アメンポトフ13世

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映画『HELLO WORLD』考察 ネタバレあり

割と設定が難解だからかネットを見ても物語の解釈が別れているようなので僕はこう思うという考察を書いていきます。   まずはこの映画の特徴から言っておくとこの物語は…

映画『僕が愛したすべての君へ/君を愛したひとりの僕へ』考察 ネタバレあり

(小説版もそうだそうですが)同時公開された2つの作品のどちらの方から先に観るかで物語から受ける印象が変わるという中々に凝ったコンセプトで有名な本作。 アニメを観るの…

映画『ボーはおそれている』 考察 ネタバレあり

「ママ、気がへんになりそうです」でというキャッチコピーに象徴される虚実入り乱れた混沌とした作風の物語ですが、考察している内に私なりの答えを見つけたのでそれを記し…

映画『林檎とポラロイド』考察 ネタバレあり

変わった設定から受ける印象とは違ってこの作品はそこまで難解な映画ではないと思うのですが、ネットを見ていると意外と違う意見の人が多いみたいなので僕の考えを書かせて…

映画監督 作風あるある

好きな監督の癖というのか作風や物語のテンポを壺を使って表現してみました。 【マーティン・スコセッシ】 (割れて粉々になった壺) ナレーション「ひでぇもんだろ?な…

映画『ブラック・スワン』考察 ネタバレあり

有名バレー団で次公演の主役に抜擢されたバレリーナが重圧と厳しい訓練の中で自分を追い込み過ぎてやがて心身に変調をきたしていく姿を描いた名作である本作。 そのまま観…

映画『ロブスター』のラスト考察 ネタバレあり 

この監督の特徴でもありますが、この作品に関しても結末がどうなったかはあえて提示せずに解釈は観客に委ねさせる形になっています。 脚本の出来にもよりますが、投げっぱ…

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映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ストーリー考察 ネタバレあり

この作品は「怪獣が出てくるシーンの迫力は凄いけど、人間達のドラマ部分はいまいちだね」というのが一般的な評価のようです。 僕も初めは同じ意見だったのですが、確かに…

映画『パラドクス』考察 ネタバレあり

この作品を観て初めは(なんやこれ)と思いました。不条理な作風もですが、残されたままの伏線もあったからです。 特に個人的に謎だった花嫁の未来である老婆からネズミを…

映画『シークレットサンシャイン』考察 ネタバレあり

イ・チャンドンらしい観た後に考えさせられる余韻が残る本作ですが、僕はネットで一般的に言われている感想とは違う感想を持ったのでその事を書かせて頂きます。 いつもの…

映画『バーニング 劇場版』物語考察 ネタバレあり

村上春樹の原作小説の再現なのかいろんな解釈のしようがある難解な物語になっている本作ですが、そこで僕なりの解釈をここに記したいと思います。 その前に基本となる物語…

映画『プロジェクト・アルマナック』のラストシーン考察 ネタバレあり

どっちともとれるラストだったのでネットで調べてみた所、僕の考えとは違う考えの人ばかりだったので自分はこう思ったという考察をしたいと思います。 まず最後のあらすじ…

映画『テネット』の最終戦とタイムトラベルについての解説 ネタバレあり

難解で有名な作品である本作を解説する前にまずは本作を複雑たらしめている約束事の解説をしたいと思います。 この作品と言えば過去と現在が交錯しますが、バックトゥーザ…

映画『インセプション』のラストの考察 ネタバレあり

監督本人も半ば認めている通りあえてどちらとも取れるようにしている事から解釈が別れている本作のラスト。 私なりに考察してみたのでそれをご紹介させてください。 まず私…

映画『グラントリノ』考察 ネタバレあり

この映画といえば前半から中盤にかけての極上のヒューマンドラマからの後半の突然の展開が衝撃的ですよね。 脚本の巧みさ故か「孤独な老人と少年」という使い古された題材…

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』考察 ネタバレあり

レビューはこちらhttps://twitter.com/Primatomorpha/status/1496657136742711296 考察ブログなどでもバードマンのラストに関しては解釈が別れていますが、私なりの考えを…

映画『HELLO WORLD』考察 ネタバレあり

映画『HELLO WORLD』考察 ネタバレあり

割と設定が難解だからかネットを見ても物語の解釈が別れているようなので僕はこう思うという考察を書いていきます。  

まずはこの映画の特徴から言っておくとこの物語は『仮想現実』や『データの実像化』といった量子力学の考え方を用いたSF映画『マトリックス』を思わせる世界観の作品になっています。
それを踏まえてあらすじを大まかに書いていきます。

