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2023年2月の記事一覧

気に入らないのさ

磨いたブーツで
夜の街を歩くヤンキー
目に映る者の全てが
敵に見えたんだ
気に入らない奴を
殴り倒しても
心は何も晴れず
ミルクホールへ向かう
ロックンロールを聞く為に

バアルの爪

それを手に入れた者は
絶大な権力を掴めると
古くから伝えられている
何時の世も人は変わらず
度が過ぎた力だけを求めて
代償に気付きやしない
例えバアルの爪を手に入れても
うつろわざるものにはなれず
すぐに醜く歪んで逝くだけ
皆うつろうものだから

カクテル・ドラッグ

薬の幻覚に悩む若者
青春など何処にも
落ちては無く
売人から薬を求める
少しずつ成分を
変えて薬を渡す売人
生かさず殺さず
若者の限界を見極めながら
次の相手に薬を届ける
昔の自分を殺しながら

バランタイン

孤独は誰の心にも
咲き乱れて
何れ枯れてしまう
花吹雪の様に
絶望は心を静かに
蝕み腐って
やがて死んでしまう
何も残せずに
そうだろうバランタイン
君は何でも知っていて
何も話してくれない
世界を祝福したならば
君は去って逝くだろう
季節外れのそよ風みたいに

カトスリナチァ

近未来のバーで
カトスリナチァを頼む
マネキンハンター
酸性雨に濡れる
漆黒のユニコーン
底の擦り切れた
バレエシューズで
踊るポルノスター
誰もが何かを抱え切れず
取り零すこの街で
真実を見つけよう
壊れてしまったとしても

白と黒のフロア

白と黒のフロアで
ステップを踏む
ロックンローラー
メキシコ製のテレキャスを
かき鳴らし叫び出す
観客の居ない箱で
踊るのは虚しいかと
俺はずっとそうしてきた
これ迄もこれからも
何も変わりやしないのさ
この宴が終わるまで
共に狂乱を演じよう
胸の高鳴りが止まるまで

青林檎

バルボッサは
青林檎を喰らう為
殺人を躊躇わない
淀んだ水の代わりに
質の良いラム酒を
飲みながら今日も
略奪を続ける
掟に従いながら
信念を込めた
髑髏の旗を掲げて

ありふれた死

それはそこらに
散らばっていて
普段は皆が
気付きやしない
何時の間に
触れてしまったら
もうそれで
お別れなのさ
ありふれた死が
巷に溢れてる
この世界は今も
美しく燃えている

ハリバット

2枚の金貨と
5枚の銀貨で
売られたハリバット
奴隷に落ちようが
信仰を捨てず
日々祈り続ける
仲間が殺されようが
恋人を奪われようとも
祈りを捧げる
狂信者の心で
236日目の朝に
彼は人である事を
捨て去って
神に為るだろう
偽りの堕天使に
変貌したハリバットは
七日間消えない炎で
街を焼き尽くし
何処かへ飛び去った
灰色の翼を12枚残して

黒揚羽の魔女

瞼に黒揚羽の羽を
飾る東の森の魔女は
その力を恐れられていた
うつろわざるものとして
掟を破らなければ
彼女は何もする事は無く
穏やかな日々を送れる
時に愚かな権力者が
彼女を利用しようと
色々な企みを企てては
うつろうものとして消えた
彼女と相反する事など
決して叶いはしないのに
幾ら世界が変わろうが
うつろわざるものは
永遠の闇を歩み続ける
誰も知らない孤独を抱えて

ラストコールバニー

月から来たあの娘は
小さな星を持っていた
月の兎達と交信出来るよに
喧噪に見えたこの街から
逃げる様にあの娘は
なにも告げず消えてしまった
言葉を交わさなければ
悲しみが少なく為ると
あの娘は分かっていたんだ
小さな胸を痛めながらも

ピラニア

カーモーテルの
娼婦達を襲う人攫い
彼女達は夢を見ない
完璧な人間だから
人攫いを撃退して
何時もの仕事に戻る
誇り高くそして退屈な

メタル・ムーン

CRキャブに
ヨシムラの直管で
決めたZ1を
手足の様に扱う
メタルムーンの総長
他人より速く走る事は
罰に似ていると
いつも話していた
246を支配出来ても
いずれ何かに跪くと
そう言って単車を降りた
総長のZ1に跨って
俺は湘南の街を流してる
鋼の季節に包まれて

剥き出しの愛

サッチモの右目から
零れる涙の様な
剥き出しの愛を
僕にだけくれないか
そうすれば揺籃から
抜け出してまともな
生活を送れる気がする
だから僕にだけ
触れる事すら叶わない
剥き出しの愛をくれないか
生きて行く事は
辛くてしかたないから