱
あまりの勢いに、目を見張りました。

満開、真っ盛りの桜のほかにも、
気づけば周りはもう、春そのもの。
溢れかえる芽吹きの力が、見上げても見下ろしてもそこここに見つかります。
近くの土手にもつくしがたくさん顔を出していました。
桜同様、年々早まっているようで
うっかりしているとす

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