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大自然の中でゆったりと生きる、という選択。

『ビジネスパーソンの新・兼業農家論』の「序章」 先行公開

8月28日(金)に発売される新刊『ビジネスパーソンの新・兼業農家論』の「序章 今「農家」こそ最高の職業だ!」の一部を先行公開します。

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《なぜ今「農家」こそ最強の職業なのか?》を読む→

農家=カッコよくて、楽しくて、健康的で、儲かる!

イケてる農家たちの4つの要素

 僕がインターネット農学校を立ち上げようと決めたとき、どんな人たちに教授になってもらうのかを定義する必要があった。

 そのころの僕の頭の中では、「農家=重労働のわりに儲からない!」というイメージの方が強かったから、そのイメージを吹っ飛ばすくらいにイケてる農家(=変態農家)に会ってみたい! と思った。

 けど、単なる「儲かってる」ってだけの農家だと成金みたいだし、「カッコいい」ってだけだと深みがない感じがするし。そこで、どんな要素が揃ってるといいのかを考えてみた。

 いろいろスタッフたちと話し合って行き着いたのは「カッコよく」「楽しく」「健康的」「儲かってる」という4つの要素だった。

 それら4要素を大きな判断基準にしながら、僕らThe CAMPusのスタッフたちでそれぞれが審査をして「OK!」となった農家だけにオファーして教授となってもらった。

海の近くで趣味に打ち込む充実した暮らし

 その中に、特にミニマルなカタチのフルーツ農家を営んでるRYO’S FARMの梁寛樹くんがいる。大好きなサーフィンを楽しむため海の近くへ移住し、農家をやっている。

 彼は大学卒業後、大手メーカーに勤めながら、趣味のサーフィンを続け、小笠原諸島の父島で熱帯果樹やパーマカルチャーを学んだ。

 2年ほど働いた後、辞めて、海の近くの街「千葉県館山市」に移住。「地域おこし協力隊」として活動を開始。最初は街のPR活動などをあれこれお手伝いしながらサーフィンを続けていたが、そこから徐々に農業に興味を持つようになり、マンゴー農家に弟子入り。ゼロから農業技術を学んだ。

 2年ほどマンゴー農家のお手伝いをした後、地域おこし協力隊の任期が終わるのと同時に独立。地元の農家から農地(ビニールハウス)を借してもらいパッションフルーツ農家になる。

 農作業の傍ら相変わらずサーフィンは続けつつ、おいしいパッションフルーツ作りを極めて、1年目から収穫したパッションフルーツを全て完売させた。

 2年目からはパッションフルーツを加工して「リリコイバター」を製造。これもヒットし、現在は就農から5年目で、0.5ヘクタール換算で2500万を超える売上となり、サーファー×農家×食品メーカーとして全てを1人でこなしながら、毎日東京へOLとして通勤する妻と二人、充実した暮らしを送っている。

大自然の中でゆったりと生きる

 農家ならノンストレスで心豊かな暮らしを実現できる。都会でストレスを抱えながら時間に追われて顔の見えない多くの人たちと働くより、大自然の中でストレスなくゆったりした時間の中で好きな仲間たちとだけ働くほうが、人生は充実するに決まってる。

 現代社会はあらゆるテクノロジーが暮らしを快適にしてくれた。特にインターネットの進化や交通手段の発達など。しかし反面、昔では考えられなかったストレスを人々は抱えることとなった。

 SNSの世界ではいじめが起こり、数千キロも離れた場所から翌日荷物が届かなければ怒り出す人さえいる。一説には、現代人が1日に触れる情報量は「平安時代の人の一生分」であり「江戸時代の人の1年分」と言われている。

 つまりテクノロジーが進化すれば進化するほど、生きるスピードも感じる量も加速度的に増え続ける。

 そんなストレスフルなテクノロジー社会の発展に対して、人間は癒やしを求めて「自然環境の中での生き方」を模索しているのではないだろうか。

 シリコンバレーあたりでは、社会にイノベーションを起こすベンチャーたちが、ビジネスアワーはノートPCに齧りついてデスクワークをしてるけど、休日になると自宅の周辺の畑を耕し、収穫した作物で仲間と料理を作ってチルアウトパーティーを楽しむ。そんなシーンが当たり前になり始めた。

 人生は自由だ。誰がなんと言おうとも、人生は自分自身でデザインできる。さぁ、みんな動いてみよう。明日からではなく、今から。

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著者 井本喜久(いもと・よしひさ)
ブランディングプロデューサー/一般社団法人The CAMPus代表理事/株式会社The CAMPus BASE代表取締役
広島の限界集落にある米農家出身。東京農大を卒業するも広告業界へ。26歳で起業。コミュニケーションデザイン会社COZ(株)を創業。2012年 飲食事業を始めるも、数年後、妻がガンになったことをキッカケに健康的な食に対する探究心が芽生える。2016年 新宿駅屋上で都市と地域を繋ぐマルシェを開催し延べ10万人を動員。2017年 「世界を農でオモシロくする」をテーマにインターネット農学校The CAMPusを開校。全国約70名の成功農家の暮らしと商いの知恵をワンコインの有料ウェブマガジンとして約2000名の生徒に向けて配信中。2020年 小規模農家の育成に特化した「コンパクト農ライフスクール」を開始。農林水産省認定の山村活性化支援事業もプロデュース中。

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