【人間主義的経営】Vol.5 経営理念と社長と社員
人間主義的経営に「経営理念」が重要なのは言うまでもありません。
経営理念の他に、企業理念、社是、ビジョン、ミッション、バリュー、パーパスなど、経営や仕事を方向づける言葉はたくさんあります。どの言葉を使うかは各社様々で、例えばトヨタ自動車株式会社のHPを見ると、経営理念としてビジョン、ミッション、バリューを掲げています。また、ソニーグループ株式会社はパーパスとバリューを前面に打ち出しています。
ちなみに当社は、経営理念としてビジョン、ミッション、バリュー、カルチャーを掲げています。
経営理念については、内容を言葉にすることも大変ですが、それを社内外に浸透させるのはもっと大変です。ここで、当社の経営理念づくりと浸透についてお話をしたいと思います。
私(当社)は言葉を扱う仕事をしているので、言葉を考えることは得意です。ただ、経営理念となるとそう簡単に変えることができないので、ずっと使える言葉、みんなが腹落ちする言葉、にするのに苦労をしました。
まず、自分の経営についての考えをノートにたくさん書き出し、それを自分で編集して文章としてまとめました。そして、その文章を経営顧問や幹部に見せて意見をもらいながら磨きをかけました。
さらに、スタッフに経営理念を自分事としてもらうために、全社員で茅ヶ崎館(小津安二郎が映画の脚本を書くのに籠った旅館)で合宿をして、終日議論をした上で完成させました。
そんな、労力と時間をかけてつくった経営理念ですが、浸透させるのはもっと大変です。
合宿をしてみんなが経営理念づくりに携わったにもかかわらず、1か月後に経営理念を暗唱できる人はほぼゼロ。経営幹部も「ウチの会社に足りないのは経営理念の浸透だ」と経営会議で発言しておきながら、その場で経営理念が口に出てこない始末…… これは地道に浸透させていくしかないなぁと思いました。
経営理念のスタイルは、普遍的かつ不変的なものであるべきだと思います。そのため、どうしても抽象的な言葉にせざるを得ません。そして、その抽象度が、具体的な言葉である「目標」とは異なり、スタッフへの浸透を難しくしている理由の1つでもあります。
私が思うに、経営理念は“軸”です。経営者が経営に迷ったときに立ち返る経営の軸となります。また、スタッフの仕事についても同様で、仕事の軸となります。それなので、経営者の頭の中に経営理念を留めておくのではなく、言葉にしてスタッフに発信をし、浸透させることで、全員の価値観が揃い、経営や仕事がスムーズに運ぶことは想像に難しくないでしょう。
そういう意味で、不確実で多様化した世界の中で事業をしていくために、経営理念をつくる(見直す)、そして浸透させることは重要です。経営理念の浸透方法については、次号でお話をします。
クロスメディアグループ 代表 小早川幸一郎
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