記事一覧
玉井ママの訳ありな終戦
【玉井ママシリーズ】
朝鮮半島から引き揚げに挑む250人の運命
「いいぞ、まさえちゃん、にっぽんいちーっ!」
舞踊の演目を終えると庭に集まった近所のひとたちは縁側まで身を乗り出し、わたしに賛美の拍手を送る。
「お父さん、うまくおどれてた?」
「うん、上手だったぞ」
「水鏡」に続いて、習ったばかりの「お夏清十郎」を演じた。日本舞踊を習っていたわたしは人前で踊りを披露するのが大好きだった。
いつだってちんちんフリフリ
ちんちんフリフリしてるぼくに先生は手こずっていた。
「ちょっとは手で隠すとかしたらどうだ」 って言うけど、先生がそのまま立ってろっていうからしただけ。 廊下を行き交う下級生たちはキャッキャ言って喜び大騒ぎだし、ぼくはもう有頂天でちんちんフリフリの腰ふりダンスが止まらない。
痛てっ。もう、すぐ頭を引っぱたくんだから。 バカになっちゃうじゃないか。「もういい、そんなことしてないでこっちに来い」 と
涙のUFOキャッチャー
「キターっ」
「大韓航空ですよ、あの3 人」
テッちゃんが耳打ちする。
ある夜のこと、うちに居候していたテッちゃんが珍しく夕飯をご馳走してくれるというので、キングスクロスにある「韓日食堂」という韓国家庭料理店に来ていた。そこへ、ソウル・シドニー線の乗務を終えた大韓航空の客室乗務員たちが制服姿でご来店。テッちゃんの目論見通りといわけだ。
「さっ、行っちゃいますよー」 テッちゃんはいつの時で
リアルホラーな夜の遊園地
「あれ乗りたーい」
そう叫んだのはぼくら子供ではない。母親だ。 ゆっくりと回り始める円形の金網に内側を向いて立ち並ぶひとたち。その金網にに張り付いたまま回転の速度が上がり、やがて円の中心部がクレーンで空に向かい上昇して行くアトラクションだ。
小学生だったぼくら兄弟三人は母親の運転する車で、夜の遊園地にいていた。父親が出張で不在がちだった我が家。ストレス解消のためだったと思しき車好きの母親に付き