10年後の堅書直実(以下、ナオミ)はアルタラ内に再現された

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映画『僕が愛したすべての君へ/君を愛したひとりの僕へ』考察 ネタバレあり

映画『僕が愛したすべての君へ/君を愛したひとりの僕へ』考察 ネタバレあり

(小説版もそうだそうですが)同時公開された2つの作品のどちらの方から先に観るかで物語から受ける印象が変わるという中々に凝ったコンセプトで有名な本作。
アニメを観るのが久々の僕もドハマりしてしまいました。

一応、「切ない物語」が好きな人は『僕が愛したすべての君へ』の方から「幸せな物語」が好きな人は『君を愛したひとりの僕へ』の方から観るのを公式は推奨しているそうです。

ちなみに僕は上記の理由から「

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映画『ボーはおそれている』 考察 ネタバレあり

映画『ボーはおそれている』 考察 ネタバレあり

「ママ、気がへんになりそうです」でというキャッチコピーに象徴される虚実入り乱れた混沌とした作風の物語ですが、考察している内に私なりの答えを見つけたのでそれを記して行きたいと思います。

まずこの作品の根底にはボーが強迫性障害であると言う事と母親との歪な親子関係があります。

物語の冒頭にマウスウォッシュを間違えて飲み込んだだけで「僕は死ぬのでしょうか?」と精神科医に質問したのは序の口で、鍵をかけず

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映画『林檎とポラロイド』考察 ネタバレあり

映画『林檎とポラロイド』考察 ネタバレあり

変わった設定から受ける印象とは違ってこの作品はそこまで難解な映画ではないと思うのですが、ネットを見ていると意外と違う意見の人が多いみたいなので僕の考えを書かせてもらいます。
いつもの様に結論から言うとこの物語の結末からわかるのは「主人公はそもそも記憶を失っていなかった、記憶を失ったふりをしていた」という事だと思います。

その根拠を言っていくと、一番わかり易いのは主人公が知り合いの犬と再開するシー

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映画監督 作風あるある

映画監督 作風あるある

好きな監督の癖というのか作風や物語のテンポを壺を使って表現してみました。

【マーティン・スコセッシ】

(割れて粉々になった壺)

ナレーション「ひでぇもんだろ?なんでこうなっちまったのかを説明するには俺がまだガキだった頃に遡らなきゃならねぇ...」

(過去編開始)

ナレーション「...こいつはダチのフランキー。ケチなポン引きだ。ただ油断しちゃならねぇのはこいつがキレたら何をしでかすかわから

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映画『ブラック・スワン』考察 ネタバレあり

映画『ブラック・スワン』考察 ネタバレあり

有名バレー団で次公演の主役に抜擢されたバレリーナが重圧と厳しい訓練の中で自分を追い込み過ぎてやがて心身に変調をきたしていく姿を描いた名作である本作。
そのまま観ただけではやや難解な作品なので僕なりに見所を踏まえて物語のあらすじを解説していきたいと思います。

まず、主人公のニナを一番追い詰めているのは清廉な白鳥の演技は完璧にこなせても、それと表裏一体の存在である妖艶な黒鳥の演技は満足にこなせないと

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映画『ロブスター』のラスト考察 ネタバレあり 

映画『ロブスター』のラスト考察 ネタバレあり 

この監督の特徴でもありますが、この作品に関しても結末がどうなったかはあえて提示せずに解釈は観客に委ねさせる形になっています。
脚本の出来にもよりますが、投げっぱなしではないもう一度考える事ができる作品は結果として作品への没入感が深まるので僕としては好きです。

余談はここまでにして本題に入ります。

この作品のラストを簡単に書くと
『失明した女性を連れてコミュニティを抜け出したデイビッドは街中のダ

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映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ストーリー考察 ネタバレあり

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ストーリー考察 ネタバレあり

この作品は「怪獣が出てくるシーンの迫力は凄いけど、人間達のドラマ部分はいまいちだね」というのが一般的な評価のようです。

僕も初めは同じ意見だったのですが、確かに核兵器の描写や物語の展開面でご都合主義的な大雑把さこそあるものの改めて考えてみるのストーリー部分も中々のデキではないかと思ったのでその理由を考察を中心に発表していきます。

まずこの作品の登場人物で一番目立っている人物はなんと言ってもエマ

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映画『パラドクス』考察 ネタバレあり

映画『パラドクス』考察 ネタバレあり

この作品を観て初めは(なんやこれ)と思いました。不条理な作風もですが、残されたままの伏線もあったからです。
特に個人的に謎だった花嫁の未来である老婆からネズミを受け取ったのは誰か?を元に仮説を建てました。

