セノネース

ラテン語とか古典ギリシア語とかを勉強している大学院生。本を読んだり、人と対話したり、こ…

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ラテン語とか古典ギリシア語とかを勉強している大学院生。本を読んだり、人と対話したり、ことばを学んだりするのが好きです。ギリシア語・ラテン語家庭教師をしています→Twitter(@graeca_latina)

記事一覧

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セノネース
1か月前

ホメロス『イリアス』第1巻1-21行をギリシア語原文で読むための最も分かりやすい手引き

ホメロスの『イリアス』は西洋古典文学でも最も有名な作品の一つです。 文学や神話、あるいは哲学などに関心のある方は耳にする機会もあることでしょう。しかし、原文(古…

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セノネース
1か月前
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大阪弁で読むソクラテス——プラトン『エウテュプロン』より①(ギリシア語対訳)

ソクラテスは古代のギリシア語(もっと詳しくいうとアッティカ方言)で話していました。現代の日本とは場所も時代も大きく隔たっています。 現代の日本語で古代ギリシア語…

セノネース
3か月前
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セノネース
4か月前
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古代ギリシア語で読むギリシア神話——アポロドーロス『ギリシア神話』より①

ギリシア神話とはギリシア神話は、古代ギリシア人が語り継ぎ、叙事詩や悲劇・喜劇などの文藝作品等の詩作の題材にもなれば哲学的思索の源泉でもあった、神々や英雄をめぐる…

セノネース
4か月前
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ホメロス叙事詩はラップバトルか

古代ギリシア最古(紀元前8世紀後半ごろ)の作品として知られるホメロス叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』。 アメリカの hip hop カルチャー発祥のラップバトル。 一…

セノネース
8か月前
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イソップ寓話で学ぶ古代ギリシア語

イソップ寓話のことを聞いたことない人はまずいないと思います。 しかし、イソップが実は古代ギリシアにルーツをもつことはあまり知られていないかもしれません。 イソッ…

セノネース
10か月前
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『教養としてのラテン語の授業』の気になったところまとめ

まず 言いたいのは、私はこの本を悪く言いたいのではない、ということ。 この本のコンセプトは良いとおもいます。いろんなラテン語を引用しながら、著者のハン・ドンイル…

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「西洋古典学」ってなんだ?をわかりやすく書いてみた(おすすめブックリスト付)

——今日は「西洋古典学」について話してみます。 西洋古典学というのは、ざっくり言うと、「西洋古典」を研究する学問です。 ——確かに、シェイクスピアの『ロミオとジ…

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「まいにちホメロス」まとめ②——死すべき人間と撞着語法

Twitterで好評(?)のまいにちホメロスシリーズのまとめです。 まとめ①はこちら。 「古典」ギリシア語に「実用性」なんて言葉は不適当だと思われるかもしれません。 …

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「まいにちホメロス」まとめ①

いつもTwitter、noteをご覧くださりありがとうございます。 もし気にいってくだされば、記事執筆の励みになりますので、 サポートしてくだされば幸いです。 さいきん始め…

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修士論文のスケジュールと所感と

修士論文を書き終えました。いや〜無事提出できてよかったです。色々と大変なことはありましたが、なによりも提出期限が12月6日とやけに早かったので、それに間に合わせる…

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「アプロディーテー讃歌」序文のギリシア語解説

このnoteの写真は、わたしがギリシア旅行に行ったときに撮影したものです。この像は愛の女神アプロディーテーに牧神パーンが激しくアプローチしている様子が描かれており、…

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ギリシア語アルファベットを学ぼう!資料

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ホメロス『イリアス』第1巻1-21行をギリシア語原文で読むための最も分かりやすい手引き

ホメロス『イリアス』第1巻1-21行をギリシア語原文で読むための最も分かりやすい手引き

ホメロスの『イリアス』は西洋古典文学でも最も有名な作品の一つです。

文学や神話、あるいは哲学などに関心のある方は耳にする機会もあることでしょう。しかし、原文(古代ギリシア語)で読むというのはなかなかにハードルが高いものです。それと同時に、古代ギリシア語を学ぶ人は、ぜひとも『イリアス』を読んでみたいと願う人もいると思います。

そこで、手引きとしてホメロス『イリアス』序文(第1巻1-7行)のギリシ

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大阪弁で読むソクラテス——プラトン『エウテュプロン』より①(ギリシア語対訳)

大阪弁で読むソクラテス——プラトン『エウテュプロン』より①(ギリシア語対訳)

ソクラテスは古代のギリシア語(もっと詳しくいうとアッティカ方言)で話していました。現代の日本とは場所も時代も大きく隔たっています。

現代の日本語で古代ギリシア語を訳そうとする人は大抵「標準語」で日本語訳をしますが、ソクラテスはいわゆる「標準語」よりも大阪弁の方が似合うと思います。これはゆえなきことではなく(まあソクラテスからすればゆえなきことやけれども)、ソクラテス自身も自分の言葉はたいそうなも

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古代ギリシア語で読むギリシア神話——アポロドーロス『ギリシア神話』より①

古代ギリシア語で読むギリシア神話——アポロドーロス『ギリシア神話』より①

ギリシア神話とはギリシア神話は、古代ギリシア人が語り継ぎ、叙事詩や悲劇・喜劇などの文藝作品等の詩作の題材にもなれば哲学的思索の源泉でもあった、神々や英雄をめぐる物語です。

「神話」といえば当然、「神の話」に聞こえますが、英語の "mythology"の元であるギリシア語の "μῦθος"は単に「話」を意味する名詞であり、「神」に限定するわけではありません。あくまで「お話し」です。しかし、ギリシア

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ホメロス叙事詩はラップバトルか

ホメロス叙事詩はラップバトルか

古代ギリシア最古(紀元前8世紀後半ごろ)の作品として知られるホメロス叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』。

アメリカの hip hop カルチャー発祥のラップバトル。

一見すると突拍子もない組み合わせに見えるかも知れません。しかし、その二つを結びつけるキーワードがあります。そう、「リズム」、「即興」、そして「伝統」です。順番にお話ししましょう。

リズムホメロス『イリアス』、『オデュッセイア』

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イソップ寓話で学ぶ古代ギリシア語

イソップ寓話で学ぶ古代ギリシア語

イソップ寓話のことを聞いたことない人はまずいないと思います。

しかし、イソップが実は古代ギリシアにルーツをもつことはあまり知られていないかもしれません。

イソップというのは人の名前で、ギリシア語ではΑἴσωπος(アイソーポス)といいます。歴史家であるヘロドトスは、このアイソーポスがイアドモンという人の奴隷であったと記しています。しかし、アイソーポスさんがどのような人物であったのか詳しいことは

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『教養としてのラテン語の授業』の気になったところまとめ

まず

言いたいのは、私はこの本を悪く言いたいのではない、ということ。

この本のコンセプトは良いとおもいます。いろんなラテン語を引用しながら、著者のハン・ドンイルさんが自らの人生観を織り交ぜて話していくスタイル。

ラテン語の楽しさをいろんな人に味わってもらいたいと願う、ラテン語愛好家の一人として、この本が日本語に訳されたのは喜ばしいことです。内容に関しては、もちろん合う・合わないはありましょう

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「西洋古典学」ってなんだ?をわかりやすく書いてみた(おすすめブックリスト付)

「西洋古典学」ってなんだ?をわかりやすく書いてみた(おすすめブックリスト付)

——今日は「西洋古典学」について話してみます。

西洋古典学というのは、ざっくり言うと、「西洋古典」を研究する学問です。

——確かに、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』は「西洋」の「古典」ですよね。

しかし、シェイクスピアの作品を研究するのは、英文学の専門になるのが通例だと思います。

西洋古典学が対象とするのは、主にギリシア・ローマ世界の文物です。
なんで?と思いますよね。

というの

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「まいにちホメロス」まとめ②——死すべき人間と撞着語法

「まいにちホメロス」まとめ②——死すべき人間と撞着語法

Twitterで好評(?)のまいにちホメロスシリーズのまとめです。

まとめ①はこちら。

「古典」ギリシア語に「実用性」なんて言葉は不適当だと思われるかもしれません。

しかし、たとえ「古典」ギリシア語であっても、それは昔、実際に口にされていた言葉なのです。

たしかに、ホメロス叙事詩の言葉は韻律に従っているので、その意味では実際の口語ではありません。しかし、言葉が音として発音され、意味を伝達し

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「まいにちホメロス」まとめ①

「まいにちホメロス」まとめ①

いつもTwitter、noteをご覧くださりありがとうございます。
もし気にいってくだされば、記事執筆の励みになりますので、
サポートしてくだされば幸いです。

さいきん始めた「古典ギリシア語家庭教師」というTwitterのアカウント(@lingua_graeca_)で、2023年1月15日から、ホメロス叙事詩の『イリアス』、『オデュッセイア』、そして『ホメロス讃歌』からランダムに詩句を引いてご紹

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修士論文のスケジュールと所感と

修士論文のスケジュールと所感と

修士論文を書き終えました。いや〜無事提出できてよかったです。色々と大変なことはありましたが、なによりも提出期限が12月6日とやけに早かったので、それに間に合わせるようにスケジュールをたてるのがいちばんの課題でした。
学部の時は2月提出だったので余計に早く感じました。

情けないことに、つまらないミスで2回も窓口で弾かれました。博士課程の願書にミスがあったことと、予め出していた題目と「大文字小文字が

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「アプロディーテー讃歌」序文のギリシア語解説

「アプロディーテー讃歌」序文のギリシア語解説

このnoteの写真は、わたしがギリシア旅行に行ったときに撮影したものです。この像は愛の女神アプロディーテーに牧神パーンが激しくアプローチしている様子が描かれており、パーンの角をエロースがつかんでいます。このようにアプロディーテーは愛の力で人々のみならず神々もまた支配する、ある意味おそろしい女神であることがわかります。エロース(愛)といえば、ロンゴス『ダフニスとクロエー」にこんな言葉があります。

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