このネズミはどこから来たのか

僕は初めは時系列的にダニエルのネズミだと思ったいました。
しかし、よく見てみるとダニエルはパトカーに乗る時にネズミを置いてきています。
なので言ってみればネズミ

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映画『シークレットサンシャイン』考察 ネタバレあり

映画『シークレットサンシャイン』考察 ネタバレあり

イ・チャンドンらしい観た後に考えさせられる余韻が残る本作ですが、僕はネットで一般的に言われている感想とは違う感想を持ったのでその事を書かせて頂きます。
いつものように結論から言わせてもらうとネット上では題名のシークレットサンシャイン「秘密の…隠れた太陽」は主人公を陰日向なくいつも支えてくれていたジョンチャン(ソン・ガンホ)を指していると言われているようですが、僕はそれは表面に過ぎず裏は…本当は神の

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映画『バーニング 劇場版』物語考察 ネタバレあり

映画『バーニング 劇場版』物語考察 ネタバレあり

村上春樹の原作小説の再現なのかいろんな解釈のしようがある難解な物語になっている本作ですが、そこで僕なりの解釈をここに記したいと思います。
その前に基本となる物語の主筋(物語の普通の受け取り方)を簡潔に書きます。

幼馴染のヘミと久しぶりに再会したジョンスは彼女からアフリカ旅行中の飼い猫の世話を頼まれて部屋に招かれ彼女と肌を重ねます。
ヘミがアフリカから帰国するのを心待ちにしていたジョンスですが、当

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映画『プロジェクト・アルマナック』のラストシーン考察 ネタバレあり

映画『プロジェクト・アルマナック』のラストシーン考察 ネタバレあり

どっちともとれるラストだったのでネットで調べてみた所、僕の考えとは違う考えの人ばかりだったので自分はこう思ったという考察をしたいと思います。

まず最後のあらすじを大まかに書くと、タイムパラドックスにより友人や愛する人であるジェシーを失った事への反省から過去へ(父との別れの日)と戻ったデイビッドはタイムマシンを破壊する事で将来にタイムマシンを発見して過去を改変する事になるという事実と記憶を消し去る

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映画『テネット』の最終戦とタイムトラベルについての解説 ネタバレあり

映画『テネット』の最終戦とタイムトラベルについての解説 ネタバレあり

難解で有名な作品である本作を解説する前にまずは本作を複雑たらしめている約束事の解説をしたいと思います。
この作品と言えば過去と現在が交錯しますが、バックトゥーザフューチャー等のこれまでのタイムトラベル物と比べると独特なルールがあります。

まずは物語の基本になっているそのルールを説明します。

この世界では回転扉という未来からもたらされた機械を使うことで過去へ飛ぶことが可能になります。
過去へ飛ん

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映画『インセプション』のラストの考察 ネタバレあり

映画『インセプション』のラストの考察 ネタバレあり

監督本人も半ば認めている通りあえてどちらとも取れるようにしている事から解釈が別れている本作のラスト。
私なりに考察してみたのでそれをご紹介させてください。
まず私は「コマは回り続けた」派なのでその視点から考察していきます。
そう考えた理由としては「メメント」と「インターステラー」から受けた監督の作風からこの監督は割と真面目というのか、同じく難解な最後の多いイニャリトゥ監督の「ラストはあえて言わない

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映画『グラントリノ』考察 ネタバレあり

映画『グラントリノ』考察 ネタバレあり

この映画といえば前半から中盤にかけての極上のヒューマンドラマからの後半の突然の展開が衝撃的ですよね。
脚本の巧みさ故か「孤独な老人と少年」という使い古された題材なのに、よくぞここまで魅力的な描き方をできるのだなぁと感心しました。
主人公のウォルトもその周りの人々も大好きになりました。このパートだけでも名作の仲間入りをしていたと思います。
このままあったかい雰囲気のままいくのかと思ってたらクリント・

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映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』考察 ネタバレあり

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』考察 ネタバレあり

レビューはこちらhttps://twitter.com/Primatomorpha/status/1496657136742711296

考察ブログなどでもバードマンのラストに関しては解釈が別れていますが、私なりの考えを書かせてもらいたいと思います。

まず、バードマンのラストというのはありのままに大まかに書くと、『悪戦苦闘しつつなんとか本公演に漕ぎ着けるも、前日に大物批評家のディッキンソンから

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